ミニサラダ

「その子から手をはなせ」

「えっ?俺、包茎ほうけいだよ」

「先生!ウンコらしたんで、トイレ行っていいですか!」

  

 どれも大変勇気ある一言だと思う。

  

 ディスカウントストアのレジに並んでいた時の話。

  

 俺の前にサラダ味の煎餅せんべいだけが詰め込まれたカゴを、両手に抱えているおばさんがいた。見えはしなかったが、夢も少なからず詰め込まれていたハズだ。

 もちろん全部同じ商品である。

  

 見ただけでサラダさんというアダ名が付いてしまいそうな程、目立っていた。

  

 はたから見ると異様いような光景なのは間違いない。

  

 レジを抜け、店から出たら一日に何袋食べるのだろうかなど、考えていた俺。


 すると「どんだけ好きなん、それ!買い過ぎやろ!」俺の後方から勇気あるツッコミが飛んできた。

  

 サラダさんは振り返り、俺と目が合うが、俺でない事は明らかだった。

  

 ツッコミの声が女性の声だったからだ。

  

 サラダさんは俺の後ろに女性が並んでいるのを確認し、しばらくはそちらに目線めせんを向けていた。

  

 俺をはさんで何か始まるのコレ?


 ゴングが鳴っちゃうのコレ?

  

 だが、何も始まることはなく、静かにバーコードを読み取る音だけがひびいていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る