ボーリング

「俺、ボーリング上手うまいっすよ」

  

 俺が言った言葉ではない。

   

 会社に働きに来た期間従業員の彼が言った言葉になる。

  

 俺のつとめる会社には年に一度、ボーリング大会と呼ばれるもよおし物が開かれ、スコアをきそい、ランキングが発表される。もちろん賞品有り。

  

 彼の自信満々じしんまんまんっぷりに、職場の先輩方は

「ならお前も参加しろ! 腕前うでまえを見てやる」

という話になり、彼も参加を表明ひょうめいした。

  

 ボーリング大会前日、休日を楽しんでいた俺の元に一本の電話が鳴る。先輩からだった。

  

「アイツ、警察けいさつに連行されたから」

  

 普段ふだんそんな冗談を言わない先輩からの電話だったが、俺は聞き返してしまった。

  

うそですよね?」と。

  

「嘘じゃない! マジ!! 本当の話」

   

 何故なぜ、警察に連行されたのを聞いた俺。


 よく理解は出来なかったが、元彼女モトカノの家に侵入しんにゅうし、元彼女の妹の下着に精液せいえきをかけたとの事。

 元彼女の妹は小学生だったみたいで、その後、親御おやごさんと警察が会社に乗り込んで来て、連行。そのまま会社を去る事になった。

   

 彼は自分のたまあやつるのが、上手かったという結論けつろんいたった。

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