答案用紙

 数字は苦手だ。いきなりなんの話だと思うかもしれない。

  

 中学時代にこの様な出来事があった。

  

 数学の授業中に採点を終えたテストを返すというイベントが発生した。

  

 基本、分からない問題にも何かを書くをモットーにしていた俺は、何点なのか楽しみではあった。

  

 テスト用紙を受取り、目線を下に向ける。

   

『3点』

  

 …なかなかいい数字が飛び込んできたじゃないか。

 全部の項目こうもくめているのに、ほとんどが「✔」だ。

   

 俺は席に着席ちゃくせき。友人が俺のテスト用紙を見るやいなや、まわりのクラスメイトに報告。

 爆笑が巻き起こった。

  

『3点』のテストで、こんなにも皆が笑っている。平和だ。

   

 授業を終え、トイレへ向かった俺は、泣いてるクラスメイトを、目撃する。

   

「どうしたん? 何かあった?」と俺。

  

「テストの点が悪かった。86点しか取れなかった!」

  

「いい点数やん! 俺なんか3点だぜ」と返してみる。

   

「お前と一緒にしないでくれ!」

  

「………」

  

『3点』のテスト用紙でも、彼を平和にするは出来なかった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る