可愛い子には旅をさせよという言葉があるように、俺達は中学生時代に旅をした事がある。

  

 可愛くはない俺達だったが、旅をさせられた。

  

 始まりは友人の「温水プールに行こう」の

一言からだった。

  

 地元が田舎だった為、温水プール等は近場にはなく、行きは友人のママ様が車で送ってくれたが、帰りは徒歩とほで帰れとの事。


 アメとムチの使い方をよく分っていらっしゃる素晴らしいママ様だ。

  

 俺達は楽しく遊んだ後、帰宅する事を決める。

  

 トークがはずむ帰宅も最初だけ。次第に、会話もなくなりただ歩くだけの時間が過ぎる。

  

 見慣みなれない風景ふうけい、どこに続いているのか分からない道。


 道端みちばたにエロ本などが落ちていた事もあり、モチベーションも下がるだけではなかった。

   

 だが、強い日差しのせいもあり、のどかわいていた。

  

 所持金しょじきんの少ない俺達はお金を合わせ、飲み物を回し飲みでかわきをやす。

  

 再び歩き出すも、肉体にくたい疲労ひろう蓄積ちくせき、俺達は歩けなくなっていた。

  

「あ、あのさ、俺の母ちゃんに電話したら迎えに来てくれると思うけど」

  

 ここに来て、一人の友人が口を開く。


「最初からそれ言ってよー」などの言葉を言う者はこの中にいなかった。

  

 無事に家に帰りついた俺達は、ママ様と車の偉大さを再確認さいかくにんしたという話。

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