第41話うのかじ
私が二度寝して次に起きたのは昼過ぎだった。寝た時は分からないけど多分4時間は寝たと思う。
「いやお前運転慣れすぎだろ。片手運転は色々アウトだろ」
運転の場所から二人の声が聞こえる。ハームはまだ離兎の部屋で謎の本を解読しているのだろう。離兎の部屋の壁に耳を当てるとぼそぼそと声が聞こえる。私は扉を大きく開けて離兎にぶつける。
「おはよう、二回目だけど」
「お前これワザとだろ?」
「?」「ワザとなんだろ!」
「チョットナニイッテルカワカンナイ」
「嘘つくの下手過ぎない?」
い、いやぁべ、別にワザとじゃないですけどねぇ。たまたま。たまたまいただけですよぉ。まさかこの世界に来てからできた初めての友人をケガさせようとするなんてするわけないじゃないですか。
「そんなことよりよく寝れた?」
「うん。ルナちゃんが運転変わってくれたおかげでよく寝れたよ。ありがとう」
「じゃあ俺釣りしに行ってくるわ」
「急ね」
「いや、咲が来たら釣りしようと思ってたから。運転中でも釣れるかなって思って」
「ねえ離兎、今私たちは素材入手のために釣りをしまくったせいで魚が大量にいてこまっれいるのにさらにそこに魚を追加するの?」
「...そうだよ!」
「そんな笑顔で言わないでほしいわ」
手をグッドマークにしてすがすがしい笑顔で肯定されるととても否定しづらくなる。私そういうのに弱いからやめてほしい。
「ダメですよ離兎さん! 僕さすがにこれ以上魚が増えるのは耐えれません」
「もしかしたら昨日じゃ釣れなかった高級魚が釣れるかもしれないのになぁ」
「むっ、高級魚? う~ん「あ~あ、ハマチとか寿司屋とかで見るもの色々釣れるかもなのになぁ」ぐっ、...ぐぬぬぬ。負けました」
「うぇ~い。じゃあ釣り行ってきま~す」
「離兎...論破に命かけてるのかしら?」
「それはないでしょ」
「そういえば敬語やめたのね」
「同い年だからね。咲さん」
「そこは変わらないのね」
「こっちの方が呼び慣れしちゃったから」
まあ急に変わりすぎるとびっくりするからこれくらいの変化の方がありがたい。
「あ、咲さん。すっごい急でストレートな質問していい?」
「え? なにかしら」
「離兎さんのことどう思ってる?」
「どう? それはどういう?」
「いやぁ。別に友愛とかぁ親愛とかあるでしょぉ。だから咲さんは離兎さんに対してどんな感情を抱いてるのかなぁって」
私はその言葉を聞いた途端顔が熱くなってしまった。ルナちゃんに顔向けができなくなり壁に向かって頭突きをする。
「!? 大丈夫?」
「大丈夫よ。ただ変な考えが頭に浮かんだからそれを消し去ろうとしただけ」
「僕はその考えが聞きたいなぁ」
「絶対に言わない」
「教えてよぉ」
「う、そ、そんな上目遣いで言われても言えないものは言えない!」
「なぁんだ」
ルナちゃんは腕を上にあげて少し大きな欠伸をして運転に戻る。
「面舵一ぱぁい!」
「面舵って右じゃないの?」
「へ、響き的に左だと思ってた」
ーーーーーー
面舵はみぎ、取舵がひだりです。
ーーーーーー
そもそも面舵と取舵の名前の由来って何なんだろう。
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元々「取舵」は十二支の「
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わお。コピペしたみたいな解説ありがとうございます。
「ルナちゃん聞いてた?」
「うん。でもね、僕思うの。「うのかじ」からどんなふうに変わって行けば「おもかじ」になるんだろう」
「私に聞かないでくれる? せめてナビゲーターさんに聞いて」
ーーーーーー
さすがの私とてあなた方のいた時代に分かっていないものは分からないですよ。
ーーーーーー
そうだよねぇ。すっごい昔から生きてたりしてないとそんなこと知るわけないもんねぇ。
『僕を呼んだかい?』
「出た」
『そんな人をGみたいに言わないでくれ。で、面舵の変化についてだね。あれはね、ウサギが悪い』
「へ?」
『いや昔ね、あの十二支に登場するウサギがね、ちょっと天界で犯罪を起こして、そのバツとして「うのかじ」から「面舵」に変化させたんだ』
「罰軽くない!?」
『いやそうでもないんだよなぁ』
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