第28話精神崩壊or思考放棄
「あああ! 見つからないぃ!」
「どこにあんだよ!」
「二人とも精神崩壊しちゃってる」
「逆にお前は落ち着きすぎだろ!」
「反面教師ってやつ? まわりで焦ってる人見つけたら逆に落ち着くってやつ」
私達は今充電装置を探している。かれこれ3時間ほど。
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今情報を入手しました。充電装置の見た目は机の上にトレーみたいなのが3つほど置いてあるもののそうです。
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「机の上にトレーみたいなのが3つ?」
「例えばこういうの?」
そう言うと離兎は近くの机を一つ指さした。
「そうなんじゃない? トレーっぽいのが3つ置いてあるし」
「じゃあこういうの探せばいいのか」
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それです。
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「そっかこれか」
「そうなのか」
「そうだったのね」
「「「......」」」
私達の中に生まれる沈黙。この沈黙はなにが理由の沈黙だろうか。なにがなんて決まっている。
「これさっきから何回も見たよね?」
「あああああああ!!!!!!!!!!! 時間本ッ当に無駄にしたあぁぁぁぁぁ‼‼‼」
「離兎が壊れちゃった。ルナちゃんに関しては......思考放棄してるわね《収納》とりあえず私だけでも帰りましょ。メモも置いといて《帰宅》」
その日私が帰ってから1時間くらい2人は帰ってこなかった。帰ってきた後に受電装置をいくつか回収してきてくれた事と「なんで置いていったの?」という言葉が2人からその日何度も聞かされた。
「昨日の夜あたりから充電を始めたけど...これどれくらい使えるのかな?」
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一度充電すれば半永久的に使用可能です。
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「うわぁ急な異世界感」
「どんな電気を詰め込めば半永久的に使用可能なんだよ」
「すごぉぉい! なにそれ!」
「......気付いてなかったの? そこにある焚火も異世界パワーで永久的についてるよ」
「「そうなの!?」」
いや離兎は何で気づいてないの?! 噓でしょ? 何もしかして私が火を消えないようにしてるとか思ってたの? なんで知識はあっても常識が分からないアホなのこの2人。
「なんか今悪口言った?」
「言ったら聞こえてるでしょ」
「じゃあ思った?」
「思ったよ?」
「めっちゃ素直に言うじゃん」
「wwwww」
「別に事実でしょ」
「内容にもよると思うけどな」
なぁにただバカでアホだと思っただけだよ。事実だよ事実。ただ本人が認めようとしないだけでね。
「......ねえ、これバッテリーどこにはめるの?」
「ええ。いや装置の隣におけるようなトレーあるじゃん。なんで充電装置にはつけれたのに座標装置にはつけれないんだよ」
「ごめんなさい私も大概ダメかも知らないわ」
「じゃあもうこのいかだ終わったね」
「そんな明るく不吉なこと言わないで?」
私は座標装置の電源をつける。するとデジタル数字で3つに区切られた数字が出てきた。座標は、確か左から東西で次に高さ、最後が南北だっけ?
「ここは座標が...ええと541、42、746だって」
「グイダが言ってた座標はここにメモしてある...129、56、628だな。地味に遠い」
「じゃあいったんそっちの方行く?」
「そうしようよ!」
「急にハイテンション」
「だっていかだで移動するんでしょ! 僕船乗ったことないんだよ!」
「そうだったのね」
「出発ぅ」
「「進行!!」」
私達は東南に向かっていかだを出発させる。一応机の上にあったメモ用紙みたいなのに神獣のいるここの座標をメモして。
いかだは神獣のいた島に背を向けて離れていく。太陽の方角に向かって進む私たちを神獣は静かに見守るようにクスリと笑い地中にもぐる。この時の神獣の動きは誰一人として見ていなかった。
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