第20話地面を泳ぐは巨大なサメ
内部は外と比べるとつい最近まで人がいたかのように奇麗だった。ためしに床を指でなぞってみてもほこりは指先にほとんどつかず掃除がちゃんとされているようだった。そして奥の方からだろうか。少し嫌な気がするのだ。
「敵みたいなのはいない? とりあえず下に行く階段とかないかな。離兎と早めに合流したいし」
私は先ほどのダクトの事を思い出し一度足を止め耳をすます。微かに音が聞こえる。これは足音とは違う?
「これは内側じゃなくて外側に近い? 離兎大丈夫かな?」
私は恐らくどちらから行っても合流するだろう円形の通路を右から周り一周回って異常がないかを確認する。
「なにもない? どこかに隠し扉でもあるの?」
今度は壁に触れながら一周回る。半周に差し掛かったところで触っていた壁が少し動いた。力を込めて押すと少しづつだが壁が後ろに押され、通路が見つかった。その通路もまた掃除が行き届いてるかのように奇麗だった。
「下に続く階段と上に続く階段がある。いったん下に行く、、、よね?」
自分でも何故疑問形になったのかはわからないが何故だろうか。とても下に行ったら後悔しそうな気がする。
「何を変なことを考えてるんだ私は。もう、離兎が外で待ってるんだから急がないと!」
少し駆け足で階段を下りドアを開けるようなスイッチがないかを探す。実のところスイッチっぽいのは何個もある。だが何個もあるがゆえどれが扉なのかわからない。なので一つ一つ見て判別しようとしてるのだ。
「正面扉? これかな」
私はスイッチを押す。押すと同時に先ほどまで壁にしか見えてなかったところが開いていきその奥に人影が見える。
「!? 大丈夫!?」
そこにはケガまみれで倒れた離兎の姿があった。
「正人、地面だ。やつは鉄の中、を水の中、のようにお―よぎや、、、がる」
その言葉と同時に離兎は気を失い後ろから10mはあるかのような大きなサメが姿を現した。そのサメは特長的で鼻のあたりがとても大きく長く、まるで一振りの剣のように見える。
「嘘でしょ《飛翔》!」
私は全速力で低空を飛びサメの落下地点から逃げる。
《帰宅》
存在を忘れかけていた《帰宅》を使い私と離兎はいかだに戻る。
「離兎。大丈夫か?」
「、、、」
離兎は気を失っており今の私では支えるのが精一杯だ。
「ジラク助けてぇ」
「グルゥ? グルッ!?」
「離兎をベットに持って行ってくれない? 私じゃ持てない」
離兎をジラクに託し私は自分の部屋に戻る。今更だけど離兎の部屋忘れてた。そんなことはどうでもいい。今はあの巨大なサメをどうするかだ。正面から戦っても離兎には自然防御の効果でダメージは半減されてる中であのダメージだから多分負ける。
「とりあえず。離兎が起きるまで待機かなぁ」
私はベットに倒れ込みすべてを忘れるように目を閉じ眠りにつく。
「やあ。また会ったね」
(これ寝たら毎回あなたに会わなきゃいけないの?)
「別にそんなことはないけど。君が僕に何か用があるなら会うんじゃない?」
(そっか。なら聞きたいことがあるの。私の一人称が変わったのはあなたに会ったから?)
「というよりその体に魂があって来たって感じだね」
(ということはもしかして口調も変わるの?)
「え、もう少し変わってるじゃん」
変わって、、、た? 全く気が付かなかった。魂があって来たってことだからそれが自然だと私自身が思ってる?
「あ、一応だけど今回は何もあげないからね」
(私そんなにがめつくないんですけど)
「あははw。ごめんごめん君から用はもうないのかな?」
(ええと。そうだあなたって私たちの様子って見てるの?)
「ああいつも見ているよ」
(ちょっと言い方が怖くなる言い方やめて。で、見てたならわかるでしょ。離兎がやられたあのサメあれはいったい何なの?)
あのサメを見た時私はとっても怖かった。船喰いやクマたちと接敵した時は感じなかった恐怖がとても大きく私の心を一瞬で浸食した。
「あれは過去ではこう呼ばれていた。"神獣"と」
(それだけじゃ何もわからない)
「過去のまだ数十年ほど前の文明はあれら神獣が謎の大量発生したことにより滅んだ。船喰いは神獣の子どもみたいなものだよ。そして大きな文明の痕跡があるところに必ず一匹神獣がいる。倒し方は、、、教えるわけにはいかないな」
(ひどい!)
「あははwもう起きる時間だじゃあね」
彼がそう言うと私の視界は光に覆われ暗転する。目を開くとそこは私の部屋だった。
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はい! raftのやつ出てきましたね。あれは頭に角が生えたような見た目でしたけどこちらはそれを大きくしたみたいな感じです!
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