第18話突発的に無言で泳がれると怖い

「うわぁ速い速い」

「俺は今風になる~」


暗い話をやめた私たちは今風になっている。詳しく言えばエンジンを起動させかなりの速度で海を走っているのだ。


走り始めてから今は10分ほどたっている。だがなかなかいい島は見つからない。確かに島自体はあった。だがそのほとんどは50mも奥行き、横幅ともにないものだった。


「ホントに探索しがいのある島ないねぇ」

「この世界の世界地図とかがあれば楽なんだけどね」

「それなら衛星飛ばしてgoogle 〇arthみたいなのはダメなの?」

「そんな技術あったら俺たちもっとすごいいかだ乗ってるよ」


そんなこと言わないでほしい。こういう木製のいかだってロマンあるじゃん!?


『船喰いに遭遇しました。』


うわぁあれって世界に一匹! みたいなのじゃなくていたるところにいるタイプなんだ。


「船喰い? なんだそれ?」


そうか離兎はあのサメにあったことがないのか。


「サメ。オール持ってるでしょ? そのオールをくれたの」

「優しい相手なの?」

「くれたといってもドロップしたんだけどね」

「なるほど。好戦的な敵か」


すると離兎が釣り竿を取り出し姿が目視可能なほどまで海面に浮上してきた船喰いに向かって一気に釣り竿を伸ばしサメの頭をつついた。痛そう。ロレンチーニ器官ってやつに当たってたら帰ってくれるかな?


「すごいね! サメ動かなくなったよ!」

「ありが⋯⋯とう?」

「君には褒めるという行動を素直に受け止めることは出来ないのかい?」


(なんだ? 今の変な気持ちは)


「? 大丈夫? なんかちょっと変だよ?」

「ああいや大丈夫だ。あっ! あっち見てみろよ!」


離兎に促されてみた先にはかなりの大きさの島があった。それも人工物がいくつも立っている。


「うわぁ! すごい! 時間かかったけど面白そうな島についたね!」


正人は島の方向に舵を切る。そして迫ってくる島の人工物は木造のものもあれば鉄を使ったであろうモノや私たちがいた世界でも小説やアニメ、マンガなどでしか見ないような「私は近未来の人工物です!」みたいな建物まである。


「これは男のロマン心をくすぐってくる!」

「離兎、なんかちょっと幼稚ぃね」

「その目やめて。心がすごい痛い」


さて、いかだの停めれそうなところはどこだろうか。地味に高い位置にあるしなんか鉄っぽくて滑りそうだから離兎が上陸できない。


いかだは旋回し島の周りをまわる。だが1周しても入り口は見つからなかった。


「どうするの? これじゃあ離兎中入れないよ」

「もう俺探索にいらないしいいんじゃないの?」

「いや、戦闘の時になったら私ひとりじゃ危ないし」


上からは入れるような入り口は見つからなかった。でも何かが壊れているような痕跡もなかった。じゃあ昔の人たちはどこから中に入ってたんだ? 空からか? それならありえるが費用がかかりすぎる。となると水中か?


私は無言で海に飛び込んで島の周りを泳ぎ始める。私はかなりの時間をかけて島の周りを一周回りいくつかの入り口を見つけた。


「うわぁ戻って来た」

「どしたの? そんな幽霊を見るような目でこっちを見てきて」

「いや急に水中に向かって跳び込んだからびっくりして」

「それよりも入り口見つけれたよ」

「え、もしかして水中にあったとか?」

「そのまさか」


離兎は少し遠くを見た後に海に飛び込んだ。私も続いて海に飛び込んだ。水中では会話ができないがスキルで何とかなるのだろうか?


すると離兎の口から泡が漏れた。何かしゃべろうとしたのだろうか。


『スキル《水中会話》を入手しました。』


「聞こえる?」

「聞こえたよ。やっぱりスキルがもらえたね」

「それはどうせもいいんだけど入り口どこ?」

「この壁沿いに数十m先」


泳いで入り口らしきもののところにつく。中に入るとそこには近未来の人工物みたいな扉があった。

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