第12話やっぱりヘルプには自我があるよね?

「うん、まずね、ええと。この床の近くにウィンドウあるでしょ?」「あるね。」


「そこから回収を選んで。」「できた。なんかすごい資材貰った。」


「それで、《建築ビルディング》って唱えて、そこから釣り竿強化を選んで。」


「なんか色々飛ばしてない?」「いや、大丈夫大丈夫。」「飛ばしてることは否定しないんだ。」


そりゃあ本当に飛ばしてるからね。それに関して何か弁明したりする理由もないもんね。俺は正直な人間だから。自分で自分の事正直って言ってるやつは正直じゃないのが99.9%+0.1%だけどね。


「ちなみに目つぶらないとまぶしいよ。」「え。」


俺は言った瞬間に目を隠したから助かった。けど隣の方からものすごい悲鳴のようなものが聞こえる。注意喚起は流れなかったのだろうか? それにしても今目をふさいでるから耳が防ぎたくても防げないせいでめっちゃうるさい。


やっと光が収まった。なんか俺が強化した時よりも光ってる時間長くなかった?


「なんか見たことないような釣り竿になってるぅ。名前は何て言うの?」


「名前は短縮ショートカットの釣り竿ロッド。効果が伸縮自在でいかだの外に持ち出し可能だって。」


「ふむ、今の俺の釣り竿の下位互換だね。」「お前はそれホントに1段階強化か?」「いや? 2段階強化だが何か問題でも?」


初めて見たよ。こんなズルして人を馬鹿にしてくる人。しかも真顔で。真顔で。大事なことなので2階言いました。


「ちなみにだけど正人は1段階の時どんな性能だったんだ?」「ただ魚に向かって自ら飛び込んでく釣り竿。」


なんでだよ。性能だけなら1段階目俺の方が全然いいじゃねえかよ。なんでこう堂々と人を嘲笑えたんだよ。w


「さて、後はのんびり釣りをしようと思ったけど。離兎、この島洞窟とかってあったか?」


釣り竿を銃に変えた時に使う火薬が欲しい。


「ああ、一応あったよ。でもなんか壁みたいなのでふさがってた。爆発したりできるものがあれば多分ゲームみたいに壊れると思うけど。」


・・・行けるか?《問題解決策ヘルプ


ーーーーーー

ええと、破壊ハンマーでは確かに壊せないものはほとんどないですが。それやっちゃうんですか?

ーーーーーー


え、なんかヘルプに質問されたんだけど。やっぱりヘルプって自我持ってる? じゃなきゃ「やっちゃうんですか?」とか聞かないよね?


「その壁壊せないこともないけど聞いたらあんまりおすすめされないんだけど。」「おすすめされないとは?」


「ヘルプ! って唱えてみ。」「ヘルプ。ああ、そゆ事。」


理解が速いっていいね。説明が少なくてもいいから喉が楽だわ。破壊。ハンマーはちゃんと手元にあるね。よし、行くか。


「ねえ、正人、その手に持ってるハンマーはさ、おすすめされてないんだよね?」


「ねえ、離兎はデバッカーって知ってる?」「確かバグがないかとかを確かめる仕事でしょ。」


「うん、俺思うんだよね、ゲームとかでバグを悪用されるのはさ、それをちゃんと対策してない方が悪いんじゃないかって。」「あ~うん、嫌な気しかしないけどそれで?」


「俺自分が楽になるならバグを何の気兼ねもなく使うからさ。このハンマー、一応収納の中に入れて例の壊せそうな壁のとこ行こうか。」「知ってた。う~ん、いやぁ、許されるのか? これ例えるならRPGでチュートリアルの時にそのエリアから出て最初からどっか行くのと同じだよ?」


何を言ってるんだ。そうできるってことは運営がそれを認めてるってことだろ。別にいいのかとかじゃなくていいんだよ。と、昔の俺なら言ってたけどなんか最近そういうズルするの体が拒否するんだよね。精神も変化してきたのか?


「大丈夫、これに関してはホントに冗談。」「ならよかったよ。」


さて、じゃあどうやって壁壊すかなぁ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る