第11話こっちでできた初めての友達
扉を開けた先には生活感のあるログハウスを丸々移したかのような内装だった。なんだか嫌なにおいがする。
「誰も⋯⋯いない?」
さっきまで人がいたかのような雰囲気で、さらに食べかけのパンまである。だがそこに人はいない。
どこかに出かけてる? けど草が踏んで倒された痕みたいなのは近くになかった。人は出て行ってないはずだ。ならばどこへ行った? まさかスキルか?
《
「教えて! スキルの中に別空間に入れたり姿を消したりするスキルはある?」
ーーーーーー
あります。そしてこの空間には歪みがあります。
ーーーーーー
歪み? 一体どこにあるというんだ? そもそも俺が目にとらえれるものか? もしかしたら入口で使っていたかも? それに相手が友好的とは限らない。それなら!
俺は壁に背中を擦り当てるようにして死角をなくす。そしてサバイバルナイフにした釣り竿を今度は木刀にしていつ出てこられても対応できるように中段の構えで木刀を構える。
ピシッ
どこからか音がした。音がした方向に向かって木刀を構える。だがなぜだろう。その方向は違和感がある。何かよくわからないがいや、空間が歪んでる? 周りと少しだけズレてる!
俺はその方向に向かって木刀を振り下ろした。全力ではない。もし本当に人がいて全力の振りがあたったら普通に死んじゃう。
ゴンッ
結構鈍い音がしたよ? え、これホントに大丈夫? 弱めに振ったつもりだったけど遠心力の力でやっちゃった?
「う、痛ってえええええ。何すんだよ。」「うわああああ! 人だあああああああああ!」
「喋ったああああああああああああ!」「この世界で初めて人にあったああああ!」
互いにめっちゃ驚いた。
「え、急に木刀でぶっ叩いてすみませんでした。」「ああいいよ。スキルでダメージ軽減されてるし。」
「どんなスキル?」「ええとね、名前が《自然防御》で、効果が攻撃されたときにダメージを半減させるものだよ。」
かなり強そうだが正直言うと《
「ちなみにどうしてここに?」
「それはね、実は俺異世界人なんだ。」「同じじゃん。」
「まじで?」「マジマジ。」「俺はそこで普通にいつも通り出勤するために駅に行って電車を待ってたのよ。そしたらね。」
「そしたら?」「急にどん! って押されて轢かれて気づいたらここにいた。」
彼も向こうで死んだらしい。こっちに来るには死ぬ必要があるっぽい。そもそもどうしてこの世界に俺たちは呼ばれたんだ?
「俺は会社で急にクビにされて会社出て数秒で車に轢かれて気づいたら女の子になってこっちに来た。」
「ああ通りで話してても友達と話してる感がするんだね。」
「あはは、俺の名前は
「俺は
まあここは正直に答えてしまってもいいだろう。
「いかだだ。」「いかだ?」「いかだ。」
まあ意味が分からないのもおかしくはない。そりゃあいかだでこの島に来たって言われても信じないだろうな。だってこの周りには島見えないもん。
「嘘?」「ほんとだよ。これからどうするかで見せる見せないが決まるけど。」
「俺はここにいても何もなさそうだからついてきたいな。」
ありがたいな。これで寂しくなくなる。これからしばらく二人で旅するのかあ。楽しそうだなぁ。いやぁ何をするにも一人ってなんか寂しいもんね。
「じゃあ行こう。」
その前に。《
ーーーーーー
手をつないだ状態で発動すると一緒に飛びます。
ーーーーーー
「ちょっと手を借りるね。《帰宅》」
俺と離兎はいかだに帰った。
「デン! これが俺のいかだです。名前はありません。」
いつか名前つけた方がいいのかな? 例えば、異世界丸とか? ・・・ださいな。こういうのは苦手だから離兎につけてもらった方がよさそうだ。
「うおぉ。ラフトみてぇ。」「やっぱりそう思う?」
うすうす俺も感じてた。なんかラフトみたいな床だなぁとか階段だなぁとかさ、でも気にしない方がいいかなって思ってた。けどやっぱりそう思っちゃうよね。俺だけじゃないよね。
「うわぁ! なんか色々スキル入手したぁ。何? この《帰宅》と《
ああ、釣り竿は船に乗った奴全員に配られるんだ。それに建築とかも支給か。最初から便利過ぎじゃない?
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