看病

 リヴァディーは、洞窟に運び込んだ少年を見てどうしたものかと頭を悩ませる。人間の手当なんて当然したことなんてない。取り合えず自身が傷を負った時のいつもしている様に傷に良く効く薬草を少年の小指があったであろう場所へ詰め込み、布を破いて巻き付ける。折れた足は、可能な限り元の状態に向きを戻して丈夫な枝を括りつけた。だが、肝心な少年は目覚めないまま、痛みに悶えた様子でうなされていた。


 どうすれば、何をすれば少年がうなされずに済む。アタオタと落ち着きの無い様子で外に出ることもなく洞窟内をうろつき足りない頭で今できることを考える。だが、何も思い浮かばない。なにせリヴァディー自身がやれることは全てやった、はずだ。怪我をしたのが己だったのなら、後は自己回復を待って唯々眠ることしか出来ない。だから少年に私が出来ることなんてない。そんな結論が出た。


 だけど、なんだかそれだけではやっぱり足りない気がする。もっと、何か私に出来ることはないか。横に寝かせた少年の隣に座り込んで、両手で頭を抑えグルグルと知恵を絞り出していると。少年が不意に手を天に掲げたと言ってもその手に力は無く、真上へ突き上げられたその手は肘程度までしか上がっておらずフルフルと振るえていた。


 最初は少年が目覚めたのかと思ったが、少年の表情に視線をやるとどうやらそうでは無いらしい。相変わらず痛みに悶えうなされ続けている。だが一つ違うことがあった。


「ねぇさん。たす けて」


 ゆっくりと、か細くよわよわとした声。兄弟姉妹を知らず意味を理解しないリヴァディーには少年の言葉が誰に向けてのものなのか解らなかった。解らないけど、誰かを呼んでいる。求めている。きっとそれは少年にとっては大切で、己には解らない存在なのだろう。


 だが、もしも、もしもこの手を私が取り、少年の苦しみが少しでも癒えるのであれば、そんな思いを抱いたからか、無意識にリヴァディーは少年のよわよわと上げる手を握りしめていた。力は込めず、ただ少年の無事を祈る思いを込めて竜人の娘は相容れない筈だった人間の少年の手を握る。


 洞窟の外では、今の私の心境でも表しているかの様に、さぁぁっと久々に降る雨の音が聞き心地よく流れている。


 この出会いは人間達のいう運命と謂うものなのだろうか。リヴァディーは、ふとそんなことを思い、もしもあのまま放って置けば洞窟の外流れ続ける少しの判断ミスで命を奪いかねない自然の恐怖とそうしなかった今目の前にいる少年の和らいだ様な表情を見て思う。


 雨が止みすっかり日が沈んだ頃、ようやく我が愛しき枯れ草ベッドを占領していた少年が目を覚ます。


「ねぇ さん?」


 ぼんやりとした目でリヴァディーを見る少年はそんな事を口にした。そしてゆっくりと頭の先から下へと目を追わせた後、掲げた腕を握る鱗肌のごつごつとした人間離れの腕を見て、一気に血の気が引いたような表情のまま固まる。


「だ、だれ」


 怯えて震えた声で言う少年は、握られていた手を振り払い体を引きずって後退る。そして恐る恐るリヴァディーの様子を伺いながら周囲に目を向ける。リヴァディーにとっては見慣れた住処の光景。だが、外から来た少年からしたら目覚めた時には、近くで燃える小さく僅かな灯しか光源となる様なものがない薄暗い岩肌が剥き出しの洞窟の中だったのだ。


 少年はただ怯えることしか出来ず、そして次にリヴァディーがどう動くのかを伺うことしか出来ない。少し、また少しと、せめて僅かでも目の前にいる畏怖の対象から離れようと足を引きずる少年。だが、少年はこの瞬間まで驚きの連続故に自身の体がどういう状態だったのかを忘れていた。


「痛っ」少年の切断された小指があった場所に、不意に痛みが走る。後ろへ後退る際に傷口の部分に、尖った岩肌が触れたのだ。痛みはある、だが耐えられる程度の痛みだ。傷口が開いたままであれば、この程度で済むはずが無い事を少年は知っている。だから不思議に思い痛みの元、自身の右手の先を視界に移動させる。そこには、汚れた布でグルグル巻きにされ布の隙間から葉の様なものが飛び出した己が手。いささか雑ではあるが、察するに手当を受けたと言うことだけは理解出来た。


 続いて足を見る。鈍器によって見事に叩き折られ、方向が反対に曲がってしまっていた自身の足が少しズレているが、おおよそ元の方向へ戻った状態に在り、更には添え木までされている。


 どういう訳か知らないが、今目の前にいる本来は畏怖すべき対象は、どんな目的があるにせよ己を助けようとしてくれていた。それだけは理解出来た。いつだって、こちらを襲い自分を喰らったっておかしくない様なそんな捕食者。そう思い少年は恐れた。だが、その恐れていた対象は、まるでこちらの心配をするかの様に、不安そうな表情でこちらを見てくる。


「ダイじょうぶカ?」


 ぎこちない言葉で少年にそう尋ねるリヴァディー。少年はリヴァディーの様子に戸惑いながら恐る恐る「僕を食べないの?」と尋ね返す。


「タべル? ばかを言うな。同じ見た目のヤツを食べるなんて気持ちが悪いだロ。ソレともお前は同族を食べるのカ?」


 まるで当然の事だろうと、そう言うかの様に返すリヴァディーに少年はあっけに取られた様子で些か硬直して、ハッと気が付いた様に「食べるわけないだろ」と答える。


 リヴァディーはその様子に納得したように頷き、おもむろに立ち上がりこちらへ手を伸ばして来る。少年がその手を掴もうとすると、リヴァディーの伸ばして来た手は少年の手

を素通りし、少年の腰回りへと回し込む。


「え、えっ。っえ」 


 ぎゅむっとリヴァディーの豊満な胸に顔を埋め何事かと戸惑う少年の事などお構い無しに、リヴァディーは片手で少年の腰に巻かれたベルトを掴んで、少年そのものを持ち上げた。まだ幼いとは言え十二にもなる子供一人を軽々と持ち上げる人間ばなれしたリヴァディーの怪力に、やはりそもそもの存在からして人間とは違う生き物なのだと再認識する。


 そんな少年の心情に構うこと無く、リヴァディーは「メが覚めたなら、いつまでもアタシのベッドを使ってるんじゃないゾ」と言いながら、腰を下ろすのに丁度いい程度の岩に少年を座らした。


 リヴァディーが手を離し少年を見やる頃には、少年の表情は赤らんだり、はたまた青ざめたりと代わる代わる表情を見せていた。


「ナンだ? 腹が減ったのカ。 元気が無い時はメシだナ」


「あ、いや。お腹が減っている訳じゃ」


「腹が減るのをガマンするのはよく無いゾ。イイから座ってロ」


 リヴァディーは、少年の弱々しい反論に聞く耳を持たずに昨日食べた干し肉の残りを奥から取り出し、それを引きちぎって大小の大きさに別ける。当然大きい方を食べようと手を伸ばすが、そこでタイミングよく盛大に鳴った少年の腹の音を聞き、伸ばしていた手を止める。リヴァディーは、鳴りやまない少年の腹の音に少し気まずそうに顔を引きつってから、大切れの方の干し肉を掴み少年の方へと投げる。


「そんな、こんなに頂けませんよ」


「イイから、食べろ怪我人は沢山食べて怪我を早くナオすことだけを考えておケ」


 遠慮して断ろうとする少年に、リヴァディーはそれだけを言って小切れの方の干し肉を頬張って、そっぽを向く。


 一方で、大切れを渡された少年は、リヴァディーに従ってその干し肉を食べようとするも、元より竜人であるリヴァディーが力を込めて嚙み切る程に硬い肉を人間の少年が噛み切れる筈もなく。かと言ってリヴァディーの厚意を無碍にすればそれこそ命が無いと思ってか、少年は必死に硬い干し肉に喰らい付くのを辞めない。


「ナンだ、人間の顎はそんなに弱いんだナ。仕方ない、食べさせてヤル」


 少年の様子に気が付きリヴァディーは、少年の手から大切れの干し肉を取り上げ、それを自身の口に含む、顎に力を入れカチカチと口の中で歯を鳴らす。そしてそのまま干し肉を飲み込むことは無く、ペッと手に吐き出して少年の口の中に押し込んだ。


「昔、狼がヤッているのを見てナ。弱いヤツはこうすれば食べられるんだロ」


 リヴァディーは、自分がこれまで蓄えて来た知識が役にたった事がうれしいのか、得意げにそう言って、手にした干し肉の全てを同じように噛み砕き、少年の口の中へと押し込む。先に強靭な顎を持つリヴァディーの租借が行われたおかげで食べやすくはなったが、当然のように唾液の付いたそれを口に押し込まれている事に対してか少し複雑そうな表情をしながらも少年は押し込まれ続けた肉を全て食べきるのだった。


「ヨシ全部食べたナ。後は…………ヤルことも無いし、寝るカ」


 最後に水袋に入れていた水を飲ませた、お前はそこで寝ろと一言少年に言った後、リヴァディーは少年を乗せたことで、少し崩れてしまった枯れ葉のベッドを再び理想の形に直して、そのまま横になる。


 ぱちぱちと消さずに置いた灯が薪を糧に残り僅かな余生を過ごすなか、突然放置され足が折れている為に、その場を動くこともまともに立ち上がることも敵わない少年は言われた通りにリヴァディーの言葉に従い、岩に持たれる形で横になる。


 出来ることも無いし急に眠れと言われても眠れないものだから、呆然と今まさに消えかけの灯を見ていた。徐々に色が薄くなる火、まるでその火の様に熱が奪われている様に少年は、くしゅん。っとくしゃみをしてしまう。ひんやりとした岩肌、そこに地下に横になっていたモノだから服を着ていたとは言え体が冷えてしまった。


 くしゅん。くしゅん。自分で止めようと意識しては見たもののそう簡単に止められないのがくしゃみと言うもの。くしゅん。くしゅん。まるでくしゃみを繰り返す度に全身が冷えて行く様な恐怖を感じた。だが、体はこんなにも冷えていると言うのになぜか頭は熱くなり働かない。あぁ、これは風邪を引いたんだとそう思った時にはすでに少年の意識は薄れていた。


 ドン。鈍い音がした。小さく普段なら聞き取ることが難しいその音でも、静かな洞窟内で反響すれば、深い眠りに入りかけていたリヴァディーを起こすには十分だった。


「ン。ナンだぁ。眠れないのカ」


 些かダルそうに音のした方向、つまりは少年を座らせた場所を見ると床に倒れ、目を閉じたまま苦しそうに荒く呼吸を繰り返す姿が目に映った。


「ナ。ダ、ダイジョウブか。痛いのカ。苦しいのカ。あ、ア、ど、どうすれバ」


 倒れる少年に駆け寄り、でも何をすればいいのか解らずアタフタと少年の傍で手をただ空に振ることしか出来ず慌てるリヴァディー。何が起きているのか解らない。でも少年の状態が危険であると言うことは理解出来る。でも、生まれてこの方、風邪や病の類には縁の無かったリヴァディーには少年が何によって苦しんでいるのかが理解出来ないでいた。


 このままでは今目の前にいる少年の命は助からない。それだけは少年の苦しみ様から読み取れ、何とかしなければと言う使命感にも似た思いから先ほどの看病の様に少年の手を取り握る。そうすれば、さっきの様に少年が目を覚ましてくれると思ったからだ。だが、今度は少年が目覚めることは無い。それどころか少年の手が異様な程汗を流していることと同時に熱が失われている。リヴァディーの行いが生んだ結果はそのことに気が付いただけだった。


 さらに言えば、手から失われている熱は、握る手のみに留まらず少年の体全体が同じ状況である事に気が付く。人間は体温を維持する生物だ。蛇やトカゲ、ましてや竜の様に周囲の環境に併せて体温を変えると言うことが出来ない。体温は生きていく上で重要な要素だ。リヴァディーはその事を身をもって知っている。だから解る。このままではダメだ、何としても少年の体を暖め、無理やりにでも体温を高めなければ。


 意を決し、リヴァディーは自身と少年の衣服を脱ぎ捨て、少年を自身の胸へ抱き寄せる。消えかけだった灯には薪を加え部屋を暖かくし、その上で高まった熱を逃がさない様に厚手の布を自身と少年を巻き付ける様に覆う。そして、ふかふかの枯れ草ベッドの上で少年の弱々しい命を守るかのようにギュッと抱きしめた。まるでひび割れたガラスの瓶を扱う様に力は込めず、されど決して落としてしまわぬ様にしっかりと確実に、そして祈る様に抱きしめる。


 その行為は一晩経てども終わらない。翌日もあるだけの薪を焚き続け、肉と水は口移しで無理やりに押し込んだ。その間も決して少年を手放すことはせず抱きついたまま、思い憂う慈母の様に、親しみ慈しむ敬姉の様に、寄り添い支えあうつがいの様にリヴァディーは自身が出来うる少年を助けられるかも知れないと思い上げた方法の全てを行った。


 そして、少年を連れて返ってから二日が経った日の朝、顔色も落ち着き冷え切っていた体にも熱が戻った少年が、まるで何も事情を把握していないかのような様子で、ゆっくりと目が覚める。


「うぅん。ん!!」


 目を見開き、意識を失う前とは打って変わってかなりの至近距離にリヴァディーの素顔が目の前にある。慈しむ様な目で見てくるリヴァディーの顔は、人間のモノと何も変わらない。直ぐ下を見れば恐怖の象徴であり畏怖の対象である竜のモノと同じ鱗肌の手足がある。その事を頭で理解は出来ど、生まれてこの方、姉以外の女性の顔をこれ程にまで間近に見たのは一度も無かった少年にとって、驚きと戸惑いで思考が止まるには十分な衝撃だった。


「ン。ヨウやく目が覚めたのカ。寝坊すけガ」


 目覚めて直ぐに動きが止まった少年に向かい、リヴァディーは優しくそう言ってから、心底安心したように胸を撫でおろし、そのまま疲れ果てた様に眠りに付いた。のも束の間少年の間近で、金切り声の様な盛大ないびき声が鳴り始めた。耳をつんざく様な大音量を目の前で垂れ流されて、風邪で倒れた時とは別の意味でまた倒れてしまいそうに成りせめて耳だけでも塞ごうと腕を動かしたその時だった。柔らかいモノが動かした腕にあたる。


「へぇ? って、はだ!? え? え!!」


 突然の感触の正体を確認しようと下を向いたその瞬間に目の前に現れたのは肌色の光景。まだ幼い少年には早すぎる刺激に脳が麻痺して、耳元で鳴り続ける金切り声のいびきなんて入ってこなくなっていた。


 少年は、怪我で倒れた時や風邪で倒れた時よりも尚熱く、尚赤く顔を染め初々しい反応を見せる。だが、その元凶たる当の本人は、哀れ少年の初心で貴重な反応を見ることも無く、無防備に口を開き盛大なあくびを上げながら寝ているでは無いか。


 恥じらいと動悸で一杯一杯に成るも、何とかリヴァディーの拘束から抜け出した少年は、脱出の過程で広がってしまった毛布代わりの布で露わになる自分には刺激が強すぎる肌色部分を隠し、何とか平常心を保つ為に深呼吸を繰り返す。


 そして、ようやくの落ち着きを取り戻した少年は、脱ぎ捨てられている服を拾い着て、助けてくれた恩人の服をきれいに畳み、いびきの合間にむにゃむにゃと寝言らしき言葉にもなってない何かを唱える横にそっと置く。


 朝日によって多少は洞窟の内部が明かりを使わずとも見える状態。看病を受け始めて洞窟内を見た際には僅かな光源のみで見えなかった仔細な部分が見え、少年は助けてくれた恩人に対しては悪いと思いつつも街から外に出ることも滅多にない身では、湧き上がる冒険心には抗えないでいた。


 軽く当たりを見回してみると、そこで目にしたのは泥、砂、葉。人間の扱う道具が点在してはいるものの洞窟の入口から侵略して来たであろうそれらが殆どを占めていた。しかも、点在する道具の数々も外部からのそれら侵略者によって汚れが目立つ程についているしまつ。これでは多少割れているとは云えその豪華さは健在の銀食器や陶器の食器達が見る影も無いと言うもの。


「――――よし」意を決したかの様にそう口にすると、少年は自身の袖を捲る。


 約三時間程の格闘を終え、少年はふぃ――っと汗を拭う様に額に腕をあてた。洞窟の入口周辺からリヴァディーの寝床までの間は、変わらぬ岩肌だと言うのに磨かれたのかと見紛うようにキラキラと輝いている様に錯覚する程度にはきれいになっている。床に並べられた食器もかつての輝きを取り戻す様に光を反射していた。当然だ、少年が丁寧に磨いたのだから。日々鎧や皿を磨き続けた少年にとってこの程度は造作もないこと。


 まだ洞窟の奥の方、外からの光も届かない暗闇には薪として使う枝も無いので、光源となるモノも無いなかでは、さすがに近づくのは及び腰になり足が動かなくなってしまったので今回は手を出さなかった。だが、後一か所手を出せないでいる場所がある。それは、この洞窟の主。隣で少年が汗水掻いて掃除をするなか全く気が付いた様子もなく呑気に寝続けているリヴァディーの体だ。


 泥塗れの住処に住んでいたのだ、当然その体も泥塗れになっているのは当然のことだった。本人はさほど気にしていない様だが、この状態は衛生上良くない。そもそも少年が風邪を引いたのもこんな汚れていた空間にいたからなんじゃ、このままでは助けてくれた恩人も風邪を引いてしまうのでは。


 と思った少年は、助けてくれたお礼として掃除を開始した訳なのだが、よくよく考えたらこの家主は元よりこんな空間でも長らく生活して来ていたのだ。もとより人間と竜とでは免疫能力もまるで違うだろう。そもそも病気に掛からないからこんな場所で生活して来たのではとすら思えてきた。もしかして余計な事をしてしまったのではと後になって気が付く少年。


 そんな少年の不安もよそに、隣で呑気に眠りこけていたリヴァディーは「ウ――。ウーン。ふがっ」っと独特のあくびをしながら、むくりと起き上がる。いつもの様に皿に溜めた水を顔にかけて目覚ましにしようと手を伸ばすが、いつも置いている場所に在るはずのモノが無く、あれ? あれ? と目を閉じたまま手探りで探していた。だが、残念なことに幾ら探した所で見つかる筈がない。なぜならその食器は少年が先程、丁寧に汚れを落とし他の皿同様に洞窟の隅の方で纏めたおいてあるからだ。当然水もその際に使った。


 その事実を知らないリヴァディーは皿を探し続け、毎朝のルーティーンを知らない少年はその行為に何の意味があるのかが解らず注意深く見守っている。


 そして皿が見つからない為諦めたのか、リヴァディーは判目を器用に鉤爪で擦りながら目を開け「ン。ン――――。おはヨウ」と少年に声を掛けるのだった。


 完全に意識を覚醒させたリヴァディーが少年に勝手なことをするなと怒るのは、この数秒後のこと。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る