竜人娘のたからもの

針機狼

拾い物

 今この世界は二大の種が覇権めぐり相争っていた。

 一方は生物の頂点であり至高の存在たる生物。厚い鱗と鋭い鉤爪。一度羽ばたけば一陣の風を吹かせる翼。岩をも裕に噛み砕く顎を持ち、火すら体内から吐き出す様な力強き生物。竜。又はドラゴンと呼ばれる種。


 そしてもう一方は、生物としては非常に弱く非力でありながら小細工と数を武器にあらゆる者達と渡り合う勇ましき生物。人間と呼ぶ種。


 竜が自由に大空を飛び世界を見下し、人間が必死に地面を駆けずり回り天を見上げる最中で、竜に非ず竜でもあり人間に非ず人間でもある半端者。竜と人の子、いずれ竜人と呼ばれる事となる存在は、人里を離れ竜とも関わらず森の洞窟で気の向くままに生きていた。


 ごつごつとした岩肌の上に敷いた枯れ草をベッドにして、全身の力を抜き、ぐうたらと横になりながら涎を垂らして気持ちよさそうに眠る存在。これがこの物語の主役たる存在、竜人の子リヴァディーである。


 人と同じ背丈ながら、その手足と背中は竜のものと同じ鱗肌と翼尾を持ち、頭部には二本の控え目な主張をする角。だが、それ以外は、人間の雌雄で言う雌となんら変わらない。


 それ故にその見た目に騙された者は数知れず快楽や金銭を目的に襲う者も多い、だがその悉くは人間以上の存在足る竜としての強大な力を前に返り討ちに遭ったものだ。


 見た目こそ人間に近い彼女の能力は竜のモノに等しく、だが必要なエネルギー量は竜寄りも少ない。そんなハイブリッドな生物だからこそ、リヴァディーは他者の庇護無しに独りで生きていけるのだ。と、そう言えば聞こえは言いが、事実は竜と人との混種として両者から忌み嫌われ追いやられ、隠れ潜んでいるだけに過ぎない。独りで生きることを強いられ、ただ一人、誰よりも強くあらねば安寧を過ごすことも叶わない。独り孤独に涙を流すことも多かった。


 しかし、そんな彼女も肉体の成長と共に余裕が生まれるようになった。元より純粋な生物としての能力だけで頂点に立ちうる竜の力を持ち合わせてある故に、森に生きる獰猛な動物に全く引けを取ることもない彼女に危険などそうあるモノでも無く。独りで生きることに成れた頃には、洞窟のあるこの森で彼女に敵いうる生物等居なくなっていた。だが、そんな彼女にも恐れる存在は居る。それは――――っと、彼女が起きた様だ。


「ウ――。ウーン。ふがっ」独特のあくびをしながら彼女リヴァディーは目を覚ます。眠い目をごつごつとした鱗肌の手から伸びる鉤爪で自らを傷つけないよう器用に擦り、判目を閉じたままもう片方の腕で枯れ草ベッドの周囲に置いてある幾つかある割れた食器の内の一つを手に取って、溜めていた僅かな水を顔に勢いよくぶっかける。


 目をぱちぱちと何回も瞬きを繰り返し、最後に二本の足で立ち上がって、ウ――――と大きく唸り声を上げながら両手を天に向けて伸ばす。そしてふっと力を抜いて、パシンと頬を叩きようやく頭を目覚めさせる。毎朝この動作を一時間かけて行う。こうしてようやく彼女リヴァディーの一日が始まる。既に外の陽光は頭上にある時間帯ではあるが、人間の尺度で言う時間間隔に囚われない彼女に取ってはいつもの光景だ。


「サテと、今日もお宝探しに行くゾ」そう独り言を呟いたリヴァディーは、おもむろに洞窟内に散らかした道具をかき集め使えるモノとそれ以外に別ける。肩下げ鞄に水袋を詰めて、幾らかの空間を確保したままそれを担ぎ上げる。


 独りで生きてきたリヴァディーは当然人間社会での常識もそこで作られた道具の使い方も理解していない。ただ、生きていく上でこうした方が効率的だと。そう判断して道具の使い方を考慮し自己流の扱い方をする。


 現に彼女が担いでいる肩下げ鞄は字面通りに肩に掛けるモノなのだが、リヴァディーは翼を畳んでそこにまるでリュックサック背負う様に担ぎ上げている。鞄の中に詰めた水袋は本来医者が採取した血液を保管する為のモノなのだが、水筒代わりとして使っている。リヴァディーは竜人だからこそ毒に対して強いため平気だが、通常の人間がそれに汲んだ水を口にすれば、感染症のリスクを伴う危険なモノだ。


 その様に、知らないからこそ危険を恐れず己の扱いやすい様に道具を利用するリヴァディーだが、彼女はこれらを何処で手に入れたのか。その答えは、先ほど彼女が口にしたお宝探しに関係している。


 準備を終えたリヴァディーは、片手で目を眩ませる陽光を遮り周囲を見渡す。


「ヨシ、縄張りに入る愚か者はいないナ」洞窟の外へ出る際、そして外から戻る際にリヴァディーは、この儀式を行う。何せこの洞窟は彼女が唯一心休まる場所、知らぬ誰かに汚されては引っ越しも検討しなければならない。


 幾ら竜に等しい力を有するリヴァディーでも、寝込みを襲われれば即座に応戦出来るとは限らない、それに家主がいない間に敵の侵入があればせっかく作ったお気に入りの枯れ草ベッドを奪われてしまう。それどころか奪うに留まらず壊されるかもしれない。あの極上の寝心地を体験させる枯れ草ベッドを完成させるのに何年費やしたか、その苦労を水の泡とされては堪ったものではない。一号と二号の時の様な悲しみはもう味わいたく無いのだ。


 警戒に警戒を重ね、だれも縄張りを荒らした様子が無いことを入念に確認してようやくリヴァディーは木々の群れへと歩みだす。ちなみに、この確認だけで更に一時間が経過している。当然戻る時もこれを行うので、行って帰るまでの時間の猶予はそれ程無い。


 洞窟の出入り時からは考えられない程の速さでリヴァディーは森の中を駆け巡る。背後の鞄が勢いで飛ばされない様にしっかりと畳んだ翼で器用に掴みながら視線だけは引っ切り無しに左右上下前を見やる。自身が付けた縄張りの印たる爪痕が上書きされていないかを確認する為だ。


 一見誰も敵わない様な強さを持つリヴァディーだが、そんなリヴァディーにも天敵と謂うモノも存在している。そんな連中が時折通り道としてこの森を抜ける事があるので警戒を怠る訳にはいかないが、一先ず奴らが通った痕跡らしきものは見当たらないので、少しだけふっと息を吐く。すると、熱の籠った吐息が小さな火が漏れる。


 こんな小さな熱でも奴らはこちらの存在に気が付く、森にいる間はおちおち呼吸も出来ないとは息苦しい限りだ。ならばなぜ天敵が通るような森に住んでいるのか? それは。


「ミツケタゾ。お宝」


 リヴァディーは喜びを噛み締める様にそう小さく呟く。川に乗って流れて溜まった上流の街に住む人間達が不当に投棄したゴミの山。だが、人間との関わりが無く、自ら道具を作ることも出来ないリヴァディーにとっては、人間にとって無価値と成ったこれらはまさしく生きる為に必要なモノ。お宝なのだった。


「オォ。これは中々、前持っていけなかったモノもまだ流されてないナ。お、こっちの新しいのも色々使えそうだゾ」


 目的地に辿り着いたリヴァディーは、喜々として宝の山へと手を突っ込み、ゴソゴソと漁り出す。そして持って行くモノと持って行かないモノに別けて、担いできた鞄を下ろし詰め込めるだけ小物を入れる。ついでに持ってきた水袋の中身を飲み干した後に新しい水を近くの川で汲む。


「ヨシ。今日はこのくらいで良いカ」


 リヴァディーは、持って行きたかったが鞄に入らなかったモノを明日取りに来る為に、川の傍の地面に皿の様な穴を掘り、そこへお宝を置く。川が増水したり、雨が降れば流される程度の場所だが、その二つの事が起きない限りは無くなることも無いのだ。雨事態は早々降る場所では無いし、川も流れを塞き止めてしまわない様にはお宝の山を動かして調整している。つまりは、絶対明日も取りに行けるから、わざわざ川から離れたところに移動させる必要が無いのだ。リヴァディーは、少々面倒くさいがりな所があるのだった。


 お宝を入れて重さを増した鞄を再び翼で器用に担ぎ上げた頃には既に日が傾き、陽光も茜色に染まっている。この時間帯に成れば余りもたもたしてられない。光源なんて火ぐらいのモノしか持ち合わせていないリヴァディーにとっては、夜の森に留まる訳には行かないのだ。


 なにせ夜の森では、明かり一つ熱源一つが致命的に成り兼ねない。元より昼夜を問わず好きな時間帯に生きる竜種と同じ瞳の構造をするリヴァディーの両目は、猫が暗闇で僅かな光を反射してキラリと光らせる様に、光のだ。夜空の月明り程度の光ですら光ってしまう。こんな日が落ちれば暗闇と音しか残らない森の中で、そんな光があればこちらの存在が天敵に見つかり兼ねないのだ。


 だが、鏡を扱わないリヴァディーにとって自身の目が暗闇で光っていることなど知りようがない。昼も夜も見え方が若干明度の違いがあるという程度でリヴァディーにとっては光源の有無など見える距離の違いを生む程度のこと。日が暮れたからと行って移動そのものに差支えが出るという事は無い。ではなぜ光源を持たないのに、己の目が暗闇で光ことも知らないのに急ぐ必要いるのか、それは単純に経験則に基づく行動だというだけの話。


 過去リヴァディーは暗闇を移動する際に限って、何度も天敵と遭遇することが遭ったのだ。リヴァディーにとって天敵が真に狩りをする時間帯は陽光が隠れた時間帯からであると身に染みて記憶しているからだ。


 リヴァディー調べでは天敵の行動時間は深夜以外全てということ。朝はそれ程数を見ないし遭うことも少ないだが、時折遠征に出かけているのか団体で移動する姿を目にする。昼から夕暮れにかけて奴らは点々と見かける様になる。だが、その時間帯はあくまで少数での移動が殆どだ。リヴァディーがこの時間帯に行動するのはこれが原因である。だけど、夜から深夜にかけての時間帯、これは非常に危険な時間帯だ。奴ら天敵は夜に限って行動が大胆になる。他の森に生息する動物が大半眠りにつくこの時間帯に奴らは狩りを行う。まばらに散っているが一度獲物を見つければ、大声を上げながら一呼吸の合間に集まり獲物を逃がすまいと取り囲んで来るのだ。


 これまでは、偶然や運の良さに救われ逃げのびた。だが、次に遭遇した際にその幸運が今も続いているとは限らないことをリヴァディーは身をもって知っている。故に急ぐのだ。


 多少の音を立てる事は気にせず一目散に己が住処へと、なぁに今の時間帯ならギリギリ音を立てた所で野生動物が獲物を追っている程度にしか認識されない。例え天敵と遭遇しても陽光が完全に隠れる前ならばそれ程数がいる訳ではないので簡単に振り切れる。だからこそ何に気兼ねすることも無く唯々全力で森の木々を掻き分け進む。


 もうすぐ、もうすぐで住処に辿り着く。我が安息の地。我が宝物庫。我が愛しのマイホームへ。と、そこでリヴァディーは一旦足を止めて息を殺した。理由は単純、天敵が、奴らが、鎧纏う者。人間が近くにいるのを感じ取ったからだ。


 呼吸はゆっくりと小さく、音を立てず慎重に人間の臭いを辿り草花に隠れて様子を伺う。大丈夫まだ日は落ちていない。住処が近い場所といえどまだ慌てる必要もない。ゆっくり、そうゆっくりと落ち着いて、相手の動きを観察するのだ。リヴァディーは自身に言い聞かせる様に心の中で安静を保ち、人間の数と動向を確かめる。数は三、行き先は上流の街か。


「なぁ、兄弟。あいつ、あのまま捨てて行って大丈夫だったのか? もしこの事がバレたら俺ら」


「大丈夫だって、返り討ちに遭っておっちんだとか言えば奴らも納得するさ。そのために小指を取ったんじゃないか。それに相手は碌な用意も出来ない万年騎士見習いをしているようなガキだ。居なくなった所で誰も文句言うやつなんかいねぇよ」


「そっか、だから兄弟はあいつを誘ったのか。さすがだぜ兄弟」


「それにしても、遠征に連れて行くって言った時あいつの顔は、傑作だったすね兄貴。ぷぷぷ、今思い出しても笑えて来るぜ。なにせ希望に満ち足りた顔をしてやがったんだからな、自分がただ囮に使われるだけの使い捨てとも気付かずに」


「そう言ってやるなよ。あいつは囮として十分に俺らの役に立ったんだからさ。まぁ、まさか生き残るとは思わなかったがな、しかし残念だったなぁ。足さえ折れて無けりゃ連れ帰ってやったのに」


「なに言ってんですか。その足を折ったのは兄貴じゃないですか」


「いちいちそう言う細かいことを言うんじゃねぇっての」


「痛て。兄貴怒らないで下さいよぉ」


「ほら兄弟、バカやってねぇで早く帰るぞ。せっかくあいつの分の報酬も入るんだから、今日は朝まで酒を飲むって約束じゃねぇか」


「相変わらずお前は、酒が絡むと切り替え早いよな。まぁいい。とりあえずさっさと戻って酒だ酒」


 森を歩く三人は、そんな事を話ながら川上の方にある街の方角へと向かい歩き去って行く。話の内容は少々気にはなったが、弱い人間を囮にするのは人間のする狩りで時折目にすることはあった気にする必要もない。それにあの三人組がこちらに気づいていた様子は無く、わざわざ誘い出す為に油断を誘う振りをした罠の可能性は少ないだろう。触らぬ神に祟りなしとも言うし、わざわざ事実を確かめる必要も無い。そう判断して、リヴァディーは愛しのマイホームへと戻るのであった。


 夜闇に輝く月明りすら届かぬ洞窟の中、通常なら殆ど何も見えないであろうこの場所だが、リヴァディーの目なら僅かにモノの配置程度は見えている。とは言え、全てが見えている訳でもない。洞窟の奥まで行くとさすがに光源の一つでも無ければなにも見えやしない暗闇が広がるばかりと言うもの。


 リヴァディーは、洞窟の様子が見えるか見えないかのギリギリの場所に置いてある火打ち石を器用に扱い、食器を土台にして置いてある枯れ木に火を付ける。勢い良くとまでは行かない淡い火が暗闇に覆われた洞窟の中を仄かに照らす。出入り口が一つしか無いこの洞窟の内部では、外部から見つからない程度の外に漏れない明かりを用意するのに、それ程多くの薪を必要としない。雨が降る事も少ないこの土地では枯れ木を見つけるなんて簡単なので足りなくなった時に一日を使い拾い集めれば、一々人間に見つかる危険を冒してまで木を伐り倒さずとも一月程度は持つ程の数の枯れ枝が集まる。


 これもリヴァディーが独りで生きて行く為に身に着けた技術だ。一度に必要なモノの数は幾らか、それを幾つ程集めればどれ程の時まで持つのか、数を数える。これは人間以外の生物にとってはさほど意味を成さないモノ。そもそも頂上の存在である竜にとって数など大したことではない、竜はモノに対して数よりも質を好む生物だからだ。


 ならば、なぜ竜の血を引くリヴァディーが数を数える必要があるのか、それは彼女が竜と人どちらもの要素を持っているが故、寒さ暑さに強い竜に対して、人間はそのどちらも己だけでは対処が出来ない程に弱い、故に道具を扱う必要がある。原理を知る必要がある。環境を利用する必要がある。


 リヴァディーは、環境に適応するという竜の能力が欠落し、環境に自らの身一つでは適応出来ない人間と同じ能力であった。この世界にも冬は訪れる。暖を取る技術、火を起こす術、火が起こる原理。それは意識的に覚えようとしなければ生きて行けなかった。竜でありながら人の真似事をし、人の言葉を覚え、人の道具を扱う。そうで無ければ生きられず、そう在った故に両者から迫害された。明かりを扱う術も、獲物を捕らえる罠を張る為に使う道具も、生きる為に数を数える習慣も竜には必要の無いモノであり、竜の身でありながら人の真似事をするリヴァディーを人間は気味悪がった。


 それでもリヴァディーは強く生きている。誰からも認められず誰からも必要とされないそんな彼女だったが、時折その孤独に耐えかねる時もある。だからこそ彼女は宝を探すのだ、自身の行いに不満を持たず。ただ自身の行いに結果として答えを返す無機物の友人を求め彼女は、天敵に見つかる可能性があっても尚、あの宝の山へ向かい続ける。


 独り、保管していた干して日持ちさせた肉を喰らい、鞄の中を整理した後に心休まる枯れ草ベッドへとダイブインする。明日は、今日持って帰れずにいたお宝を取りに向かう日だ。明後日は、仕掛けていた罠の様子を見に行こう。そしてその次は。今後の予定を頭の中で立てながらリヴァディーは、ゆっくりと夢の中へと潜って行く。


「オヤすみなさイ」


 人の言葉を真似た眠りの儀式言葉に返ってくる返事などあるはずも無く。それでもいつか、その言葉を聞ける日が来ればと願わずには居られない。そんな無意識から来る言葉を最後に彼女の一日がこうして終わる。


 翌日、いつもの時間に目が覚める。小鳥のさえずりはとうに過ぎ、朝露も既に落ちた時間帯にようやく、独特のあくびをしながら目を覚ましたリヴァディー。


「ウ――。ウーン。ふがっ」


 いつもの様に顔に水を掛けて、目をぱちぱちと何回も瞬きを繰り返し、ウ――――と大きく唸り声を上げながら両手を天に向けて伸ばす。それから、ふっと力を抜いて、パシンと頬を叩きようやく、少しいつもと違うことに気が付いた。


 嫌な臭いがする。血の臭いだ。それも直ぐ近くから。リヴァディーはゆっくりと警戒しながら臭いの元を辿り洞窟へと向かう。


 洞窟の入口から目と鼻の先、つまり目の前にそれはあった。折れた足を引きずり、右手の小指は根本から斬られ、切り口からは血が流れている。まだ年端もいかない人間の雄。たしか人間達はこのぐらいの年頃の雄を少年と呼んでいただろうか。


 倒れる少年を見てリヴァディーは昨日、人間の三人組が話していた会話を思い出した。


「ソウカ、お前も捨てられたんだナ」


 普段ならわざわざ人の縄張りに来るなんて迷惑なと思う所だったのだが、少年の痛々しく苦しみに悶えた表情を目にして、なぜか捨ておく気にはならなかった。


 なにをやっているのか。きっと未来の私はそんな事を口にするのだろう。でもそれでも今、この少年を見捨てることは私自身を捨てる事と同義だと思ってしまったんだ。


 リヴァディーは、倒れ苦しみ微かに息をするその少年を抱き上げ洞窟の中へと連れて行く。

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