第41話

「こいつは ヒデェな」


 ザイルピックが、住居エリアに到着すると嵐でも来たのかという惨状にビックリする。


「まだ 燃えて間もないようだ

先見隊が やったみたいだな」


 兵士が、ロボットのコゲ具合を見て言う。


「住居フロアだが 誰もいなかったということか………」


 ずいぶん前に、住民はいなくなったようだ。


「おい

金品の略奪はするなよ」


 注意する兵士。


「了解」


 一応、金品をまとめるベテラン。

 万が一の時には、すぐ回収出来る。


「うーん 特におかしな点は無いな」


 隠し部屋とかも見当たらない。


「そうですね」


 壁を、叩いて確認する兵士。


「よし 次のフロアに行くぞ」


 ザイルピックの、背中を叩く兵士。


「えぇ………

もう帰りてぇー」


 ザイルピックは、気が進まない。


「まぁ そう言うなって

こうやって ガードロボットも排除してくれてるんだしよ」


 楽に、調査が出来ているので帰還したい意味がわからない兵士。


「まぁ………

もう1階だけ上がるか」


 仕方なく、折れるザイルピック。


「そー来ないと !!」


 ザイルピックの、背中を押してルンルンな兵士。

階段を、かけ上がる。


「ここは 機械がたくさんあるフロアだな」


 機械は、電源が入っているのだが、かなりホコリをかぶっている。


「こっち 誰か倒れてます !!」


 女性らしき人を、発見する兵士。


「なにい? 兵士か ??」


 仲間かと、確認するのだが、


「あっ違います

ロボットです」


 先見隊が、倒したガードロボットだ。


「なんだよー

結局誰もいない廃墟ってか!!」


 肩の、チカラが抜ける兵士。


「これなんだろ

ポチッ」


 自動販売機の、ボタンを押すザイルピック。


ピピピピピピピピピピ

ピッピッ


 自動販売機が、点滅している。


「おっ

なにか大当たりだってよ」


 期待する、ザイルピック。


「なにを 勝手に押してんだ !!」


 ワナだったら、死んでいるかも知れない。


「人間自動販売機って何でしょ ??」


 ザイルピックは、よく読まずに押してしまった。


「知らねぇよ」


 初見だから、わからない兵士。


「あーぁあーぁあーぁ

なんかトロトロの出てるって」


 地面から、1メートルほど上がった穴からジェル状の液が出てくる。


ドゥルーーン

ベチャッ


 なんと、全裸の女性がうつぶせで出て来た。

 地面に、落ちて動かない。


「わー

理想ー」


 自販機の絵のまんまだ。


「おい

なんだこりゃあ

どうやった!?」


 ザイルピックに、問い詰める兵士。


「いや 普通にボタンを押しただけですよ ??」


 ボタンを、指差すザイルピック。


「生きてんのかコレは ??」


 兵士が、ザイルピックに聞くが、


「おれに聞かないで下さい」


 ザイルピックも、初見だ。


「もしもしお嬢さん………

おい息があるぞ」


 兵士が、確認する。

 どうやら、生身の人間だ。


「マジすか!?」


 また、ビックリするザイルピック。


「この女性は 保護する

先にオレはヘリで帰還する」


 自分の服を、女性にかける兵士。

 抱き抱えると、女性がニヤリと口角を上げる。


「ずりーな

チームを割らないって言っていただろ」


 卑怯だぞと、言うザイルピック。


「事情が変わったのだよ」


 ニヤニヤする兵士。


「この子を どうするつもりだ

当てたのはおれだぞ」


 とんでもないことを、口走るザイルピック。


「それならまた当てればイイじゃないか?」


 アゴで、自販機を指す兵士。


「もう 売り切れなんだよ」


 赤い文字で、売り切れと出ている。


「それは 残念だったな」


 苦笑いする兵士。


「チッキショー」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る