第38話

「クッ」


 間隙をぬって、銃を構えるヘンナリクツ。


「しっかり狙えよ !!」


 リーダー風の男の、激が飛ぶ。


「了解」


バシュッ


 ロボットの、カメラ付近をつらぬく弾丸。


「よし当たりッ」


 一瞬、ガッツポーズをするヘンナリクツ。


ピーピーピー


 撃たれたロボットは、前進を止めて音を出す。

 イヤな予感。


「なんだ

なんの音だ?」


 リーダー風の男が、周囲を警戒する。


ボムッ


 いきなり、爆発する警備ロボ。

 一体、どうなっているんだ?


「わッ」


 物陰に、隠れているが爆風でやられそうになる。


「こいつら 頭部に損傷を受けたら自爆するのかよ」


 めちゃくちゃだ。

 確実に、人を殺す気だな。


「ヤバい

他のにも破片が当たってま───」


 集まって、順番待ちしていた警備ロボにも爆発の影響があった。


ピーピーピー

ピーピーピー


「逃げろッ」


 また、警告音が聞こえる。


ドーン

ドーン

ドーン

ドーン


 次々と、誘爆していく警備ロボットたち。

 強烈な、熱風が襲って来る。


「う

うわーーーッ」


 一番前に、出ていたヘンナリクツが爆風に飛ばされ、壁にたたきつけられる。


「気道をふさげ !!」


 リーダー風の男が、指示する。


「んぐッ」


 逆さまに、なりながらクチを押さえるヘンナリクツ。


「ムーーーー」


 ボクも、なんとか耐える。

 そうすると、天井からスプリンクラーの水が降り注ぎ、火が消えていく。


「やった

なんとかゲホッゲホッ」


 ヘンナリクツは、とりあえず無事だ。


「あ゛ー死ぬかと思ったぜ

ヒュー君は無事か ??」


 リーダー風の男が、苦しそうに言う。


「………なんとか大丈夫です」


 実際、ヤバいかと思ったけど大丈夫だった。


「そうか

よかったよ」


 ニッコリと、笑うリーダー風の男。


「はい」


 この人の、こんなに笑った顔はじめて見たな。


「ここにも 人がいないのですかね ??」


 これだけの騒動だ。

 だけど、人が出て来るどころか鳴き声のひとつも聞こえて来ない。


「さぁ

とりあえず ドアだけ全部開けよう」


 見えるだけで100軒くらいありそうだ。

 全部、開けるつもりだろうか?


「了解」


 サッと、近くの部屋の前に行くヘンナリクツ。


「中の確認は 後ろの連中にまかせよう」


 リーダー風の男が、そう言うと、


「はいッ」


コンコン


 一応、ノックしてみるがやっぱり反応が無い。


「誰かいますか ??」


 次々と、ドアを蹴破るヘンナリクツ。


「うーん

人が生活していた痕跡はあるが肝心の人がいない」


 数年前まで、暮らしていたであろう状態だがどこに行ったのだろう?


「ですね

だんだん不気味になってきました」


 なにがあったか、よからぬ想像をしてしまう。


「だな

お前 ユーレイとか苦手そうだな ??」


 リーダー風の男が、ヘンナリクツに詰め寄る。


「やめてくださいよ」


 露骨に、イヤそうな顔をするヘンナリクツ。


「ハハハ

ヒュー君は怖いかね ??」


 ボクにも、聞いて来るリーダー風の男。


「ボクは………

ボク自身がユーレイみたいなモノですから平気ですね」


 ありのまま言うボク。


「面白いね

ますます気に入った !!」


 ボクの、背中を叩いて高笑いするリーダー風の男。


「それは うれしいです」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る