第35話
「なぁ ザイルピック」
ヘリに、乗って目的地まで向かうらしいのだけど、ボクたちが乗ってよかったのだろうか?
ジェットモービルに乗った10人が、先に行って危険性が無いか確認してくれているが。
「なんだ ??」
飛行する、ヘリの騒音に負けないように言うザイルピック。
「あれって 世界遺産かな ??」
砂漠に立つ、廃墟のようなビルが徐々に近くなってくる。
「巨大なビルか………
あんなのが こんなところで登録されていないと思うが」
頭を、ひねるザイルピック。
「ビルが 登録されるわけないか………」
珍しくないとね。
「いや ビルだから登録されないわけじゃあない
日本にハシマってところがあってだな───」
と、ザイルピックがしゃべっていると、
『こちら ジェットモービル隊 !!』
先見隊から、無線が入る。
「どうした ??」
声から、緊急事態だと伝わって来る。
『現在 目標の上部からアプローチしているが………』
無線が、途切れる。
「………ん? なにがあった ??」
確認する兵士。
『上は無理だ !!』
ルートを、確保したかったのだが、
「なんだ
なにがあった ??」
あせる兵士。
『ビームハチドローンが大量に飛んでいる』
ビームハチドローンは、ガードロボットとしては厄介な存在だ。
小型で、飛行しながら殺人ビームを出す。
「退避しろ」
兵士が、そう言うが遅かった。
『了解 退避し………
ワーーーー』
一瞬、肉が焼ける音が聞こえて無線が途切れる。
「どうした ??」
呼び掛ける兵士。
『ザーーー』
ノイズのみが響く。
「ちくしょうが
先見隊が喰われた」
吐き捨てるように言う兵士。
「それなら 低空飛行でアプローチしよう」
レーダーに、引っ掛からないように飛び続ける。
「なぁ ザイルピック」
ボクは、不安が増す。
「なんだよヒュー ??」
声が、ふるえているザイルピック。
「ヤバくないかコレ ??」
単なる、ヒマつぶしという気分が打ち砕かれる。
「ああ ヤバい」
ザイルピックも、そう感じている。
「それに 建物がデカいだけじゃなく変だ」
単なるビルじゃなく、なにか別に目的があって作られたようだ。
「そうだよな
1階から3階らへんまで壁が無い」
何で、低層階に壁が無い?
「あんなにキレイに飛んでいくかな ??」
トラブルで、元々あったのが無くなったのか?
「なんか変だ
最初からじゃないかな」
壁を作るなら、壁を固定する構造が必要だが、まるっきり無い。
「よし そろそろ着陸する
相手は いきなり撃って来るから気をつけろよ」
ゆっくりと、着陸するヘリ。
「了解
さあ降りて」
ドアが、開け放たれ兵士たちが一斉に飛び出す。
「ゴーゴーゴー」
手振りで、合図を送る兵士。
「なんだコレ? 螺旋階段 ??」
下から見上げると、凄く長く見える。
「ここ登るのかよ………」
ザイルピックが、げんなりして言う。
「エレベーターは 無いのかな」
周囲を見回すが、
「見るかぎり 無さそうだな」
それらしいモノが無い。
「おいヒュー」
ザイルピックに呼ばれて、
「どうしました ??」
近くまで、行くと、
「おれの代わりに 登って探検して来てくれ」
やる気を、なくすザイルピック。
「えっ
行かないんですか ??」
ここまで来て、行かないなんて。
「だって しんどいだろ」
螺旋階段を、にらむザイルピック。
「そりゃあ しんどいですが」
逆に、ここに1人で残るつもりかな。
「あれだ
おんぶしてくれ」
ボクを、使ってラクしようとするザイルピック。
「イヤですよ
男をおんぶするとか」
なんで、重いのを背負わなくちゃいけないんだ。
「そういうところはチャッカリしてんのな
お前」
ニヤリと、笑うザイルピック。
「なんですか
人聞きの悪い」
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