第34話

「あれ………っとっと」


 船が、急激に減速していく。

 ザワつくメンバー。


「どうした

トラブルか ??」


 ザイルピックが、兵士に詰め寄ると、


「確認してみます」


 そう言って、ブリッジへ向かう兵士。


「なんでもなければイイけど」


その頃


「あれが 次の目的地か」


 双眼鏡で、ビルの廃墟のような物体を捕える艦長。


「GPS不到達点………

常に砂嵐が起きて 近付けない要塞

探索に行った者で戻って来た者はいない………」


 ガルオドが、つぶやく。


「でも 砂嵐は起きていないじゃないか ??」


 砂嵐どころか、ほぼ無風だ。


「おかしいですね」


 通常時と違って、静かすぎる。


「主の帰路をあけたか」


 普段との、違いが不安を煽る。


「まぁ いつ砂嵐が起きても大丈夫なように準備しておけ」


 艦長が、冷静にそう言うと、


「了解」


 敬礼する兵士。


「ヘリを一機とジェットモービル(一人乗りの飛行装置)を10機出せ」


 指示する艦長。


「ハッ !!」


 ブリッジを出る兵士と、入れ替わるようにヒューたちを監視している兵士が入る。


「艦長」


 敬礼する兵士。


「どうした?」


 なにがあったか聞く兵士。


「砂漠から乗った者たちが 何事かと」


 トラブルか聞く兵士。


「そうだな

目的地に着いたから男2人を ヘリに乗せろ同行させる」


 ヒューと、ザイルピックを連れて行く判断をする艦長。


「はいッ」


 急いで、ブリッジを出る兵士。


「えー

ザイルピックとヒューは調査兵団に同行するようにと艦長から言われたのだが行くか ??」


 部屋に、着くなりそんなことをいきなり言うのでポカーンとなる。


「えっ

いきなりですね」


 なにか、サッパリだ。


「とある場所を 調べる為に わざわざ砂漠を飛んで来たのだ」


 どうやら、目標地点に来たっぽい。


「………なるほど」


 わざわざ、こんな船を使うからにはよっぽどだろう。


「それなら行こうぜヒュー

こんな部屋にいるよりマシだよ」


 退屈しのぎが、したいザイルピック。


「そうだね」


 多少、見てみたい好奇心もある。


「あのー

女子は 同行出来ないのでしょうか?」


 人選に、納得していないティファ。


「保証が出来ない以上

連れては行けません」


 なにかありそうなので、無茶はさせられない。


「別に アタシだって 動けますよ」


 食い下がるティファ。


「ケガされると困るんですよ

お察し下さい」


 困り顔の兵士。


「うーん

ねぇ ヒュー ??」


 ティファも、困り顔だ。


「どうしました? ティファさん??」


 入れ替わってくれとか言わないよね?


「なにか プレゼントを買って来て」


 手を合わせるティファ。


「………わかりました

買えるなら買います」


 拍子抜けするボク。


「それじゃあ ヘリまで早く急いでくれ」


 急かす兵士。


「はい

えーっと荷物は ??」


 取りに戻るとか、無理そうだし。


「すぐ戻るから 置いて行って下さい」


 荷物が、邪魔になるのを避けたい兵士。


「あー

そうなんだ………」

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