第31話

「この部屋に4人

となりの部屋に2人が入って下さい!」


 兵士が、ベッドルームに案内する。


「へぇ 2段ベッドかぁ」


 右手と左手の壁に、簡易的な2段ベッドがあって、寝心地は良さそうにない。


「狭いですけど 我慢して下さいね」


 苦笑いする兵士。


「はい」


 返事するエミリー。


「それじゃあ 男女で分けようか ??」


 ティファが、そう言う。

 2人用の部屋は、さらに狭い。


「そうね

それが合理的ね普通に」


 納得するエミリー。


「ちょっと待った !!」


 割って入るスゥトゥーパ。


「えっ ??」


 首を、かしげるティファ。


「夫婦は 一緒に寝るものじゃないの!?」


 夫婦というフレーズに、ビックリするティファ。


「夫婦? このメンバーに既婚者っていたかしら ??」


 周りを、見回すエミリー。


「さぁ」


 ザイルピックが、答える。


「あたしと勇者さまでしょ」


 胸に、手をあてて主張するスゥトゥーパ。


「だから、勇者って言うなよ」


 たまらず、つっこむボク。


「それでは 何とお呼びすれば ??」


 真剣な、眼差しを向けて来るスゥトゥーパ。


「名前で呼んでくれよ

ヒューって」


 どうも、勇者さまって言い方はムズムズする。


「ヒューさまですね」


 ニッコリするスゥトゥーパ。


「………まぁイイか」


 多少、マシになった。


「そんなことは どうでもよくて

夫婦は同じ部屋で寝るものでしょう

そう聞───」


 そう、スゥトゥーパが言っている途中で、


「あなたたち 夫婦じゃあないでしょ ??」


 鋭く、つっこむティファ。


「そうですティファさん」


 ボタンの、かけ違えなんです。


「夫婦なの!」


 あくまで、曲げないスゥトゥーパ。


「違うって」


 わかんない人だね。


「どうでもイイっての

ヒュー上と下どっちで寝る ??」


 聞き飽きたザイルピックが、ベッドの上下を聞く。


「上で」


 ボクが、そう言うと、


「それじゃあおれが上ね」


 ニヤリと、口角を上げるザイルピック。


「………ザイルピックさん

何のために聞いたんですか ??」


 ジトーと、ザイルピックを見る。


「念のためだよ」


 ウインクするザイルピック。


「なんだそれ」


 わけわからねぇ。


「もうっ」


 頬を、ふくらますスゥトゥーパ。


「スゥトゥーパあきらめなさい」


 ティファが、そう言うと、


「だってー」


 半べそをかくスゥトゥーパ。


「あなたは まだ幼いからそのうち大好きな人が現れるわよ」


 適当なことを、言うティファ。


「そう言うティファさんは あらわれたの ??」


 つっこみ返すスゥトゥーパ。


「アタシには ヒューがいるから」


 ニッコリと、笑顔を見せるティファ。


「えーズルいー」


 地団駄を、踏むスゥトゥーパ。


「大人って ズルいの」


 エミリーが、横から刺す。


「むー」


 完全に、機嫌を損ねるスゥトゥーパ。


「アハッ

アタシは妹が欲しかったからちょうどイイわ」


 スゥトゥーパの、髪をグシャグシャにするティファ。


「バカにしてムカつくわー」


 はねのけるスゥトゥーパ。


「バカになんてしてないわ」


 ニヤニヤするティファ。


「フン」


 腕組みして、壁を向くスゥトゥーパ。


「二人とも元気ねぇ

おばさんついていけないわ」


 エミリーも、ニヤニヤする。


「アタシと1歳しか違わないでしょ ??」


 ティファが、つっこむ。


「まぁ そうだけどね」

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