第30話
「ねぇヒュー
アタシたち来ちゃいけないところに来たんじゃない ??」
甲板に、降り立って気が付くティファ。
「気が合いますね
ボクも今それを考えていましたよ」
やっぱり、そうだ。
ボクたちが、飛行艇に乗っている時に撃って来た戦艦だ。
なんて、ツイてないのだろう。
「やっぱそうだよな
でも 今さらこの高さから飛び下りるわけにもいかないだろ」
重い荷物を、運びながらザイルピックも気がついたようだ。
船は、再び空を飛んでいる。
「そうね」
流れる景色を、船上から眺めるティファ。
「さっきから なにをブツブツ言っている !!」
兵士が、いぶかしがる。
「あっ
なんでもないですアハハ………」
笑顔で、とりつくろうティファ。
「それなら こっちへ来い !!」
指示する兵士。
「あっはいはい
ヒュー行きましょ」
すごすごと、兵士について行くティファ。
「………うん」
ボクは、レセアの体調が気になる。
「体調の悪い女性は医務室に搬送します」
他の、兵士がやさしく言う。
「はいお願いします」
あとで、お見舞いに行かないとな。
「他に体調不良の方はいませんか ??」
気にかける兵士。
「とりあえず………ね」
メンバーと、顔を見合せるティファ。
「バラバラに行動するのは得策じゃあないです」
なにか、コトを起こすにしても固まっていた方が楽だ。
「みんな大丈夫です」
エミリーが、そう答えると、
「そうですか」
納得した様子だ。
「では こちらへ」
別の、軽装な兵士が艦内へ通してくれる。
「はい」
狭い廊下を、ゾロゾロと歩く。
「この部屋でお待ち下さい」
少し、広めの部屋に案内される。
「ここは食堂ね」
テーブルと、長イスが整然と並んでいる。
「はい」
軽く、笑顔になると部屋を出る兵士。
「なんだろう
食事を出してくれるのかな」
思い思いに、イスに座るメンバー。
「おい
シートの中にジャガイモがあるぜ」
長イスに、食材を保管しているようだ。
「生では 食べれないでしょ」
どれだけ、お腹が減ってるのよと言う目をするティファ。
「ようこそわが艦へ
艦長です」
真っ白い、制服を着た男が入って来る。
「あっ どうもお邪魔してます」
立ち上がるティファ。
「大変だったでしょう
ゆっくりしていって下さいね………」
笑顔が、引きつっている艦長。
「ありがとうございます」
ティファの顔も、引きつっている。
こいつら、殴り合ったりしないよね?
「あとで隊員に艦内を案内させますので」
どうやら、自由に動かれるとマズいみたい。
「わっ助かります」
ドキッとするティファ。
警戒をとく。
「ところで」
艦長の目が、鋭く光る。
「はい?」
また、ドキッとするティファ。
「そこの大きなバッグ
少し動いたようですね
水をあげてみては ??」
なにか、生命を感じる艦長。
「エッ
ちょっと確認して !!」
ザイルピックが、あわててバッグを開くと、
「わっ
スゥトゥーパ!!」
困り顔の、スゥトゥーパが出て来る。
「ごめんなさーい」
頭を、下げるスゥトゥーパ。
「大丈夫かね お嬢ちゃん ??」
艦長が、近付いて見る。
「はい………
でも ノドが渇いちゃって」
そりゃそうだ。
メンバーは、ガブガブ水を飲んでいた時に飲めなかったのだから。
「体調は問題ないようだね」
スゥトゥーパを、くまなく診る艦長。
「なんで ついて来ちゃったの ??」
ティファが、聞くと、
「ゴクッゴクップハァ
だって村にいたって中古あつかいになるもん」
水を、飲んで答えるスゥトゥーパ。
「中古って………」
自動車じゃねぇんだから。
「みんなには迷惑かけないわ
ずっとバッグに入っているからね」
そう、言いながらバッグに戻ろうとするスゥトゥーパ。
「いや もう入るなよ」
さすがに、止めるボク。
「勇者さまが そう言うならもう入りませんわ」
バッグから、飛び出すスゥトゥーパ。
「うん そうしてくれ」
話が、ややこしくなる。
「それじゃあ勇者さまのとなりにー」
そう言って、ボクの腕をつかむスゥトゥーパ。
「やめろって」
振りほどこうとするが、けっこうしっかりつかんでいる。
伊達に、ラクダの手綱をつかんでない。
「えー」
プクッと、頬をふくらませる。
かわいい。
「それから 勇者さまってのもやめてくれ」
別に、そんなんじゃあないし。
「えー」
ボクの腕を、ブンブンするスゥトゥーパ。
「えーじゃねぇ」
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