第32話

「どうされました ??」


 部屋の中へ、缶詰めにされているのだが心配なことがあり部屋を出ると、監視の兵士に声をかけられる。


「いや レセア………

女の子が 運ばれてきたでしょ ??」


 容態が、気になってしまう。


「あーはい」


 うなずく兵士。


「医務室に 行きたいなと思って」


 少し、顔を見たい。

 無事だろうか?


「それならご案内します

ついて来て下さい」


 そう言うと、狭い廊下を歩きだす兵士。


「はい

お願いします」


 ボクの、声を聞いたスゥトゥーパがそーっと部屋を出た。


「この船って 浮いてるじゃないですか ??」


 狭い通路を、サクサク進むので声をかける。


「はい 浮いてますね」


 一瞬、振り返る兵士。


「どうやって浮いているんですか ??」


 不思議だよね。


「それは トップシークレットですが」


 クチに、人差し指を当てる兵士。


「やっぱりそうですよね」


 でも、歩くペースは遅くなった。


「でも ちょっとだけなら お見せできますよ」


 ニヤッと、笑う兵士。


「えっ見てみたいですね」


 そう見れるチャンスも無いでしょ。


「それだったら ちょっとご案内します」


 あっさり、トップシークレットを見せてくれるみたい。


「はい」


 ちょっとした、優越感。


「この部屋ですが中に入るにはコレを着て下さい」


 大きな、左右に開くドアの前まで来ると壁に掛けてある防寒着を手渡す兵士。


「えっ ゴツい防寒着ですね」


 犬ゾリで、使うようなあったかそうなアウターだ。


「必要なんですよ」


 こんな、灼熱の大地を航行しているのにこれが必要らしい。


「なになに

なにが始まるの ??」


 隠れて、つけて来ていたティファが出て来る。


「えっ ティファさん? みんなも」


 ちゃっかり、ついて来たんだね。


「おれたちだって お見舞いするぞー」


 ザイルピックも、一応気になっていたんだね。


「ザイルピック………」


 なんか、見直した。


「で

この中には なにがあるの ??」


 エミリーが、防寒着を着ながら興味津々で聞く。


「この艦の心臓部があります」


 真顔で、言う兵士。


「すごいものが 見れそうね」


 いつになく、真剣な顔のティファ。


「開けますよ」


 こぶし大の、スイッチが縦に2個ありその上のボタンを押す。


「ゴクリ」


 ティファが、生唾を飲む。


ゴーゴゴゴ


 ものすごい冷気がサーッと出る。


「うわっ

寒ぅー」


 中は、薄暗く霞んでいる。


「どうぞ中へ」


 中に入ると、全面に霜が付いてキラキラしている。


「この氷の世界はいったいなにですか ??」


 外との、気温差でヤバいぞ。


「超伝導………

おっと詳しくはしゃべれませんが船が浮くのに必要な場所です」


 なにか、しゃべりかけた兵士。


「南極みたいなところね」


 ティファが、ボソッとつぶやく。


「ティファさん 南極に行ったことあるのですか ??」


 そういう、口振りだったので聞くと、


「あー数年前ね

その頃のことヒューは知らないわよね」


 苦笑いするティファ。


「はい聞いてないです」


 話したくはないのかな ??


「そのうち話すわ

大変だったんだから」


 なにか、あったのだろうか。


「あそこ

なにか赤く光ってる」


 エミリーが、指差す。


「そうね

見に行きましょう」


 ティファが、付いて行く。


「あー

スイッチとか 勝手に触らないで」


 兵士が、注意する。


「はーい」


 元気よく返事するティファ。


「………なんだこれ………」


 丸い、ガラスから中をのぞくと、


「日本刀だなこれは

なんでこんなところに」


 日本刀が、固定され一部が赤く光っている。

 その周囲は、細かい泡が出ている。


「あッ」


 ガラスを、さわろうとするボクを止める兵士。


「どうしました ??」


 なんだろ。


「ガラスには ふれないで下さい

ヤケドしますよ」


 高温らしい。


「えっコワ」

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