第28話
「ねぇヒュー
なんでだろう ??」
ティファが、首をかしげている。
「どうしたんですかティファさん ??」
さすがに、違和感に気付いたんだろう。
昨日、盗もうとしていた車をレンタルしてくれるという、急展開について。
「どうやって車を借りることが出来たのかなって………」
なにかが、引っ掛かっているようだが気がつかないみたいだ。
「ハハハ………
どうしてでしょうね」
苦しいな。
いっそのこと、レセアのことを話してしまおうか。
「不思議だわー
だってあん───」
近付いて来たレセアが、ジュレルをあやしく光らす。
『きっとご好意でしょう』
満面の笑みを、見せるレセア。
「………そうよね」
アップデートしたようだ。
恐ろしい。
『さあ 行きましょう』
ティファの肩を、ポンポンと叩くレセア。
「そうねナンシー」
レセアに、ニッコリほほ笑むティファ。
「おーい マイサ !!」
村人が、レセアを呼び止める。
『はーい』
レセアが、手を振る。
「マイサ?」
また、首をかしげるティファ。
「これも 持ってけ
お前好きだったろ」
袋いっぱいに、茶色いなにかが入っている。
『これって?』
苦笑いするレセア。
「デーツだよ
忘れちまったのか ??」
ナツメヤシの、ドライフルーツらしい。
『あっ ああデーツね
大好きよ』
適当に、誤魔化すレセア。
「おう
もう少し滞在してもイイんだぜ?」
ゆっくりしていけと、言う村人。
『うん またすぐ戻って来るから』
適当な、ウソをつくレセア。
「そうか
達者でな」
大きく、手を振る村人たち。
『はい
お元気で』
そそくさと、車に乗り込むレセア。
「よし行くか」
ティファがそう言うと、四輪駆動車がうなりをあげる。
「………うん」
しばらくして
「ああーッ」
砂に、ズッぽしタイヤを取られ前にも後ろにも進まない。
「ティファさん
もっとアクセル踏んで」
みんなで、押しているが無駄みたい。
太陽が、容赦なく体力を奪う。
「めいいっぱい踏んでるわー」
タイヤは、空転するばかりだ。
「ダメだな
こんな砂漠のド真ん中のド真ん中でヒカラビて死ぬなんて」
ザイルピックが、縁起でもないことを口走る。
「わたしたち死ぬのね」
エミリーが、下の方を向いてほほえんでいる。
「レセア
どうにかなんないの? お得意な魔法でさ」
こんな時に、なにか出来ないんだろうか。
『水ならレセアでも出せるからノドが渇いたら言って』
あー、頼もしいなー。
「水は まだあるが
その時はたのむ」
まぁ、冗談抜きにしてヤバい状況だ。
誰も、通らないからヒッチハイクも出来ない。
『だってよレセア』
声の人が、レセアに言うが、
「ハァハァ」
荒い、息をしているレセア。
「おいレセア! すごい熱」
顔色が、真っ赤になっている。
「ナンシー
どうしたの ??」
ティファも、心配して聞く。
「水を出せる魔法使いが こんな状態なんて詰んだな」
八方塞がりだ。
せっかく、変な村を出たと思ったら。
「ナンシーしっかり !!」
呼び掛けに、反応がない。
「どうすりゃあイイんだ」
どうしても、最悪の事態が頭をよぎる。
『さすがにあたしでもお手上げだわ』
声の主も、打開策が見えないようだ。
「なんだよ………」
肝心なところでね。
「おい ヒュー
あれ なにか見えないか ??」
双眼鏡で、周囲を見ていたザイルピックがなにかを見つけ興奮する。
「………街かな ??」
ボンヤリと、なにか見える。
「どうせ陽炎よ
遠くのが近くに見えてるのよ」
エミリーが、少しなげやりに言う。
「いや だんだん大きくなっている」
点だったのが、徐々によく見えるようになる。
「ホントだ」
あきらかに、こちらへ接近している。
「いや よく見たら船だ………
船が砂漠を走っている………」
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