第27話

「マオウーさん

どうされたのですか ??」


 グドカンの、整備をしている兵士が突然やって来たマオウーの姿を見てビックリする。

 薄手の、入院着だけを着ているからだ。

 下着は、首に巻かないよう回収済み。


「どう? ワタシの言った通りに改修工事は出来たかしら ??」


 いつも通り、高圧的にふるまうマオウー。


「はい

こんな辺境で戦うにしてはオーバースペックな代物に仕上がりました !!」


 マオウーは、入院中も機体の性能を上げる指示を出し続けた。


「それは 期待してイイのね ??」


 歪んだ、笑顔を見せるマオウー。


「はい

地球の裏側にでもひとっ飛びです」


 かなり、莫大な予算で仕上げた。


「それを聞いて安心したわ」


 晴れやかに、口角を上げるマオウー。


「まぁ 実際これに乗って地球の裏側に行くのは退屈───」


 兵士が、そう言いかけるが、


「よいしょっと」


 機体を、よじ登るマオウー。


「あのー

なにをされているんですか ??」


 まる見えだ。


「ちょっと乗り心地を」


 そう言って、コックピットに入るマオウー。


「おーい

マオウーを見なかったか ??」


 血相を、変えた兵士たちが雪崩れこむ。


「えっ

いや 今乗っていますが」


 整備兵が、そう言うと、


「バカ野郎

施設を脱走したんだヤツは」


 急いで、連れ戻さないといけないと話す兵士。


「えーッ」


 また、ビックリする整備兵。


「捕らえろ」


 そう、指示するのだが、


『あぶないよー』


 ロボットの左脚を、一歩出すマオウー。


「マオウー!! 出撃命令は出てないだろ!!」


 大声で、叫ぶ兵士。


『ちょっと借りるねー』


 ゆらゆらと、歩くグドカン。


「待てぇー」


ブァーーッ

ブァーーッ


 けたたましく、サイレンが鳴らされる。


「待って下さい!」


 みんなで、行く手をふさぐように手をつなぐが、翼を広げるグドカン。


『じゃあねー

サイチエーン』


その頃


「こんなんじゃあ脱出どころじゃないな」


 モンスターを、倒すことに成功したヒューだったが、脱出のチャンスを逸してしまい落ち込んでいると、


『あたしが キャラバンを呼んだのよ』


 レセアの姉が、ヒューにそう言う。


「えっ

例のアレで ??」


 ピンときたヒュー。


『そう

明日には ここを出られるわ』


 ニッコリと、笑うレセア。


「なんだよー

車を盗もうかなんて話していたんだよ」


 まぁ、あの一件でレセアを避けていたっていうのもあるのだが。


『それならそれでも問題なかったよ』


 レセアは、申し訳なさげな表情をするが声の主はところどころ性格の悪さが見える。


「いや 問題あるだろ

まぁ 脱出できるならイイや」


 なにか、話すだけ無駄な気がするから頭を振る。


『どう? これでゆるしてくれる ??』


 これが、贖罪だと言わんばかりだ。


「レセアは ゆるすけど声の人はゆるさない」


 マジで、ゆるさない。


「まぁ!」


 うれしそうに、笑顔で飛び上がるレセア。

 この人は、根っからイイ人なんだろう。


『レセアしゃべるな

ヒューどうしたらゆるしてくれるの ??』


 叱責する、レセアの姉。


「ティファさんたちを殺そうとしたことは絶対わすれない」


 どういう、カラクリか知らないが絶対あばいてやる。


『そんなぁ』

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