第26話
「これで どうだ」
建物に、頭を突っ込んでいるモグラモンスターの腹を、振り上げた剣で叩く。
しかし、硬い皮膚に刃が立たない。
「な………」
跳ねかえされて、ヨロけるボク。
「勇者さま !!」
心配そうに、見守る村人。
「ッツ………
この剣 切れないね」
剣は、欠けたりはしていないがこれで切ることが不可能なのはわかった………
「わーーー
逃げろー」
期待が、もろくも崩れた村人が逃げまどう。
「………ボクも逃げないと」
建物に、突っ込んでいた頭部が出て目が合う。
「わッ
付いて来るな」
ボクが、走る方向に追いかけて来るモンスター。
「おい ヒュー」
声が、する方を見ると、
「ザイルピック」
手招きするザイルピック。
「飛行艇だ
飛行艇のところまで連れて来い」
飛行艇の方を、指差すザイルピック。
遠くの方で、雷雲が音をたてる。
「………そうか
わかった」
重い剣を、持ったままでザイルピックを追うように飛行艇へと走る。
「ヒュー
気をつけて!」
ティファが、心配そうな声を出す。
「うん わかってる」
このモンスターを、ボクが倒さないとみんな食べられてしまう。
「こっちだヒュー」
ザイルピックが、手招きする。
「ああ
付いて来いモンスターめ」
時々、振り返ってモンスターを挑発する。
「ヒュー
おれが銃座に座るからヤツを引き付けたら避けろよ !!」
ようやく、飛行艇が見えてきた。
「そうするよ」
建物を、破壊しながら進むモンスターを横目にそう答える。
「健闘を祈る」
敬礼して、飛行艇に向けてダッシュするザイルピック。
「ああ」
なんとか、モンスターの注意をそらさないと。
「ハアッハアッ
よし こいつでハチの巣にしてやる」
飛行艇の、最後部に座るザイルピック。
「こっち来い」
モンスターが、かなり接近して来た。
「ヒュー
避けろ !!」
ザイルピックが、合図を送る。
「ああ」
射線上から、前転して避ける。
「くらえーッ」
ズドッドッドッドッ
ザイルピックが、狙いを定めて撃つと、
ギシャー
何発か、命中して奇声をあげるモンスター。
「やったか?」
一瞬、動きを止めたモンスター。
だが、
「おいおいウソだろ」
今度は、モンスターが飛行艇をターゲットにする。
「おいザイルピック
早く逃げろ」
そう声をかけるうちに、飛行艇にのしかかるモンスター。
「クソッ !!」
急いで、脱出するザイルピック。
「おい
モンスターの動きが変だぞ ??」
村人が、指差す。
「なんなのアレは」
モンスターの背中に、一筋の割れ目が出来ている。
「脱皮………」
中が、白い。
「おい
アレって羽根じゃあねえか ??」
中から、背中が出て来て昆虫の羽根のようなのが上へと伸びていく。
「あいつ飛ぶのか ??」
村人が、不安そうに言う。
「あんなモンスターが空を飛ぶとか地獄だろ」
別の、村人が半笑いで言う。
「勇者さま
今ですじゃ」
駆けつけた首領が、チャンスだと告げる。
「なるほど
脱皮したてなら剣が刺せるかも」
見るからに、やわらかそうだよ。
「そうですじゃ」
「じゃあやってみる」
この、重いだけの剣の真価が試される。
「ヒュー
無理しないで」
ティファが、心配そうに見る。
「大丈夫」
そう言って、モンスターに飛び移る。
「刺されーッ」
振り上げて、先端を背中に刺す。
ズブッ
思ったより、簡単に押し込める。
ギシャーーー
突然、暴れ出すモンスター。
「うわっ」
振り落とされてしまうボク。
「ああっ
逃げて行く」
砂漠を、もがきながら移動するモンスター。
ピカー
ズドーーーン
雷鳴がとどろき、モンスターに雷が直撃した瞬間に爆散して肉塊が散る。
「うわー」
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