第24話

「おお

なんだなんだ !!」


 野次馬を、かき分けて見ると野球場がスッポリ入りそうな巨大な穴があいていて、そのクレーターの中心が真っ赤に燃えている。


「隕石かな?」


 穴の、大きさや深さからして普通じゃあない。


「さあ? 隕石かミサイルかは近くに行ったらわかるんじゃないか ??」


 みんな、遠巻きに見ていたのだが、


「行ってみようぜ」


 一人の男が、足下を滑らせながら中心部へ向けて歩きだす。


「燃えてるのが おさまってからでイイんじゃないか?」


 そう言って、止めつつも後をついて歩く村人たち。


「ねぇヒュー

アタシたちも近くまで行きましょ」


 興味津々なティファ。


「えっ

車を奪って逃げるとか どうするんですか ??」


 あれほど、脱出したいと言っていたのに。


「そんなのあとあと!!」


 完全に、関心が移ってしまっているティファ。


「えぇぇー」


 仕方なく、メンバーもアリ地獄のような坂を下っていく。


「うわぁ

なんだこれ」


 村人が、巨大な物体を見るとあちらこちらで炎があがっているが燃えきっていない。


「生きてる………のか ??」


 ところどころ、波打っている。


「えっ? 生きてる ??」


 そう言った村人の周りに、人々が集まる。


「こんなデカい生き物がなんで空から降って来るんだ!?」


 疑問を、クチにする村人。


「それもそうか」


 あり得ない現実を前に、思考停止になるが、


「おい 動いてるぞ !!」


 上の方に、伸びていて表面を破ろうとしているようだ。


「ホントだ

こんなに燃えているのに」


 時折、鋭いかぎ爪がうっすらと見える。


「出て来るぞ」


 膜を、破ってニョロっとしたものが出て来る。


「うわ

なんだこいつは ??」


 次に、獣のような手が出る。

 そして、顔全体が出て来た時に、


「モ………

モグラ………」


 誰かが、つぶやく。


「ホントだ………」


 エミリーも、つぶやくように言う。


「へぇ モグラってこんなに大きくなるんだね」


 ボクは、実物を見るのは初めてだよ。


「そんなワケねえだろ

生物兵器だ逃げろ !!」


 ザイルピックは、危険性を感じて一目散に逃げる。


「そんなこと………

よく見たらかわいいじゃねぇか」


 村人が、モンスターに近付いて行く。


「バカ

近寄るな」


 他の、村人が止めるのだが、


「ほーらほーら

恐くないよー」


 ゆっくりと、近くまで行く男。


「やめとけって」


 止めている男は、足が震えている。


ギシャー


 奇声を、出すモグラモンスター。


「おお ヨシヨシ」


 村人が、せわしなく動くピンクの鼻に触れた瞬間、


ガッ

ピシャーーーー


 村人の、首から上がかじり取られ血の噴水となる。


「ゥアッ………」


 あまりの、惨劇に現場が凍りつく。

 首から上を失い、バタリと倒れる村人。


「おぃ………

にッ逃げろォー」


 ジリジリと、後退りし、


「ワーッ」


 クモの子を、散らすように逃げる村人たち。


「ヒュー

逃げよう」


 ティファが、早くこの肉食獣から逃げようと言う。


「ああ

こいつはヤバい」


 メンバーも、急いで逃げるが、


「キャア」


 派手に、こけるティファ。


「ティファさん !!」


 放っておけないので、駆け寄ると、


「イタタタタ

足をくじいたかも」


 速く、動けそうにない。

 この状態だと詰む。


「このままでは」


 モンスターは、ティファに狙いを定めているようだ。

 注意を、引くようにモンスターに向かって走る。


「ちょっとヒュー! 待って !!」

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