第4章
第22話
「あーー」
この村に来て、3日がすぎた。
しかし、なにも起きない。
「………早く戻りたいな」
村の、周囲は簡単なフェンスで仕切られているだけの簡素なモノなので出ようと思えば出られるのだけれど、となりの街まで車で3時間かかる距離を徒歩で砂漠を越えるのは無理がある。
「ねぇ ヒュー」
村を、見渡せるところに壁のない建物があって、そこでメンバーとくつろいでいる。
「どうしたんですかティファさん ??」
まぁ、言いたいことはだいたいわかるけど。
「もう一度 首領を説得してみない ??」
苦笑いするティファ。
「無駄でしょう」
もう、何回も説得しようと話し合った。
「ねぇ勇者さま ??」
スゥトゥーパが、ボクにすり寄って来る。
「………どうしたの」
よく、わからないが気に入られているようだ。
「あたし子供が出来たらトトって名前にしたいな
女の子ならトトリ」
いきなり、なにかを語りだすスゥトゥーパ。
「………へぇー」
あまり、興味がないから流す。
「楽しみね勇者さま」
目を、キラキラさせてボクを見るスゥトゥーパ。
「えっ なにが ??」
なにを、言っているのかサッパリだよ。
「子供ですよ」
ちょっと、むくれるスゥトゥーパ。
「………よくわからないな」
肩を、すくめるボク。
「ねぇヒュー
あなた この子とヤッたの ??」
ティファが、目を細めてボクを見る。
「ティファさん
なんのことを言っているんですか ??」
いきなり、なにを疑っているんですか。
「その アレよ
わかるでしょ ??」
頬を、赤らめるティファ。
「だから なんですか ??」
なんか、エミリーもこっちを見てる。
「その………
男女の関係になったのかを聞いてるの」
ボヤかしながら、聞くティファ。
「よくわからないけど 無い」
身に、覚えが無い。
「まぁ勇者さま !!」
ビックリしたように、目を見開くスゥトゥーパ。
「えっ どっちなのヒュー ??」
エミリーが、聞いてくる。
「無いよ無い」
否定するボクに、
「ヒドいわー」
立ち上がって、駆け出すスゥトゥーパ。
「えっ ??」
なんだなんだ?
「ねぇヒュー
本当にヤッて───」
ティファが、まだ疑っている。
「無いって」
どう証明しようがない状況だなー。
「ねぇお父さま
こっちこっち」
スゥトゥーパが、父親の首領を連れて来る。
「えっ 首領が出て来たよ」
ティファが、苦笑いする。
「なぁ ヒュー君
あまり娘をいじめないであげてくれないか ??」
なにかしら、人聞きの悪いことを言いだすゲニステルバ。
「………いじめてなんていないですよ」
どう、誤解したのだろうか。
「うむ
まぁワシの顔も立てて娘をもらってくれまいか ??」
どうしても、結婚させたいようだ。
「………えー」
あまり、乗り気じゃあないなぁ。
ティファの、鋭い視線が痛い。
「顔か? 顔が気にいらぬか ??」
スゥトゥーパの、両肩を掴んで近付けて来る。
「いや 顔はかわいいんだけど」
そう言うと、ニヤーと笑うスゥトゥーパ。
「だけど ??」
スゥトゥーパを、引っ込めるゲニステルバ。
「まだ 結婚する年齢じゃあないでしょ ??」
ボクより、若いよね。
「あなたの国ではそうかも知れないですがここでは普通なのですよ」
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