第21話
「こりゃあヒデェな !!」
翌日、日が上ってから飛行艇の墜落現場に行ってみると、前の方は砂に埋まってお尻を上げたように止まっていた。
「よく これで助かったわね」
全員、死んでもおかしくない状況で助かったのは砂漠だったからだろう。
「そうだよね」
出入口から、中を見ると荷物が散乱している。
「これ 飛べそう ??」
ティファが、ザイルピックに聞く。
「無理だろうな
このあたりに空港があったとしてもそこまで持って行く手段がない」
地面が、砂だとクレーンもトラクターも無理だ。
「それじゃあ 砂漠を滑って飛べないかな ??」
砂上を、滑走しようと提案するティファ。
「それこそ無理だ
砂じゃあ抵抗力が強すぎて飛び立つ前に底に穴が開く」
砂に、当たり続けると削れていくと言うザイルピック。
「それじゃあ このまま置いて行くのね」
飛行艇に、そっとふれるティファ。
「仕方ないさ」
肩を、すくめるザイルピック。
「それでここから一番近い街まで行かないとね」
村の、周辺には延々と砂漠が続いている。
「ちょっと待ってくだされ」
ヒゲを、たくわえた男が話かけて来る。
「あなたは ??」
ティファが、聞くと、
「この地域の首領をしているゲニステルバです」
どうやら、えらい人みたい。
「あぁ 首領ですか
助けていただいてありがとうございます」
改めて、お礼を言うティファ。
「いえいえ」
ニコッと、笑うゲニステルバ。
焼き殺そうとしてたの、わすれているみたいだ。
「それでですね
大きい街まで行きたいんです」
ティファが、そう聞くと、
「ここから大きい街までは砂漠を車で3時間はかかるのですが」
けっこう、辺境の地みたい。
「えっ
そんなにかかるのですか ??」
ガクッと、肩を落とすティファ。
「それに今 勇者さまをこの村からお出しするわけにはいきません」
どうやら、ボクはこの村から出られないようだ。
「昨日から 勇者さま勇者さまってまたレセアがその石で操っているんだろ ??」
ボクが、レセアにそう言うと、
『残念だがそうではないよ』
首を、振るレセア。
「えっ? ってことはガチなんだ ??」
そんなのってアリか?
『そうなるな』
声にあわせて、うなずくレセア。
「おいおい首領さん
なんでボクのことを勇者って呼ぶの ??」
そこを、押さえてないと話が前に進まない。
「それはですな
この地の言い伝えで───」
遠い目をするゲニステルバ。
「その話
長いですか ??」
あまり長いと、集中力が。
「おぉ
それでは簡単に説明しますと空から舞い降りた勇者さまが巨大な災いを討ち果たしてくれるという話でしてその勇者さまに姿がソックリでして」
簡単に、説明してくれるゲニステルバ。
「それだけで 勇者扱いなんですか ??」
なんとも、不思議な話。
「他にもお供に連れている人数とか色々あてはまりましてどうしても偶然とは思えないのです」
間違いないと言うゲニステルバ。
「うーん
なんだか面倒なことになったな」
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