第18話

『あーあ !!』


 水平線に、太陽が沈んでいく。

 レセアは、ヒザを抱えて砂浜に座っている。


「さっきから ずっとため息だけど どうしたんだい?」


 こんな、遠くの島まで連れて来られて、ため息を出したいのはこっちだよ。

 みんなは、砂浜でリラックスしている。


『あそこに ジュレルがあったのよ』


 目的の、石があったと言うレセア。


「えっ

そんな危なっかしい石がまだあるの?」


 そんなのが、何個もあるなんて。


『そうよ

あの洞窟には赤いジュレルがあったの

全部で8個あるわ』


 レセアが、青いジュレルを手で転がしながら言う。


「そんなに8個もあるんだな」


 8種類、それぞれのエレメントの能力があるようだ。


『ええ』


「でも それを見せたかったわけじゃあないよね?」


 見物だけなら、別の方法もあるし。


『そうなの

岩に刀が刺さって抜けなくて』


 刀を、ボクに抜かせようとした?


「そんなの

誰かに抜いてもらえばよかったじゃん

その青い玉のパワーでさ」


 大抵の人は、動かせるんじゃないかな。


『やってもらったけど………』


 少し、うつむくレセア。


「けど ??」


『真っ黒なスミになっちゃった』


 苦笑いするレセア。


「おいおい

ボクも 危うく真っ黒炭になるところだったのか ??」


 ヤベーなコイツ。


『それは 大丈夫

エイトフォースの可能性のあるあなたなら真っ黒になって燃えたりしないはず』


 はずって。


「なんだよそのエイトフォースって ??」


 なんだか、面倒なニオイがプンプンする。


『ジュレルを 扱える可能性のある人々のことよ』


 可能性が、ボクにあるとでも言うのか。


「なんだよそりゃあ」


 どうも、わけがわからない。


『つまり 選ばれし───』


 そう、言いかけて立ち上がるレセア。


「どうした ??」


 ボクも、立ち上がる。

 レセアは、薄暗い海を見つめている。


「………来る」


 レセアの額に、汗が流れる。


「今 しゃべったねレセア

来るってなにが」


 海と、レセアの顔を交互に見る。


「発射 !!」


 艦長の指示で、ミサイルの発射スイッチをオンにする隊員。


ブシュコーーーッ


 甲板にある発射口のフタか開き、次々とミサイルが飛んで行く。


「ん? 海の方がなんか光った」


 なにかしら、閃光が見える。


「みんな伏せて」


 レセアが、叫ぶ。


ドゴーン


 島の、真ん中あたりに強烈な爆発が起きる。


「うはぁー」


 次々と、雨のようにミサイルが降り注ぐ。


「なに

なんなのナンシー」


 耳を、押さえてティファが叫ぶ。


『ここにいたらヤバい』


 レセアが、逃げるように言う。


「みんな飛行艇に

早く !!」


 ティファの指示で、飛行艇に乗り込むメンバー。


「なんなんだ

レセアが来て不思議なことばかりだ」


 おもしろすぎて、つい笑ってしまうボク。


「………ごめんなさい」


 反省するレセア。


「いや 怒ってないから」


 レセアの髪の毛を、グシャグシャにする。


「アタシは いきなりミサイルを撃って来たヤツに怒ってるよ !!」


 ティファは、怒りがマックスだ。


「ティファさんまさか」


 ヤバいこと考えてないか?


「松浦 銃座おねがい」


「は………はぁ」


 飛行艇の、最後尾にある銃座を使う気だ。


「ティファさんダメだ逃げよう」


「いやよ 一発おみまいするんだか………

なにあのデカい船は」


 上空から見た船は、ビルが横になっているような大きさ。


「ファランクス撃てぃ」


 艦長が、指示すると、


ガガガ


 飛行艇に、数発当たってしまって銃座も血に染まる。


「ヤバッ

被弾した」


 ティファが、回避行動をとろうとするが、


「被害状況は ??」


 エミリーの、問いに対して、


「舵がきかない

勝手に自動操縦に」


 どうやら、操縦不能に陥ったようだ。


「どうにかならないの ??」

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