第17話
「着艦準備急げ !!」
艦上で、兵士があわただしく動いている。
「ケケケ
もう少しで わが手に」
ペ博士が、気持ち悪い手つきをする。
「ペ・ギル博士
あれはあなたのモノではございません」
見かねた艦長が、いさめると、
「それじゃあ艦長
あんたのモンになるって言うのか ??」
食って掛かるペ博士。
「いいえ
USの財産となるのです」
アメリカの、国有財産となると言う艦長。
「それこそ傲慢じゃあないのかね ??」
つっこみを、入れるペ博士。
「それは………」
答えに、窮する艦長。
「ジョン・ガルオド大佐
ただいま帰還しました」
ガルオド大佐が、艦長に敬礼する。
「うむ
ご苦労さま」
敬礼する艦長。
「これが例のブツです」
後ろにいた兵士が、2人がかりで銀色のケースを慎重に置く。
「うほぉー」
抱き付きそうな、勢いのペ博士。
「ペ・ギル博士近いです
大ヤケドしますよ」
忠告するガルオド大佐。
「そういうのシャカに説法と言ってだな
わわわ」
ジュワー
ケースを開けると、水蒸気が大量に出る。
「水をタップリ入れてこれですから」
中には、日本刀とそれに付いた赤いジュレル。
ほとんど、水は蒸発してしまっている。
「よし作戦第2フェーズに移行する───」
艦長が、そう宣言すると同時に、
「艦長 !!」
画面を、見ていた隊員がヘッドフォンを外しながら振り返る。
「どうした ??」
「機影です」
レーダー画面上に、高速で接近中の物体をとらえる。
「民間機か ??」
「所属不明
いやUNReの機体かと」
「何だ」
表情が、曇る艦長。
「連中が嗅ぎ付けただと」
ガルオド大佐が、苦虫をかみ潰したような顔をする。
「しばらくヤツらの動向を監視せよ」
そう、艦長が指示を出す。
「了解」
その頃
「ちょっと
どこまで飛ぶんですか ??」
左手の操縦席に、座るティファと右手に座るザイルピックの顔を交互に見る。
「さっきフィリピンを越えたから───」
ティファが、そう言うので、
「なにサラッととんでもないことを言っているんですか !!」
てっきり、タイの上空をグルッと回るだけと思っていたがあてが外れた。
「えーでも
ナンシーが行きたいらしいのよ」
レセアも、操縦席に近寄る。
「どこへですか ??」
なにかしらの、目的地でもあると言うのか?
「みなみのしま?」
ティファが、上の方を見ながら首をかしげる。
「へっ? なんですか一体 ??」
なにか、悪い冗談だろうか?
「場所はフィリピンの東方沖らしいのよ」
らしいで、飛行艇を飛ばすティファ。
「そんなあいまいな」
すぐ、引き返して欲しい。
「見えたわ
あれでしょ ??」
ティファの、指差す方に岩山がある。
『そうそう
あの島です !!』
うれしそうなレセア。
「よかったー
着水しちゃうわよ」
見るだけじゃあないらしい。
『はい』
ニッコリと、笑うレセア。
「ささやかなビーチがあるわね
あそこに停泊しましょう」
少しだけ、砂が堆積している部分がある。
『わぁ
やっと目的地に着いたわ』
おもいっきり、はしゃぐレセア。
「ここが 来たかった場所? なんにも無いじゃん」
緑も、なにもない岩山の島。
『こっちよ
この洞窟内に………』
レセアの、呼ぶ声について行くと、
「なにかあるの ??」
洞窟を、のぞいて見る。
『荒らされちゃってる………
前はこんなじゃなかったのに』
焦ったような、表情になるレセア。
「以前にも来た口振りだね」
前の、状態を知っているみたいだね。
『えぇ』
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