第16話
「おい お前ら
アメリカ人か ??」
もう少しで、バンコクに着くという列車の中で乗客数人にからまれてしまった。
「相手しちゃあダメよヒュー」
ティファが、ボクをなだめる。
エミリーが、苦笑いする。
「………だったらなんだって言うんだ」
二人に、危害が及ばないように強く言う。
「この野郎 !!」
いきなり、殴りかかってくる男。
「おっと」
サッと、かわして腹に一発入れる。
「グフッ」
倒れこむ男。
「やっちまえ !!」
男どもが、次々と襲いかかる。
「オラァ」
攻撃を、かわしては、
「ゲフッ」
顔面を、殴る。
「ちょっとヒュー
やめて!」
ティファが、止めようとする。
「やめてって
アイツらが」
こっちは、ヤる気なんてないのに。
「くらえ !!」
他の男が、殴りかかって来て、
「おっと」
かわすと同時に、腕を掴んでヒザを入れると、腕がボキッと音をたててあり得ない方向に曲がる。
「ギャー」
腕を、押さえる男。
『めんどうねぇ~』
レセアの姉が、そうつぶやくとレセアが立ち上がる。
「レセア
下がっていろ」
ボクが、そう言うが暴漢との間に入るレセア。
『大丈夫よ
はーいみんな仲間よー』
ジュレルが、あやしく光る。
「おっおぉ」
完全に、戦意を喪失する男たち。
『はいはーい
駅に着いたら逃げるわよ』
ボクの側に寄って、そっと耳打ちするレセア。
「えっ………」
列車が、停止すると同時にボクの手を掴むレセア。
『それっ』
レセアが、ボクの手を引っ張る。
「わーっ」
人々を、押し退けて列車を飛び出す。
「ちょっとヒュー」
ティファも、あわてて追いかける。
「待って」
エミリーとザイルピックも追いかける。
「ハァハァハァ
ここまで来れば大丈夫だろう」
ボクが、そう言うと手を離すレセア。
「ハァハァそうよね」
肩で、息をするレセア。
『しゃべるな』
レセアの姉が、文句を言う。
「ハァハァ
はい」
中腰に、なるレセア。
『ところで飛行艇はどこかしら ??』
ボクに、そう言うから、
「そんなの知らないよ
凡城さんなら」
キョロキョロするボク。
「ハァハァ
やっと追い付いたわ」
メンバーが、ゾロゾロとやって来る。
「いきなりどうして走ったの ??」
エミリーが、真顔で聞いてくるので、
「………もしかして列車でモメていたの忘れてます ??」
気になって、聞いてみると、
「モメてた? 誰が ??」
そう言って、ザイルピックを見るエミリー。
「さぁ オレは知らない」
肩を、すくめるザイルピック。
「うわ
スゴっマジで忘れてるのか………」
とんでもないなコレ。
『ヒュー
それよりも本題を』
急かすように、言うレセアの姉。
「えっああ
飛行艇ってどこにあるのですか ??」
凡城さんに、聞いてみる。
「飛行艇は 川に浮かんでいる
さぁ行こうか」
街を、颯爽と歩きだす凡城。
『はいっ !!』
すぐ後ろを、くっついて歩くレセア。
「なーんか調子狂うんだよなー」
その後を、トボトボとついて行くと、
『ヒューはブツブツ言わない』
また、文句を言うレセアの姉。
「………」
しばらく、街中を歩くと川沿いの道に出て、
「ここだ
この桟橋」
川に、突き出るように桟橋があり、
「ホントだ
飛行艇がある」
茶色く濁った川に、飛行艇が浮かんでいる。
『ヤッター』
よろこぶレセアの姉。
「おいクソ松」
桟橋の、向こうから小走りで来た男に声をかける。
「はい凡城様」
整備の松浦が、ペコりと頭を下げる。
「燃料は 満タンにしといたか ??」
そう、凡城が聞くと、
「はい もちろん」
得意気な顔をする。
「たまには出来んじゃねぇか」
松浦の、首根っこを掴むと、
「グフッ」
腹に、一発入れる凡城。
「よーし
みんなは乗り込んでくれ」
飛行艇を、指差す凡城。
「凡城さんは 行かないんですか ??」
ボクが、そう聞くと、
「オレは ちょっと用事があってな
みんなで 遊覧飛行を楽しんで来な」
腕組みして、ニッコリ笑う凡城。
「………はい」
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