第12話
「ギィャーーー
ギャーーーー !!」
研究施設内に、響きわたる女の悲鳴。
白い部屋の中央に、ベッドがありシャオ・マオウーが縛り付けられエビ反りの状態で奇声をあげている。
かたわらには、白衣を着た男が2人で話をしている。
「なかなか落ち着きません」
真っ白い壁の、1面だけ鏡になっていて外から観察している。
そちらを、チラッと見る男。
『仕方ない
フェンタ二ルをもう50ミリ追加だ』
モニタールームから、指示が出る。
アンプルから、注射器に吸出し点滴の下をつまんで注入する。
「ギャアーーーーー」
さらに、エビ反りを強くするマオウー。
今にも、失神しそうだ。
「ムゥ」
画面の、数値に眉間にシワをよせる研究者。
頭を掻いて、様子を見守る。
「どうだ
マオマオの様子は ??」
自動ドアが開いて、パオ隊長がモニタールームに入ってくる。
パオ隊長も、険しい表情だ。
「パオ隊長
なんとか落ち着きつつあります」
敬礼する研究者。
この研究には、莫大な予算がかかっている。
「うーむ
入ってイイか ??」
マオウーのいる部屋を、指差すパオ隊長。
直接、顔色を見たい。
「はいどうぞ
二人は出て」
中にいる2人に、退室するように言う研究者。
さっきまで、大声を出していたマオウーは荒い呼吸はしているものの落ち着いている。
「………」
手足を、ベッドに縛られたマオウーを見下ろすパオ隊長。
顔色を見て、少々口元がほころぶ。
「………パオ隊長」
焦点の、定まらない目線でパオ隊長を見るマオウー。
クチの端に、白いのが目立つ。
「気分はどうだいマオマオ ??」
しゃがんで、マオウーの髪を撫でるパオ隊長。
キレイな銀髪が、ボサボサだ。
「………アイツ」
パオ隊長の、質問には答えず敵のことを話すマオウー。
「ん ??」
首を、かしげるパオ隊長。
「キャロルのパイロットが」
目の前で、繰り広げられられた惨状をまだ飲み込めないでいるマオウー。
「うん わかるよマオマオが言いたいこと
あいつの名前はヒュー・ウイリアムというそうだが素性が全くわからん」
すごく、残念そうに話すパオ隊長。
方々、手をつくして情報を集めたが存在が謎に満ちた人物だという結論になった。
「ヒュー・ウイリアム………」
小声で、つぶやくマオウー。
「そうだ」
ウンウンと、うなずくパオ隊長。
「ヒューは まだタイにいる」
断定するように、言い切るマオウー。
「そうだが」
監視によれば、動いた情報はない。
「ワタシには ヤツがどこにいるかわかる
もうロックオンしたから」
たとえ、地球の裏側にいようがマオウーにはわかる。
「そうか
それで会ってなんとする ??」
薄目で、アゴをさわりながらマオウーを見るパオ隊長。
「殺す」
即答するマオウー。
「………マオマオじゃあなぜそんなに頬をピンクにしている」
明らかに、頬を赤らめるマオウーを見て見抜くパオ隊長。
「えっ………」
その頃
「ガルオド大佐
本当にこんな海域に島があるのかね」
ガルオド大佐に、不満をぶちまける艦長。
「GPS不到達点
アメリカで長年研究されて来た」
ガルオド大佐本人も、本当にあるのか半信半疑だ。
「つまりなにかしらの磁場かね ??」
首を、かしげる艦長。
「ケッケッケ」
そこへ、気持ち悪い笑い声を出して身長の低い博士があらわれる。
「ペ・ギル博士………」
頭の上は、ツルつるで小さなメガネを鼻に引っかけている。
「キミらに説明したところでわからんさ」
少々、上から目線で艦内の者からは嫌われている。
「チッ」
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