第11話

「………ああレセアか」


 ボクは、寝室に横になっており傍らにレセアが心配そうに見つめてボクの脚をさすっている。

 一瞬、天国に来たのかと思う。


「目が さめたみたいね」


 ニッコリと、笑うレセア。


「………いつの間に眠ってしまったんだろう ??」


 全身が、痛くて起き上がれない。

 レセアが、下半身をさすってくれているから意識を保てている。


「ティファさんの話によればジープで待つティファさんたちのところまで戻った時に倒れて───」


 倒れた?

 そんな、記憶がない。


「ちょっと待って………

どうなったんだ」


 記憶の、断片をたぐってみる。


「えっ ??」


 聞いた話との、ギャップに戸惑うレセア。


「ティファさんに 手榴弾を渡されてそれからキャロルに乗ったところまでしか思い出せない」


 右手を、やっとの思いで動かし額に手のひらを置く。


「落ち着いてヒュー」


 表情が、曇るレセア。


「なにがあったんだ

キャロルは無事か? ティファさんは? エミリーも」


 だんだんと、心配の方が強くなっていく。


「みんな無事よ

キャロルの修理も終わったみたい」


 手榴弾で、破壊していなかった。

 みんな無事と知って、ホッとする。


「よかった

あれから どれくらい寝てた ??」


 修理が、終わったと聞いてふと疑問が湧く。


「3日………かな」


 苦笑いするレセア。


「エッ3日も」


 自分自身が、一番ビックリしただろう。


「そうね

もう起きないかと心配したわ」


 どうやら、ずっとレセアが面倒を見てくれていたようだ。


「………体じゅうが痛いんだ

棒で殴られたのかな ??」


 少し、動かそうとすると激痛がはしる。


「わからないわ」


 それは、聞いていないレセア。


「おーーー

目がさめたかぁ勇者よー」


 寝室に、ティファさんの声が響く。


「ティファさん

無事みたいですね」


 ティファさんの、顔色を見て安心する。

 少々、お酒を飲んでいるようだ。


「うんおかげさまでピンピンしてるわ

キャロルも無事よ ありがとうね」


 寝ているボクに、抱きついてくる。


「よかったです

どうも記憶がなくなってて」


 大事な部分だろうところが、スッポリと無い。


「そうなんだ

一時的なショックからかな

体の具合はどうよ ??」


 体調を、気にするティファ。


「全身が痛いです」


 痛みの、原因が知りたい。


「暗視スコープで見てたけど スゴかったよ

1コしかなくてエミリーと取り合いになっちゃったけど」


 ボクの、行動を見ていたらしいので詳しく聞こうと、


「なにがスゴ………

痛ったたた」


 上半身を、起こしかけて激痛でベッドに沈む。


「安静にしてなって

お腹減ったら 美味しいもの作ってやるからさ」


 笑顔で、ウインクするティファ。


「あのー出来ればティファさん以外の料理が」


 ティファの、弱点は料理が下手なことだ。


「遠慮すんなって !!」

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