ヒヨコの大冒険、モフモフボディーで成り上がり
イコ
人外転生
第1話 モフモフ転生
どこか遠くの世界の話。
その世界を支配する、四体の聖なる獣が存在した。
彼らは、互いに問う。
我らの中で一番強いのは誰なのか?
大地を支配するフェンリルはいう。
「そんなもの決まっている大地の王者たる我であろう」
空を支配するフェニックスはいう。
「それはもっとも美しい私でしょう。空は全世界にあるのです」
海を支配するアーケロンはいう。
「長く生きることができ、海は全てを生み出す母なる存在である。その支配者である私が最強だろう」
全ての支配者であるエンシェントドラゴンがいう。
「お前たちはそれぞれの地域を支配しているつもりかも知れぬが、我が眷属は全てを支配している。一部しか持たぬ貴様らが我に勝てるはずがないであろう」
四獣は口論から、そのまま戦闘へと入っていく。
それは時空を引き裂くほどの衝撃を生み出した。
しかし、そんなことを気にする四獣ではない。
互いに争いを止めることなく時空を引き裂いた。
それでも決着がつかないまま、数百年戦い続けたが、いくら戦っても決着がつかない。
ならば、自分たち眷属を戦わせよう。
強い子を育て上げて戦わせ、獣の頂点に立った者がいる種族こそが最強である。
四体の聖なる獣は自らの力を受け継がせられる強い魂を求めた。
彼らは知らない。
自分たちの戦いによって時空を引き裂いたことを……。
別次元に存在していた別世界から、強い魂が時空へと飲み込まれたことを……。
飲み込まれた者たちは肉体を失い。
魂だけの存在となって、聖なる獣が支配する世界の輪廻の輪に組み込まれる。
新たな覇権争いが始まる世界へ生まれ変わろうとしていた。
覇権争いに巻き込まれた人族と……。
全てを従えたい魔族によって、命運をかけた戦いを繰り広げる世界へ導かれる。
♢
あれ……。
目が見えない……。
何が起きたんだ? 俺は……誰だ?
「ピヨ!」
はっ? 言葉を発した瞬間に、自分の声ではあり得ないほど可愛らしい声が発せられる。
次に何かが破れる音がして光が差し込んできた。
どうやら俺の目が見えないんじゃなくて、何かに視界が塞がれていたようだ。
真っ暗な世界に光が差し込む……。
「「「ピヨピヨピヨピヨ!!!!」」」
盛大に鳴り響く鳴き声、視界を塞いでいた何かが破壊された。
外気が入り込んで、鳥たちが鳴く音が凄まじく聞こえ始める。
どうやらタマゴの中にいて、巨大なヒヨコたちに俺が入っていた殻が破られたようだ。
どうして巨大なヒヨコに囲まれてるんだ?
「ピヨピヨ?」
はっ? 声を発しようと思うと、俺からピヨピヨという声が発せられる。
♢♢♢♢♢
種族:ビッグなヒヨコ
称号:まだ何者でもない、人の心を持つヒヨコ
状態:生まれたて
レベル:1/5
H P:10/10
M P:10/10
攻撃力:10
防御力:10
魔法力:10
魔法防御力:10
素早さ:10
魅 力:10
特殊スキル:《神の声:レベル1》、《ステータス閲覧:レベル1》
通常スキル:《鳴く:レベル1》《突く:レベル1》
称号スキル:《空王の眷属候補:レベル???》、《モフモフボディー:レベルMAX》
♢♢♢♢♢
《ステータス画面を開きました》
いきなり脳内に声が響いて、目の前に映し出されたステータス画面の説明をしてくれる。
《特殊スキル《神の声》によって能力を説明させていただきます》
どうやら《神の声》によって、状況の説明をしてくれるようだ。
なら今の状況を教えてくれ。
《現在のレベルではお答えすることはできません》
おい! なら、他にも何かできることはあるか?
《現在のレベルではお答えすることはできません》
じゃあ何ができるんだよ!
《現在のレベルでできることはステータスを開いたことをお知らせするだけです》
それって何もできないってことじゃん。
俺がステータスを閉じて視界を前方に向けた瞬間に、巨大なヒヨコが倒れてきた。
なんだ? 多分俺はビッグなヒヨコって種族になってるから、こいつらは兄弟姉妹なんだろうな。
ヒヨコたちが倒れてきて重い。
モフモフに潰されそうだ。
「GYAAAA!!!!」
えっ! 何とかヒヨコ兄貴たちを押し退けて顔を出したところで、ワニのような顔がこちらを睨みつけて咆哮を上げていた。
その口には、兄弟らしきヒヨコが咥えられている。
「ピヨ!」
食物連鎖! そんな言葉が浮かんできた。
相手は翼を持ったワニ! つまりドラゴン? そんな化け物がいるのかよ! 兄弟が食べられてしまっている。
エグい! 大きな口が開いて俺を食べようと口が迫る……!!!
「ピーーー!!!」
死にたくない! そう思った瞬間! ドラゴンの姿が消えた。
暗雲が立ち込め、雲行きから雨が降り頻る空から炎を纏った鳥が舞い降りて、ドラゴンを消し炭にしてしまった。
「ぴっ?!」
何が起きたのか全くわからない。
だけど、ドラゴンを殺せる火の鳥? そんな凄い存在がいるのか?!
火の鳥がこちらへ向かってくる。
「クカー!」
慈愛に満ちた目をした火の鳥は口を開けて、何かを巣に落とした。
それに兄弟姉妹のヒヨコが群がっていく。
何だ? 俺は興味を持って近づいて見た物に顔を青ざめた。
「ピー!」
それは巨大な芋虫だ。
多分死んでいると思うけど、ビッグなヒヨコである兄弟たちよりもデカい!
ヒヨコ兄貴たち三人が群がっても、余裕であまっている。
巨大芋虫をヒヨコ兄貴たちが突いて食しておられる。
そうか、この火の鳥は俺のカーチャン、もしくはトーチャンなんだ。
餌を取ってきてくれたってことか? マジかよ。
これを喰ってか? うげー……。
でも、考えてもみろ。
今の俺はビッグなヒヨコで、目の前にいる火の鳥がカーチャンなんだ。
俺は人じゃない鳥だ! それに食わなくちゃ生き残れない。
さっきのドラゴンを倒せるぐらいに強くならないと、すぐに死ぬ。
「ピー!」
俺は強引にヒヨコ兄貴たちに割り込んで、巨大芋虫に嘴を立てた。
美味っ! 何これ! 甘っ! 芋虫って甘いの? てか、なんか食べると力が漲ってくるっていうか強くなった気がする。
《レベルアップしました》
はっ?
ご飯食べただけでレベルアップ? そんなことあるのかよ。てか、そんなことはどうでもいいわ。
この巨大芋虫を俺はもっと食べるんだ!
ヒヨコ兄貴たちを押し退けて俺はガツガツと巨大芋虫に喰らいついた。
《特殊スキル:???》を習得しました。
うん? 何かいったかな? マジで美味い。
美味くて他のことがどうでもいい!
もう食べられないぐらい、満腹になるまで巨大芋虫を堪能したい! そう思っていると火の鳥カーチャンがもう一匹を追加で出してくれた。
他のヒヨコ兄弟は満足したのか、俺は一人で一匹を食べた。
《レベルアップしました》
《レベルアップしました》
《レベルアップしました》
《レベルアップしました》
ご飯を食べながら、ずっと《神の声》が何か言っていた。
だけど、完全に無視して巨大芋虫を食べることに夢中になっていた。
いや、生まれたての俺は空腹だったようだ。
さっきのドラゴンの恐怖とか、全部忘れるぐらい初めて食べる巨大芋虫の美味しさに夢中になった。
もう、俺は一生芋虫でもいいんじゃないか? そう思うぐらいハマったね。
火の鳥カーチャンは俺たちに餌を与えると、空へと飛び立っていった。
俺は満腹になって眠りについた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
あとがき
作者のイコです。
どうも今回は異世界人外転生物です。
楽しくほのぼのヒヨコツエ〜展開で書ければ良いと思っています。
カクヨムコンテスト9挑戦作品第一弾です。
あまり人気が出なかったら、諦めて次へw
応援していただけるのであれば、レビュー、いいね、コメントをどうぞよろしくお願いします( ^ω^ )
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