第5話 転校初日の美月
朝、教室のなかがざわざわとしている。
先生「それじゃあ、今日は転校生を紹介するわね。さあ入ってきて。中野さん、中野美月さん。どうぞ。」
美月(心の声)『私は息をのんだ。覚悟を決める。そして一歩教室へと足を踏み入れた。みんながこっちを見ている。う~んみないでええ!ああ!なんか緊張してきたあ!私は、そろりそろりと先生の方に近づいていく。そして先生の顔を見る。先生は優しげに私の方を見て「大丈夫よ」と言わんばかりにうなづいた。私は教卓の後ろに立つとみんなの顔がジャガイモに見えますようにと思いながら皆の顔を見渡した。みんな興味津々に私の方を見ている。どうしよう。なんて言ったらいいんだろう。なんて自己紹介したらいいんだろう。心臓がバクバクしている。どうしよう。冷汗がタラリと出てきた。先生がさっき黒板に書いてくれた私の名前を振り返り見る。』
美月「は、はじめまして!な、中野美月です。みなさん、ど、どうぞよろしくお願いします。」
美月(心の声)『私は、言葉がしどろもどろになりながらもなんとか言い切った。そして頭を深々と下げた。みんなはまだ見ている。視線が私の背中に突き刺さる。先生がとんとんと肩を優しくたたいてくれた。私はゆっくりと顔を上げた。みんながこっちをやっぱり見ている。興味津々とみている。』
先生「中野さんはね、横浜からやって来たの。みんなも知っている万福寺のご住職をされているおじいさんが先日倒れられて、それでこの町に引っ越してこられたの。みんな仲良くしてあげてね。そうねえ、中野さんの席は、あ、山本さんの隣がいいかしらね。山本さん!いろいろ教えてあげてね。」
山本「はい!」
美月(心の声)『おかっぱ頭のとっても元気そうな女の子が手を挙げた。』
先生「中野さん、それじゃあ山本さんの隣に座ってね。」
美月「はい」
美月(心の声)『私は視線を床の方に落としてそろそろそろっと山本さんの所に近づいて行った。』
山本「よろしくね」
美月(心の声)『という山本さんに対して、「よ、宜しくお願いします」と何とか消え入りそうな声で言って頭を下げた。そして指定された席に座った。「さあ、じゃあ授業を始めましょう。」と先生が言った。一時間目は算数と黒板に書いてある。』
山本「中野さん、教科書、まだないでしょう?一緒に見よう。」
美月(心の声)『そう言うと山本さんは机をくっつけてくれて教科書を見せてくれた。』
美月「あ、ありがとう」
美月(心の声)『そう私が言うと、山本さんは、「気にしないで。」そう言ってほほ笑んだ。』
先生「今日は小テストをやる予定だったけれども、中野さんが初日だから小テストはまた別の日にやりましょう」
美月(心の声)『そう先生が言うと、やったー!とみんなが歓声を上げた。』
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