激闘の魔王戦(オッサンは見てるだけ)

戦闘が始まったが、圧倒的だった。



「裸のオッサン」なんか必要無いと思えるほどだ。




(俺除く)メンバーは最初から全開で立ち向かって行った。




タチアナは顔を真っ赤にしたと思ったら今まで見たことの無い速度で移動したのか、一瞬で姿が消えた。


……例のスキルを使ったのだろう。


某有名ゾンビゲームのHDリマスター版の倒れた後に復活したゾンビさながら、顔を真っ赤にして口から湯気を吐きながら高速で移動しているのがチラリと見えた。


タチアナが通過したと思われる場所から剣で切ったような音がして、遅れて魔王の触手が刻まれる。





「……恐ろしく早い斬撃。俺だったら見逃しちゃうね。」


ついそう呟く。





だって見えねえもん。








ヒタチも必死に応戦している。



触手を盾で弾き返し、鋸状の剣で魔王の体を刻む。



触手がヒタチの盾に弾かれると、触手の根元から千切れてどっかに飛んでいった。

ヒタチは盾で防いただけのようだか。

スキルの力だろう。





コモリもコモリ自身と俺を空間魔法による拒絶結界で守りつつ、空間魔法で攻撃して魔王を追い詰めていた。


魔王の中心の空間を抉じ開けて肉体を切り裂き、空間を歪めて脚を捩じ切ったり、向かってくる触手に超重力の空間を発生させて押し潰したりと空間魔法をフル活用していた。



3人が互いに行動を制限しないように攻撃しているので、あっという間に魔王はボロボロになっていった。






「やっぱり俺要らなかったじゃん……」



ついボソリと呟いてしまう。





チン◯が聖剣


羞恥心が最強の鎧

(発動したら強制全裸)


オナラは究極風魔法





「神様の悪ふざけ全部のせ」みたいなスキルで真面目に魔王を倒せるわけがないんだよ……







複雑な心境で終わりが近い戦いを眺めていると、





「グォォォォォ!!!」と

魔王が急に叫んだ。




と思ったら


体を丸め始めた。










……ゴリゴリ




………ベチャベチャ






変な音がする……







丸めた体をゆっくり戻す魔王。



元の体の腹のあたりにまるで洞窟の入口みたいな大きな口があった。


口の中はビッシリと牙が生えている。



頭の位置にある口の数倍は大きな口だった。





そしてやつは………


















自分の体を食っていた。






殆ど使わなかった虫の様な足を触手で千切り、口の中に入れグチャグチャと食っていた。



皆にズタズタにされていた触手も食っていた。



頭だと思っていたところも自分で引きちぎって食っていた。




体の一部を食う毎に魔王の体の傷が塞がっていく。



触手を食う毎にすでにある触手が細く枝分かれしていく。

最初は人の胴体くらいの太さで10本くらいの触手も、今は女性の腕くらいに細さで30本くらいある。





最初よりも低い声で魔王が


「オマエラ……


クッテヤル!!」


叫ぶや否や触手が襲ってきた。






……絶望的な第2ラウンドが開始された。













叫んだ時に思っていたが、頭が無くなって知能が低くなったかと思っていたが、先程の戦闘で個々の力量を把握したのか、さっきよりも苦戦させられる。




タチアナはさっきと同じように切り刻む様に攻撃しているが、触手の硬度と速度が上がったのか切断には至らず、傷つけるくらいしか出来なかった。



辛うじて切り落とした触手も即座に回収・吸収されて新しい触手が生えてきた。



さっきまで斬られるだけだった触手は、新しくなってからは時々タチアナに反撃をしているので、高速で動くタチアナだが時々聖剣で触手を防御





ヒタチも盾で弾いて剣で斬るという事が難しくなってきたのか、時々触手が直撃していた。



バキボキと確実に折れている音がして、腕がおかしな方向に曲がっても、直後に元に戻って折れた腕に該当する魔王の触手が千切れるのでスキルで対応しているのだろう。



魔王の攻撃を急所は外してはいるが被弾する数が増え、剣で斬りつける暇が無くなりヒタチは防戦一方になっていた。




コモリはお腹の子の影響か、空間魔法の精度が落ちている。



明らかにおかしな所に空間の切れ目を入れたり、空間を歪めて引き千切る攻撃を空振ったり、超重力空間の展開場所がズレて魔王の足元を凹ませただけだったり。



「こんな時に……」

と苦しそうに顔を歪ませてお腹を押さえるコモリは、息を切らせて辛そうだ。



徐々にコモリと俺にかけている空間魔法の拒絶結界が歪んできている。














「グォォォォォ!!!」



魔王が一際大きな叫び声を上げると、触手が今まで以上の速さで全員に襲いかかってきた。



タチアナは聖剣で防ぐが、空中だったために遥か後方まで吹き飛ばされた。


ヒタチは四方からの触手攻撃に対処出来ずに地面にうつ伏せる様に叩きつけられた。


咄嗟にコモリは俺の目の前に立ち、盾となってくれたが、拒絶結界が歪んでいてすでに隙間だらけだったため触手に殴られて何処かに吹き飛んでいった。




少しして「グハッ!」とか「カハァ!」とか声が聞こえたのでタチアナとコモリが壁に叩きつけられたのだろう。










…………俺だけ無傷だ。










だが、こんなにも絶望的状況で何が出来るだろうか。





戦ったことどころか武器を持ったことすら無いただのオッサンが。


全裸でチン◯勃たせて。




神様の加護があって丈夫な体のメンバーと違って、あの触手で頭殴られただけで即死なのはすぐわかる。






「くそ………!!



こんなのどうすりゃいいんだよ!!



なんとかできるのかよ!!


カミの野郎!!」




つい呟いてしまう。










…………グルグルグルグルグルグル!!




腸が動いてものすごい音と共に

便意の波が襲いくる!





「しまっ……こんな時に!!」





呪いが発動してしまった。



神様を侮辱すると、直後に便意に襲われる。

排便量は通常の日本人の数倍。

侮辱すると何度でも排便される。






「ふざけた呪いだ………!!」




こんな場面でウン◯している場合では無いので我慢するが、腹痛は脂汗を引き起こす程に強くなる。



肛門括約筋こうもんかつやくきん活躍かつやくして貰い何とか耐えている。











そんなを繰り広げているこちらを無視するように魔王は触手でヒタチを拘束して持ち上げ、自らの目の前まで移動させた。





嫌な予感がする………

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