3日目朝 間もなく魔王戦

白熱の激闘を制した俺(仰向けで寝てただけ)は、メンバーから心配されつつ、事の顛末を尾びれ背びれ胸びれ付けて説明した。



………すぐに嘘がバレて恥ずかしくなるんだが。





恥ずかしいと思うと発動する光の鎧旅の恥は掻き捨てで脚にあった爪のダメージと、爪に付着していた毒が飛んでいったので、



「実はこれが目的だったのだ!!」ドヤァ


と大見得を切った。






…………皆残念そうな目で見ているのは気の所為だろう。










改めて魔王の住処へ歩を進める。




魔王の住処は間もなく着くとの事だが、目の前には童話の桃太郎に出てくる鬼の住処みたいな洞窟が見える。



魔王を称える祭壇とか魔王城とか魔王軍的なものとかあるのか聞いてみたが、

タチアナ曰く

「元々は大した知能が無い魔物が瘴気を溜めて魔王になったり、魔王と呼ばれる強さになって初めて知能付いたりするから、立派な建物を作ってそこで住むってのは考え難いね。



魔王からしたら立派な建物欲しかったら人間が作った城とか奪う方が早いし。



それに城奪ってそこに留まるよりも、瘴気が集まる所で留まっている方がより強くなれるだろ?



下手に瘴気が集まる所を弄って城を建てたせいで、瘴気の流れが変わってしまうのも問題だしさ。



城を建てるってのは魔王からしたらデメリットの方が多いと思うよ?」




………論破されてしまった。




「そもそも魔王が部下を操って何かするとしても、魔王だって自分より頭がいい奴が部下だったら寝首斬られる可能性あるから、部下に頭が回るやつをつけるより、言われた事を淡々とこなすやつを部下にするだろうし。



優秀な部下は魔王からしたら危険な部下になるから、側近とか魔王軍とか作った後でそいつ等がまとめて裏切ったら面倒な事にならない?」





………はい。


すみませんでした。



完全に論破されてしまった。




「それに今までの二つ名もこの近くに来ていたのだって、魔王が取り込んだ瘴気を少しでも自分が取り込んで強くなるか、あわよくば魔王から瘴気を奪って自分が魔王になるためって前説明したよね?そんな事も忘れたの?アホなの?だいたい………」



「もうやめろ!タダヒトが死にそうだ!!」

タチアナの猛攻撃(口撃)を制止したのはコモリ。



若干頬染めて嬉しそうに罵倒していたタチアナはヒタチとの夜の事も考えると、ドSなのかもしれない。



タチアナに罵倒されている時、頬が冷たかったのはきっと泣いているからじゃなく、雨が降っていたからだろう。



空は晴れているが。



コモリに制止してもらった時、頬が温かったのはきっと泣いているからじゃなく、汗をかいたのでろう。



肌寒い気温だが。












そんなやりとりを経て、森の中をズンズン進むと、があった。



3人は

「「「夜不可視よふかし!?」」」

と驚いていた。





そっか……こいつがそうか………





アマゾン川でたまに目撃されるアナコンダみたいなサイズだった。



頭の位置くらいにバラバラに砕けたがあったが、きっと気の所為だろう。




「前よりデカい……って事は前より強くなってたはず……」

「でもこれ……一撃で頭吹き飛ばしているよ?コモリちゃんでも難しくない?」

「この肉質なら全力の一撃叩き込めれば…多分同じ感じに出来なくは無いが、拘束させないとここまでキレイには当てれないな……拘束させるのに魔法使えば威力も落ちるし……」





等とヒソヒソ話している3人の視線が痛いが、きっと雨のち剣の天気だったんだろう。



俺は知らない。



手柄なんかいらない。



変に期待されて魔王とタイマンとかやだからね。







そんな事考えながら歩いているとアチコチに剣やら鎧やら白骨死体やらが散乱しているエリアに着いた。






「ここは……なんだ?」

戦争でもあったのかと思うほどの残骸の数々。





「ついに魔王討伐戦跡地に着いたか。」

タチアナが誇らしげに答えた。



「かつて強くなり過ぎた魔王を討伐する為に世界中の生き物……それこそ他の魔物すらも魔王を討伐するべく集まった時があった。その戦場がここだ。」

コモリがフォローをくれる。




「事前に魔王になりそうな魔物は勇者達で狩るんだろ?


そこまで強くなる前に対応出来なかったのか?」

気になったので聞いてみる。





「今回の魔王もそうだが、瘴気を蓄えて成長するまでが早すぎたんだ。



普通は漂う瘴気を取り込み蓄えて強くなっていく魔物だが、相手を食って相手の瘴気を取り込むことでより早く強くなれる。



争いの際の怪我が治らず死ぬ魔物も多いし、勇者達で魔王候補の魔物は事前に狩っているから、本来は魔王と呼ばれる強さには中々辿り着けないはずだが……


こまめに狩りに行きたくてもすぐに到達出来ない所にいるのも相まって、魔王になるのを止められなかったってのもあるな。」


詳しい説明ありがとうコモリ。



前回は総力戦で何とかなったけど、今回は勇者達では間に合わなくなるから俺の出番ってわけか。



やだなぁ……


戦いたくない……









周囲には前回の魔王戦の残骸があるが、よく見るとまだ使えそうな装備が。



壊れて使えない物もあったが、使えそうな装備をもらった。



鑑定使いながら見てみると47本の聖剣のうちの何本か見かけたのでメンバーにも教えるが、皆使い慣れた装備の方がいいとなったので、俺だけ装備を固める事に。




まぁ……光の鎧旅の恥は掻き捨て発動したら装備飛んでいくけど。





ちなみに聖剣は都道府県にちなんだ名前が多かった。




桜咲火斧おおさかふとか……



聖剣じゃなくて斧じゃねぇか!!











宝供魁弩ほっかいどう







はどこ行った!!??



=いしゆみ ボウガンの事

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る