1日目夜 情事の事情

デスクワークだったオッサンには山歩きは大変です。



勇者と呼ばれる体力お化け達と比較しないでください。



こちとらもやしっ子なんだよ!!




いや、オッサンだからもやしじゃなくて大根?



大根にしてはヒョロヒョロだし……


若くねぇからな。


う〜ん………



ヒョロヒョロの干からびた……











……!!切り干し大根!!


よし!!


今度から切り干し大根と自称しよう。



「そろそろ休憩しようか。」

「切り干し大根!」

「……は?」



ついタチアナの提案に切り干し大根で返事してしまった。


俺の故郷では切り干し大根が“いいね”の代わりだと教えておこう。




「夜は魔物達が活発になるし、こっちは戦闘し難い環境だからな。朝まで交代で休憩を取りながら敵襲に備える。」



なるほど。

所謂いわゆる冒険者達の野営だな。



……俺が見張りって出来るのか?



「タダヒトは見張りには立たなくていいぞ。」


そう言って心を読んだかのようにタチアナは言う。


「メンバーは全員索敵能力が高いからな。安心して休んでくれ。」

タチアナの提案にちょっとだけ『ラッキー♪』と思ってしまった。



でもすぐに

やっぱり俺役に立たねぇんじゃねぇかな……

と思ってしまった。



歳を取ると弱気になっていけねぇなぁ。

感情がコントロールし難くなるな。



コモリが操る空間から食料や焚き火の薪等を出して食事をする。


……俺の食料も“上空でテイクオフ”してるから分けてもらう形になるわけだ。


とことん足引っ張っているな。俺。



食材は手慣れた手付きで調理していくタチアナ。

良い嫁さんになれるなぁ…なんて思っていたら食器の準備等の設営はヒタチがしていたのが見えた。



「あ…何か手伝うよ!」

流石にタダ飯喰らいの役立たずって立場はマズイ。

咄嗟に立ち上がるも、ヒタチ(♂)にそっと肩を押さえられて、


「気にしないで休んでて?体休める事も大事だよ?」って言われた。


見た目美少女でフリフリドレスの甘ロリファッションだから勘違いしがちだが、ヒタチは男だ。



肩に触れている手の圧が強い!!


え…ちょ……


ミシミシ言ってない!?



「わかった……すまないな。ありがとう。」

と澄ました顔でお礼言っておくが……



え……あの細腕でどんだけ力あんの!?


肩折れてないかな?

大丈夫?




前回の鑑定結果から判断するに…一般的な人の平均の4倍強くらいの腕力だったかな?



……え……ゴリラやん。


ヒタチ(♂)が「も〜///やだ〜///」とか言いながらビンタとかしてきたら俺首飛んでいくや〜ん。









……魔王よりも身近にある危険。

確かに感じた夜だった。
















食事も終わり、後は寝るだけだ。

コモリの空間に収納されていた毛布を体にかけて就寝。


見張りはコモリがすることに。


コモリは普段の目を閉じると所謂いわゆる「第三の目」と呼ばれる目を開く。

額にあるその目はキョロキョロとせわしなく周りを見渡すと、スッと落ち着いたように中心の位置で動かなくなった。



コモリが使う空間魔法は空間を操作することで、荷物の収納から移動、攻撃から防御まで様々な使い道があるそうだが、周囲の空間把握に特化することで、ドローンのように周囲の地形から魔物の数・種類まで見れるとの事。


第三の目を開いたのは空間把握に集中するためらしい。



尚、第三の目を開かなくても空間把握は出来るみたいだが、範囲が少し狭くなってしまうのと、今は普段の目を閉じる事で体を休めつつ空間把握しつつの“省エネモード”になれるとの事だ。



便利だなぁと思ったが、人間よりも高位の種族故に可能な芸当なのだと納得して眠りについた。





――――――




――――




――












様々な事があったからか、眠りが浅かったのだろう。

耳を澄ますと肉のぶつかる音に合わせて、男と女の喘ぎ声あえぎごえが聞こえてきた。



まぁ……若い男と女だからなぁ……


なんて思いながら薄目を開ける……



(/ω・\)チラッ





















オィィィイイイイ!!!!



何で



タチアナ(♀)→ヒタチ(♂)

なんだよ!!




普通逆だろーが!!


ヒタチ(♂)→タチアナ(♀)じゃねぇのかよ!!


良く見たらタチアナから立派なが生えてるじゃねぇか!!


しかも紫色で子供の腕くらいの太さじゃねえか!!



「タチアナさん!!♥凄い【突き】です♥もっと♥もっとお願いします♥♥」パンパン



じゃねぇよ!!


タチアナの【突き】の称号は男のケツ突くためのものじゃねぇだろ!!



「いいぞヒタチ♥私の【突き】を【受け】とめろ!!♥♥」パンパン



じゃねぇんだよ!!



ヒタチお前!!

ケツでを【受け】るからついた称号じゃねえだろ!!



「はぁぁん♥凄いです♥弱点を的確に【突いて】きて……♥死んじゃう〜♥」パンパン


とかお前が喘ぐな!

ヒタチ!!


ハァハァ「これぞ女神様の加護だ!!【突き】が的確に弱点を狙う!!」パンパン


そんな事に使うのに女神様は加護与えねぇから!!


ってか必中補正をこんな事に使うな!!




と頑張って薄目を維持しつつ心の中でツッコミを入れてたら目の前の文字が浮かぶ。


『そのまま目を瞑って見なかった事にしなさい』


その文字が浮かぶのと間髪入れずに声が聞こえる。


「おぃ!!見ろよ!起きてんだろ!!サイコーだぞ!!」ハァハァ


……興奮Maxのコモリの声だ。



薄目を維持したまま寝返りするフリしてコモリの方に向き直る。















!!!なんじゃこりゃ!!!




コモリの腕から体から全身に目が。


妖怪のってやつみたいな感じ。


もしくは幽☆◯☆白書の初期の◯影ひ◯いみたいだ。


そしてその目は1つだけこっちを見てるが、残りは全部タチアナ・ヒタチに向いている。



そして高速でスケッチしている。


体感的に15秒くらいで1枚描いて次の紙に描いていく感じ。

チラッと見えた絵は、まるで写真みたいな精度だった。


きっとパラパラ漫画したらエロ動画みたいになりそうな…




だが、スケッチしているのはコモリだけではない。


空間に数多の窓が出来ていて、そこからコモリみたいにいくつもの目がついた腕みたいなのが何本も生えていて、それらの腕もスケッチしているのだった。



まるでデッサンを描く美術学生のように、タチアナ・ヒタチを取り囲む。



あまりの異様さに声が出なかった。

いや、声をあげるとオレのケツも危険な気がして声を出せなかった。



「そろそろ限界だ!行くぞ!!ヒタチ!!」

「きて♥きて♥」



そろそろ2人も限界が近いようだ。


声だけ聞いても♂→♀なのだがなぁ……


「はぁ!!♥」


「ひぃん!!♥」


と何かの叫び声みたいなのが聞こえたと思ったら









―――― ドゴッ!! ―――









………何かが木に叩きつけられた音がした。



恐る恐る(寝返りしつつ)2人を見ると……


タチアナの股間のから消防車の放水レベルでなんか……青い液体がビューっと出ていた。


タチアナは快感で気を失ったのか、膝立ちからの仰向けの体勢。

股間からビュー。



ヒタチはビューで飛ばされたのか、木に激突。

赤やら青やら白やら黄色やら緑やら茶色やら、カラフルな液体を体の色んなところから吹き出しながら、気を失っていた。



薄っすら目を開いて見てみたが、これでもか!って程の笑顔だった。




コモリとそのお供(?)の腕達は、ひたすら15秒に1枚ペースでスケッチしていた。



「サイコー!!ひぃぃぃ!!これこれ!!たまんねぇ〜〜!!♥」


とか言っているのが狂気を感じた。



ヒタチが吹っ飛んで終わりを迎えた後も、色々吹き出しているヒタチに近づきスケッチしていた。



「はぁぁぁ……♥子供妊娠しそう……♥」


とか言いながら、スケッチするコモリとお供(?)の手は止まらなかった。



コモリが急に


「…………まてよ………?タダヒトとオレが間に入って………4人プレイ!?4人いけんじゃね!!!??タチアナもタダヒトのケツ狙ってたし!!!


タチアナ→タダヒト→俺→ヒタチ


とか


タチアナ→俺→タダヒト→ヒタチとか!!?



あ〜………


タチアナ→ヒタチ→俺→タダヒトも良いな!!この場合俺とヒタチの場所変えても良さそうだな!!


皆どう思う!!!???」











………オイ ちょっと待て


周りはスケッチを一時停止して拍手しているけど。


賛同の意味の拍手か?それ。やめろ。



どこの“大乱交スワップブラザース”だよ。

てめぇ等と兄弟なりたくねぇわ。


と心の声でツッコミを入れる。


声に出したら起きているのがバレてケツが狙われるからね。



元々コモリの体内に収納されていた男性のが表に出て来てて、薄目でも準備万端なのが見えるのね。



しかもサイズがオレの性剣超えているのね。



大人の腕みたいなヤツなのね。















死んじゃう。



そんなのケツにねじ込まれたら死んじゃう。

(物理的に)



魔王に命狙われる前に




オレのケツが狙われてます。



助けて神様!!


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