1日目夕 深淵を覗く者はまた…
ヒタチはヤバい。
本能がそう告げている。
しかし2人を鑑定していてこいつだけをしないわけにはいかない。
やるか……
覚悟を決めて鑑定をかけようとした時にヒタチから近づいてきて、そっと耳打ちされた。
「皆には見えたもの全部は言わないでね♪フフ///♪」
背筋がゾクゾクした。
こいつ……何があるんだよ……
鑑定を躊躇させる事言いやがる。
覚悟を決めて鑑定……!!
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名前 ヒタチ
種族 人 ♂
年齢 16
腕力 922(種族平均220)
体力 1240(種族平均310)
脚力 1350(種族平均310)
頭脳 477(種族平均200)
魔力 773 (種族平均250)
精神力 996(種族平均220)
精力 8000(種族平均250)
加護 『汚泥と屈辱の神クスクス』の祝福
『同性愛と異性愛の双子神シュウ&ラバー』の祝福 『親殺しと復讐の男神バイオレンス・オットー』の祝福 『暴力と嫉妬の女神キリキリ・マイ』の祝福
特技 服飾 拷問
スキル
異常再生
好感度 77777 (平均10)
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……何だこれは……
ステータスが明らかにタチアナより高い!!
それだけじゃない。
加護が……多い。
普通は……無い人が多いって話だが……
祝福している神も神で邪神みたいな役割のが多いじゃないか……
その影響かスキルも異常だ……
こいつは……ヤバい……
そんな事考えてたらさらに耳打ちされる。
「僕はね。母親を殺した。だからね。色んな神様が祝福してくれたんだ。フフ♪」
背筋に冷たいものが流れる。
気温が一気に下がったような気がしてゾクリとした。
一瞬ヒタチが
おそろしく早い表情の変化。
俺じゃなかったら見逃しちゃうね。
そしてヒタチは普段通りの顔と口調で
「恥ずかしいからあんまり私をジロジロ見ないで〜///きゃ///」って言いながら2人の方へ戻っていった。
2人から何話してたのか聞かれているが
「乙女の秘密~///」とか言ってる。
お前男だろ。
乙女じゃねえだろ。
って心の中で突っ込むのが精一杯だった。
ヒタチのステータスはタチアナよりも低めの数字で公表し、加護は双子神のシュウ&ラバーの名前だけ出しておいた。
シュウ&ラバーの祝福があると恋愛体質になり、三角関係等のドロドロの状況になり、
ヒタチと三角関係とか怖いんだが。
その関係に俺入らないよ……ね?
ヒタチとの距離関係は気をつけないと。
好感度が77777とめちゃめちゃ高いんだが。
俺狙われているのかな?
特技の
コモリの空間から出してもらった布と糸でサクサクっと服と靴を作ってくれたのだが、
いずれまた俺のスキル発動して服が飛んでいくとしても、それまで裸じゃないだけマシってものだ。
裸足で森の中を走るのは辛すぎるからね。
靴大事。
そしてしばらくこの4人で魔王討伐に向けて森の中を歩く。
4人の中で1番体力が無いのは俺だ。
デスクワークのオッサンには森の中を歩くのはハード過ぎる。
3人はペースを合わせてくれているが、果たしてこのままで魔王のところまでどれくらい掛かるのだろうか?
ハァハァ息を切らしながらになるのでしょうがないが、無言で歩くのも苦痛なので魔王の近くにいる4体の二つ名について聞いてみた。
解説役のタチアナ
そもそも魔物とは生き物に魔の瘴気が宿ったもので、死んだら宿っていた瘴気は霧散する。
瘴気が霧散した生き物は食用や道具の素材として活用出来る。
ところが長く生きている魔物は瘴気を蓄え続けて強力な魔物になり、人々に害を成すだけではなく、1つの村や街を滅ぼす程に強くなる。
中でも国1つを滅ぼすことが出来る程に成長した魔物を他の魔物と区別すべく、二つ名を着けている。
「私もヒタチも二つ名の魔物は何体か倒した事があるぞ。」
とタチアナが胸を張ってドヤ顔で言う。
神託によると、殆どの二つ名の魔物はタチアナ達を含む世界中の勇者達の活躍により討伐され、二つ名が残っているのは後4体程との事。
創造神も言ってたね。
タチアナは大きな声で4体の名前を公表した。
「その4体とは
よふかし
だきまくら
なるしすと
きどくむし
だ!」
……だ!じゃなくて、タチアナさん?
こっちはさっぱりわからんのよ。
説明くださーい!
夜更かしとか抱き枕とかナルシストとか既読無視とかまるで二つ名とは思えない単語の羅列!!
口頭ではわからんとですーー!!
ってツッコミたかったがすでに体力の限界で、ゼェゼェ息切れしていて何も言えなかった。
皆は知っているのか暗い顔しているけどね。
こっちは一切知らないからね。
そんな時こそコモリの展開する空中文字だね♪
ちゃんと文字変換されててわかりやすいね。
『参考までに。
闇魔法も使える大型の魔物。闇魔法で影に隠れる事が出来るため、日中でも中々姿を見ることが出来ないが、夜にはほぼ目視不可能になる。姿を隠しながら襲いかかるため、攻撃も回避不可になりやすい。こいつが原因で一夜で滅んだ国が3つある。
淫欲の人型の魔物。魔法により身体の自由を奪い
変身を得意とする刀型の魔物。主に子供の姿に成り油断させ、刀の姿に戻り人を襲う。姿を変えるのが得意のため、町中でも1度見失うと次の被害者が出るまで見つけられないほどの擬態能力。一夜で滅んだ町がある。
蟲の魔物。常に飢えている毒蟲。こいつが原因で滅んだ国が3つある。』
………なにそれ こわい
むちゃくちゃこわいんですけどー!
飢毒蟲とか何!!??
いやーー!!
蟲嫌い!!
「かつて私とヒタチでよふかしと戦った事があったが……」
タチアナが語りだす。
「昼間だったが全然攻撃が当てられなかった。見上げるほどの大型の獣だったが、動きも早いし影に逃げるからこっちは防戦一方だった。あいつは強い……」
「でも…」
ヒタチがフォローを入れる。
「あの時と違ってこっちは2人増えたし、前より強くなっているからきっと勝てるよ!タチアナちゃん!!」
笑顔でヒタチはタチアナに語りかける。
「そうだな!次はきっと……
あ ちょっと待ってくれ。」
タチアナが急に手を突き出して“待った”の体勢を取る。
一同足を止めタチアナの方を向くが、タチアナは明後日の方向を向いて
「はい。もしもし。タチアナです。
あ…いつもお世話になってます。
はい。」
と手を耳に当てて急にお辞儀を繰り返し始めた。
……サラリーマンかな?
「はい。その件に関しましては……え?……はい……はい……はい。かしこまりました。はい。……はい。失礼します。」
何だろ?
異世界でサラリーマンの姿を見た気がする。
「え〜〜……神託があった。」
と真面目な顔でタチアナが言う。
……神託って電話かな?
「先ほど話題の【よふかし】だが、本日朝に空から降ってきた剣に刺さり死亡したそうだ!!残る二つ名は後3体だ!!」
タチアナは笑顔で宣言した。
ほう。
空からねぇ……
珍しい事もあるんだね。
この世界は雨だけじゃなく、剣も降るのか。
危ない世界だぜ……全く。
ところで俺の“上空でテイクオフした剣”はどこに落ちたんだろうなぁ………
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