最強の鎧は裸です。

!!!……素敵だろ?」



「はああぁぁぁ!???」


「これも作るの大変だったんだよー?出力が安定しなくてさー肉体が風船みたいに『パン!』ってなったり…」



な……何言ってんだコイツ…?

アホか…アホなのか…?

恥ずかしさが防御範囲に比例とか頭オカシイ…

しかもたまに肉体が弾けるとか…

究極のバカだ…バカミだ…



「心の声は聞こえてるって。」



「ぎゃあああ!腹が!腹が痛え!

ごめんなさい!ごめんなさい!」



「それに…さ。

ちゃんと意味はあるんだよ?」


「い…意味…だ…と?」


「そう。

激しい戦闘が続いて防具がボロボロになってきたら君たちはどうする?代わりの防具も無く直すすべも無かったら?」



「………」



「そこでこの鎧が役に立つわけだよ。

ボロボロの防具身につけてたら恥ずかしいだろ?戦闘が激しければ激しいほど露出が増えるから恥ずかしさはもっと増える。恥ずかしさに比例して防御範囲が広がるのは理に適っているだろ?どうだい?」


「いや全然。」



「はぁぁ!!!?なんで!!??鎧としては最適解だろ!?何処がおかしい!?」



「えーっとまず…

『事前に装備している防具がある程度壊れる』前提で作られたその鎧だけど、そもそも事前に装備する鎧が俺には存在しない。用意してないでしょ?」



「あ……」



「そのため



「あっちゃー」



え…そこに気が付かなかったの…!?

バカなの?バカミなの?

ってか『あっちゃー』とか使う人いたの?

まぁ…人って言うか神様って言うかバカな神でバカミだけど…



「聞こえてるって」


「ぎゃあああ!腹がぁ!ごめんなさい!ごめんなさい!俺が悪かった!俺が悪かったー!!」


「ふぅ…全く。僕が温厚な神様だから良かったけど…短気な神様だったら君今頃消滅してるよ?」



「ハァハァ……何処が温厚なんだか…そしてアh…」


「あ″?」


「すみませn……」


「せっかく作ったのに廃棄は勿体ないから使ってよ。あらゆる攻撃を防ぐ最強の鎧だからね。」



「さっきから鎧って言ってるけど俺にはあんたの手のひらの上には光の球しか見えないんだが?鎧なのかそれ?」



「鎧ってのは概念さ。光の力で身を護るから鎧って区分しているだけさ。それにあらゆる攻撃に対応するには鎧の形よりも球体に近い方が防御としては完璧なのだよ。【ドラゴン◯ール】で言うところの【バリア】みたいなものだね。」



「あー…わかりやすいっちゃあわかりやすいが……あんたあの漫画読んでいるだな。」


「面白いからね!!サイコーだよ!!特にフ◯ーザ様みたいな上司ってのは完璧だね!!僕も見習いたいよ!!」


「……多分無理だろ(ボソッ)」



「………えい♪」



「ぎゃあああ!!腹が!腹がぁぁぁ!!今のはノーカンだろ!!痛え!!とめろとめろ!!ああああぁ!!!ごめんなさい!!!」



「そろそろ学習しなよ〜」



「ハァハァハァハァ…学習してきたよ。その鎧もなんだかんだで持たされるんだろ?」



「正解。学習してきたね。」



「ハァハァ…頼むから体が弾けるとかやめてくれよ?」



「そこは大丈夫。ちゃんと調整済みだからね。弾けるのはだけさ!!」






「…………へ?」



「鎧の発動場所を何度かシュミレーションしたけどね~…腕とか脚とかじゃあ体全体覆うのにが発生する場所が出てくるでしょ?それこそ手の甲から光が全体的に覆うーとかだったら全身覆う前に頭狙われたらアウトだよね?だから体の中から外に向って一気に光の球が広がるようにしたの。」



「あー…だから身につけている物が弾け飛ぶんだー…」



「そう!あらゆる物理攻撃も魔法攻撃も全て弾く光の鎧は残念ながら身につけている物も弾いちゃうけど!!体の中から光の球が広がるから、体内に侵入した毒や病気も全部弾き飛ばせるよ!!素敵だね!!」



「無駄に高性能だな。そこは装備品は弾かないように調整しろよ」



「そこが難しかったんだって。君がナイフの刃の方を持っていたら攻撃されているのか誰かに渡そうとしているのか、武器として使おうとしているのかパッと見でわからないだろ?しかも答えはケースバイケースだ。光の鎧の認識としてはそこの判断が難しくプログラム組むのが大変だったから…」



「だから全部弾いちゃえって事だな?調整難しかったのは内側から全部弾いたら肉体も弾けたって事だな?」



「だ!か!ら!!調整が難しいかったんだって!!君やってみなよ!絶対失敗するから!!文句言うなら僕のより良いの作ってから言ってよ!!」



「無茶言うなよ…できるわけないだろ…」



「出来ないならすでにあるものに文句言わない!はい!素直に受け取る!」


「ま…まて…」


「待たない!えい!」


「ぎゃあああ!……ってならないのか。すんなり体に入ったな。」



「うんうん良かった良かった。試算では体に入れる瞬間に体が弾ける確率94%だったから何もなくて良かったよ。」


「お前ふざけんな!!」



「これで君は最強の剣と鎧を得たね。向かうところ敵無しだね。魔王討伐もバッチリだね。」


「おい待て待て待て!待てって!勝手に話進めんな!」


「さ!いってらっしゃーい!」


「待てっつてんだろこのバカミが!ハゲ!ジジイ!!」


「ハゲてないだろ!」


「ぎゃあああ!!ごめんなさい!!!フサフサです!!ピチピチです!!イケメンです!!モテモテです!!!サイコーです!!!」


「全く…なんだっていうんだい?」




「ハァハァ…ちょっと話聞いてくれ…このままだと魔王討伐前に死んでしまう」



「そうかい?イケると思うけど?」



「く…くそ…その根拠の無い自信はどこから…」


「僕は神様だからね!!(ドヤ)」



「それなら(バ)神様。今のままでは…ぎゃあああ!!腹が!!腹がががが!!!」



「心の声駄々洩れなんだって…」



「魔王じゃなくて目の前の神様に殺される…しくしく」


「それで…?今のままでは何?」



「…今のままでは確実に準備不足です。討伐開始数分でゲームオーバーです。」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る