ファストコンタクト


 「レイは最近ギルドで見なくなったけど、どうしたの」

 「そこまで知っているんですね。俺はあの一件以降、討伐系の依頼を受けるのが怖くなって、特に悩むことも無く採取や護衛を気が向いた時たまにやる程度に減らしていたので」


 「まあ、そりゃ仕方ない。

  それより、君魔力総量が増えてるの気付いてない?」

 

 そりゃ勿論気付くわけがない。

 何かルドがいなくなった瞬間に変な違和感を感じたがその時に何かが起きたのかもしれない。


 「もう使用して本は消えてしまったのだけど、復活魔法を使ったら心臓にいる存在の意識を定住させるために人体の90%以上を必要とするって書いてあった。

  今、君の心臓からは前程の強い魔力を感じない、そして体全体に漲るほどの魔力を感じるよ。もしかしたらアシェリーに並ぶかも」

 「私がこんな奴に負ける訳が無いわ」

 「流石にそうか」


 

 アシェリーさんは魔力総量がトップクラスと言うか全冒険者の中なら1番多いと言われている程他とは比べ物にならないほどの魔力を持っている。

 聞いた話によると、メグのつけていた指輪には転移魔法の出口が設定されていた。物体に魔力を留めるのは相当な魔力が必要だがそれを軽々とやるあたり1番と言うのも頷ける。


 そんな魔力モンスターのアシェリーさんよりも強いのは現代最強の呼び声が高い、ゼロちゃんだ。

 冒険者で唯一回復の超級魔法を習得しているとの事で、まさかの自分も味方も身体能力向上の魔力から、味方なら魔力回復も出来てしまうと言うサポート性能に特化している、ゲームなら使ってて楽しいスペックをしてる。

 

 さらに最強と言われるのに相応しいとして、魔法を使い姿を消す事が出来る。気配までは消す事が出来ないが気配を感じる事が出来ない、又は察知が鈍い相手なら攻撃すらも当たらないとの事。

 どうやって使えるんだそんなのはと聞いたところもうその本はゼロちゃんが習得して消えてしまったそう。

 しかし、一切モンスターを倒す事は無いという。



 「皆さん凄い、Sランクはそのくらいの才能と努力が必要って事なんですね」

 「私はそうでも無いわ…メルトにランクは手伝ってもらったしSの中じゃ私は最弱よ」


 そうなのか、このレベルで最弱と言われてしまうのか、やはりAとSじゃ次元が違いすぎる。

 これだと俺も何か一芸を覚えないとSランクになるのは遠いな。


 「革命軍にはどのくらいの人がいるんですか」

 「そうだな人数は45人で、Aランク以上の人がレイを含めて8人だ。他は貧困層な人が多いから魔王討伐では無く周りの魔物の処理を俺達が魔王と戦っている時にやってもらう形にする。」


 しっかりと考えているし、俺も指揮官であればそうする。

強い兵は強い兵に弱い兵は数を揃え押し込む、35人じゃ少ないからここからまだ増やす算段があると良いのだが、


 「勿論ある。

  だがそれはまだ誰にも言えない当日に言うから安心してくれていい」

  

 そうなのか。

 まあずっと魔王を倒す為だけに冒険者をやってきてるメルトが考える事だ。失敗したとしても考えはあるのだろうな。



 「着いたぞ、ここだ。

  この場所で生活をするかは自分で決めて良い。まあレイは金には余裕があるから俺の経営してる宿に住むか」

 「良いんですか」

 「全然。金さえ払ってくれればずっといてくれて構わない、それは後としてだな…それとこの看板の矢印の方向に進めばギルドに辿り着く覚えておいた方がいい。」

 

 結構街から外れた、教会の様な場所がメルトさん達、革命軍の集合場所であり、第多数の生活場所でもある。

 広さは教会だから十分あるが、個室ではなく、多目的室見たいな所に病院みたいにベッドが何十個も並べられている。

 金のない人からするとタダで住まわせてくれたり、飯まで提供してくれるのは何と言ってもありがたいことなんだろう。前まで極貧生活だった時にそんなこと言われたら神様だと思う。


 「よし!ここにいる者全員大聖堂に集合してくれ」


 メルトさんの一言にぞろぞろと人が流れていく、教会の席に前から順に座っていき、今日は約25人が集会に集まった。何が起きたのかと騒然としているがしんみりとした雰囲気では無く、またかみたいな反応だ。メルトさんが中央祭壇に立ち話し始める。


 「革命軍のみんな集まってくれてありがとう 大将のメルトだ。今、3組のチームが依頼を受けているから全員が揃っていないと言う事で今日の集会も新しく入る人を迎え入れようと思う。レイ、来てくれ」


 メルトさんが俺の名前を呼び、俺が中央祭壇にしどろもどろに歩くと大勢の人の視線が俺に集中する。今回は自然と怖く無い。俺も強くなったんだな。


 「新しく革命軍に入るレイだ自己紹介よろしく」

 

 俺の出番になった。

 取り敢えずここは丁寧に話す、失敗のない様にこいつは真面目な人だと思わせる為にここは普通の自己紹介といこう。


 「ご紹介に預かりました。レイです

  私は仲間を失いメルトさんに拾われてここに来ました

  仲間の為、そしてこの世界の未来の為、自分を助けてくれたメルトさんの為にこのレイの命をかけ戦いたいと思います。」


パチパチパチパチ

 拍手をされる。

 


 「これにてレイは我々革命軍の一員として迎え入れる。

  そんじゃあ……お前なあ自己紹介硬すぎんだよ笑いそうになったじゃねえかよ、ここは面接じゃないからもっと気楽にやろうぜ。」

 「そうですね、初めてで緊張してしまったので」

 「ははっお前面白いな!よろしく俺ガルファー前衛でみんなを守るタンクって奴をやってるBランクの冒険者だ。

  自己紹介はこうやってやるんだよ。もっかいみんなに自己紹介してくれよ」


 大聖堂の最前席に座ってる1人の男が走って俺のいるとこに走ってくる。

 何かと思えばノリのいいお調子者だった。硬い事が苦手だったらしく苦手なタイプらしいのだが俺は硬いのがたどたどしくて逆に面白いって言われた。1人話せる相手が増えてよかった。自己紹介は失敗じゃなかった。

 それを見て笑いながらメルトさんはその場を後にする。


 「ガルファーさんありがとうございます。」

 「ガルファーでいいよ。俺達は仲間だからな距離を作らないで欲しい。他の人もそうだ。」

 「分かった、ガルファー

  俺はレイという名前で冒険者をやっている。Aランクの冒険者…魔術は上級まで一応使えるが、まだ未熟な所もあるからあまり期待はしないでくれ」


 「おい…あいつAランクだってよ」

 「本当、なんか怪しかったよね、最初キョドってたのに急にね」


 なんかAランクって言うのはあんまりいい事では無さそうだった。ここにいる人はCランク以下が大半を占め援助を求める人が多い。Aランクという異端が入ってくる事に違和感を感じるのも無理はない。


 「本当に俺は裏切り者なんかじゃ無い、勝手にそう思っていればいい。俺はそんな奴と関わる為にここに来たわけでは無いから…」

 「おいおい、みんな…仲良くやって行こうぜ、そうやって何人もの仲間を減らしてるんだよ、強い奴が来たらスパイとか弱い奴なら無能呼ばわりで、それでもメルトさんに拾われた奴らかよ!お前ら恩を何だと思ってる……」

 「ガルファーもこいつの肩持つとか同罪だからね」

 「ぐ…お前ら」


 「もういいよ、ガルファーちょっと2人で話がしたい。」

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