革命 『始まり
ルドとの別れから少し経って、チームも解散となって、まだ俺は一人になっている。
いまや俺もいっぱしのAランク冒険者。
しかし最近はショックのあまり、依頼の数をかなり減らしたり、受けても簡単なのばっか、ルドの援護も失い、本当にAランクの実力があるかは微妙ですけども。
あの時の厨二病の構えをしていた頃が懐かしく感じるぜ。
師匠は前会った時に、何かやるって言ったしそろそろ俺も動かんとな。
金はAランクになったおかげもあってかそこまで困ってないし、昔からの節約癖があるせいか、そこまで浪費をしていない。
大きな買い物で行ったら、魔石の入った杖くらいか。
剣がメインの俺が、二刀流で片方が杖になると動きに悪影響が出ているから、結局使わなくなって、よく分からんやつに格安で売ってしまったが、今思えば持っておくべきだったかも知れない。
チームで行動をしていた時に思ったのだが、ゾーラ街がどの場所よりも最適だと言う事だ。
北の方に小さいが発展してる都市があると聞いたが、噂通りゾーラ街に負けず劣らずの街だが、魔族が大半を占めており危険らしい為に、人気もないとの事。
魔物が普通に暮らしていて、我々人族で、部外者は容赦無く排除していた。
まあ、それはルール違反をしたからであったのだが、ちょっとやりすぎなとこはある。
さらにあの都市は飯がここと比べ物にならない位上手い。
冒険者優待はあんまし聞かないが、俺には余裕がある。
魔術も水、風、土、火は上級まで使えるようになっている。
爆発、回復は中級で少し止まっている。俺には合っていないようだ。
しかし、雷も習得し5種類と言う稀有な存在になっている。
「それにしても肉ばっかだなあ
飯は節約して家も買いたいしな」
そう!今俺は定住出来る家を買いたいと思っている。
冒険者は家族が居なければ、基本的には特定の家を持たない事がほとんどで荷物は最低限に抑えたり、チームで一つの家を所有してシェアしたりしている。が、俺は自分だけの家が欲しい。
「家買うなら安くても金貨八十は必要って言ってたし、ランニングコストはほぼないと言っても同然だから、少しは奮発して百枚位のやつを買いたい。」
「久しぶり、探したよレイ」
「あ、お久しぶりです」
男の方を見ると、明らかに凄そうな人が三人いた。
1人は何か聞いた事のある特徴な気がするな、背の小さい俺くらいの年齢の茶髪で髪が長く、優しそうな顔をしていると言う何とも曖昧な事しか聞いていないが、聞いた話の本人であれば、その人は冒険者で1番優秀と言われている。
しかし冒険者の中で1番有名なパーティーに所属していたが、もう解散して冒険者を辞めたと言う話が流れているから偽物か?
「えと…横の2人は」
「こいつは…」
「自己紹介くらい自分で出来る」
「おお…ごめんごめん」
「私はアシェリーSランク冒険者よメルトと革命軍の副隊長を任されてるわ」
「私はゼロですっ!気軽にちゃんを付けて呼んでくれてもいいよ
回復術師で主に皆んなの手助けをしている優しい女の子だよっ!一応このチームの幹部って言うのやらせてもらってます」
「よ、よろしくお願いしますレイです。オールラウンダーのAランクです。どちらかと言えば近接が得意ですが最近は魔術の方に力を入れています」
これは余裕で嘘だ。
言ってしまえば、後列に下がるための口実。今の俺は動きが前とは考えられない程に悪くなっていると言うのはやってみなくても分かる。死にたくは無いからどちらかと言えば安全な後衛と言っておくのは定石。
「そうか、俺も自己紹介もまだだったなメルトだ。
革命軍の総指揮をしている。
単刀直入に合わせてもらう、レイ是非うちのチームに入ってくれないか?」
「それは出来ないです。
理由も分からないまま入るのは嫌ですし、メルトさんなら見ていたでしょう?もう俺はチームが怖いんですよ」
これは本音だ。
仲間だと思って信頼を築いて、新たな人生で幸せに楽しく生きていきたかったのにあんな事になって、そんな事になるくらいなら1人で生きていた方がマシだ。
仲間なんて口だけ、信じれない。
勇者になんて1人でもなれるしな。
「仲間が怖いか?
それは問題ない。前に君たちを襲った、魔王軍、魔王を倒し我々人類に平和をもたらそうと言う意思を持った人が私の軍に入っている。」
「いや、その中に裏切りがあるかもしれないの、分かりますよね?」
「ならそんな奴皆見せしめて殺せば良いんだろ?そうすれば裏切りは無くなる。」
急に顔の笑顔がなくなり、俺はゾッとする。メルトさんには謎の説得力がある。
恐ろしい事を言ってくれるじゃあ無いか。
それは確かに安全とは言える。殺されてまでこのチームにいようとは内通者なら考えにくい。
「ですが俺は今も十分平和だと思うのですが、これ以上何をするんです?
本の勇者を気取りたいだけなら協力は出来ません。」
「何言ってんの、お前!
メルトも私も仲間達もそんなお遊び半分で魔王を倒すなんて一度も思ってない!…」
「おいおい、そこまで言うのはよせよアシェリー、レイにも悪気は無いんだ。ちょっとまだ仲間ってのをちゃんと理解してないだけだから」
「そうそう私も全っ然怒ってないけど、今の発言は気をつけた方がいいよ」
やばい、ちびりそう。
3人の圧、何よりもゼロちゃんのゆるふわ系からの温度差が何よりも怖かった。それでも俺は引くに引けない、ここで引いたらまた流される。自分が納得して結論を出さないと後悔するぞ。
「すいません。失礼を承知で聞きます。
今のどこが平和で無いと考えていますか?」
この質問にしっかり答えられるか否かで俺は判断しようと思う。
魔王を倒す明確な目標があるならそれをこれから下に入る事となる俺に伝えられないのはおかしいからな。
「…それは、あれだ!
飯!肉ばっかだろ?あれは農業やってる人が魔王に野菜やら農業しないと取れない食材を欲しがるから渡してるんだ。」
「それだけですか」
そんな事があったのか、だから前の世界では肉と言えば、たまに食卓から出る子供から大人まで幅広く愛されている食品だが逆にこの世界では野菜とかパンが、お金がかかると言うのはこんな事だったのか。
しかし、それだけなら、正直どうでも良い。
「他にもあるんですよね」
俺は「これだけ?」と言わんばかりに歳上であり格上でもあるメルトさんに挑発する。
それにはアシェリーさんはまた怒りそうになるがそれを未然にゼロちゃんとメルトさんが防ぐ。
「お前も分かるだろ小さな都市で理不尽な人間の殺人が起きてるって」
「ええ、でもそれは人間が魔族に挑発したからとか来ましたが。」
「いや、実際魔族はどこにでもいるし気に食わなかったらすぐに殺す。しかも人間の国王は権力を持たない。そのせいで魔族が人間の殺人を許されるんだ。
そんな恨みを持ってる奴、支配によって収入が得られなくなって生きていけない奴、そんな人達を俺が救うかわりに一緒に戦ってくれないかと頼んでいる。
君も今ここにいるのは私が魔法を使ったからなんだ」
「それはどう言う事ですか」
俺はその言葉に強く反応をする。
「細かい話は長くなるから後としてそんな力を俺は持ってる。実際に君は生きているんだから信じてくれてもいいだろ?」
「そうですね。それはありがとうございます!」
まさか、俺をこの世界に召喚してくれたのはメルトさんだった。
何かの強い引力でこの世界に来たのではなくて、召喚復活魔法?と言う僕が考えた最強魔法見たいなので俺はこの世界に、ルドの体に転生したのか。
「君は俺に恩がある。それに魔王には君も恨みを持っているだろう、力を貸してくれ」
「そうですね分かりました。よろしくお願いします。」
「ありがとう!Aランクの君がいると助かるよ」
まあ仕方ないな。
ルドがどこかで必ず俺を見ているだろうし、ここで断って1人で冒険者やってるのを見られたら何で言われるだろうか。約束したから、頑張るって、努力するって、なら決めたんだやり切るしか無い。
「俺は決めたら絶対に諦めないんで、そう大切な奴と誓ったんで!だから絶対に争いの無い世界を作りましょう!」
「勿論だよろしく、レイ」
メルトさんの言葉には不思議と俺を呼び起こす力を感じる。どうしてだろうか、もしかしたら俺がなりたかった人はこの人なのかもしれない。
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