時間
「レイ、こんな時に話すのも申し訳無いんだけど、僕がもうここに入れるのは…」
「え……」
「ごめん、分かってる、けど今はちょっと話す余裕がある。ちょっと昔話をしてお別れをしようよ」
「何でルドまで…俺、ルドにもいなくなられたらどうすれば良いんだよ、1人じゃまだ前にも進めないダメな人間なのに今1人になったら俺は…もう…」
「大丈夫だよもうレイは十分1人でやっていける強い人間だよ、前までの僕では到底見る事の出来なかった景色、沢山見させてもらってこんな姿だったけどレイに出会えて幸せだったよ。
元々は僕の方がダメ人間だった、最弱の冒険者って言われてもいつもギルドにいたら馬鹿にされて、その時は決まってサラが庇ってくれて、自分は何もしない。
依頼でもそうだった。4人のチームだったけど僕は採集ばかりやって戦闘もろくにしないで楽をしていた。初めてまともに戦闘に加勢した時すぐに倒れて、すぐに採集係に戻って思ったんだ。
「僕は冒険者に向いてないんだって」
憧れてた冒険者には僕にはならないんだって、悔しかった。だから頑張ったんだ、皆んなが休んでる時も僕はひたすらに剣を振って皆んなを守れる勇者になりたいって願って剣を振り続けてたけど、僕は役に立てなかった。
みんなもやられちゃって戦うしか無いって時に剣を握ったんだ。それでも僕もすぐにやられちゃって次は意識不明にまでなった。
そこで君が入ってきたんだ」
そんな事があったなんて知らなかった。
ルドは元々本当に最弱で1人では何も出来ない、ダメ人間まるで前世の俺じゃないか、全部人任せで自分はやろうとするだけで結局前に進めない。
いや、違うじゃ無いか、ルドは何も無いなりに少しでも成長をしようと無力だったけど頑張っていたじゃ無いか
前世の俺と同じにするのはあまりにも失礼だ。
「俺もなここに来る前はルドよりずっとダメな人間だった。
若い頃は自分は周りよりも優れていた、自分でもそう思って疑いもしなかった。けど、新しい環境になった途端、周りとの才能があまりにも違って、そこで俺の頑張る努力って言うのが無くなってしまったんだ。
そこからはずっとダメだった、こいつよりは優秀、こいつは俺よりも馬鹿だって見下して結局は馬鹿だ、才能が無いとか見下してた人がルドみたいに一生懸命努力して俺を一瞬で追い抜かしてしまったんだ。
それでも俺は…
「あんな奴でも出来るんだから俺なら余裕だろ」って自分は何もしてないのに、もうその時の俺は何者でも無いただの痛い人間だった……そんな人生を逃れようとして死んでった。そんな奴だよ
そんな馬鹿な奴よりルドの方が強い人間だよ。
結局俺は他人がいないと何も出来ない奴だから」
「じゃあ僕がいなくなった君はどう努力するんだろうね」
「え?」
俺はその言葉に心底驚いた。
こんなダメ人間な俺にまだルドは期待してくれていたんだって事に俺は嬉しくなって涙が出そうになるが、強くなるんだこんな所で泣いてなんかいられない。
「だって2人とも同じじゃん誰かいないと何も出来ないのは、だから僕達はこんな事になったんだと思う。
君はこの経験を通してどの様に生まれ変わるのかそれが気になって僕の体に入って来たんだよ。」
「そんな事が本当にあり得るのか」
「実際に今その状況にいるじゃ無いか、僕は勇者になるという望み、君はもう一度人生をやり直して努力をすると言う望みが互いのお陰で叶ったんだよ。
後の人生はレイが決める事、僕は仲間を助ける勇者になりたかった。カッコよかったと思う。嬉しかった。
だからね僕の体に来てくれて本当にありがとう。
必ず君の努力をずっと見ているから。」
その言葉を最後にルドの声を聞く事は無くなってしまった。
どこかで俺の事を必ずルドが見ている。
諦める事は許されない!
それが俺に出来る唯一の事だから!!!
人生に嫌気がさしたので転生してみました。
レイルド編完。
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