悲劇
「…もう分かったからまたずっと近くにいるから、私たちを助けて」
メグさんの助けての言葉には一段と反応をする様だ。
召使いとかなのかな。
「分かったけど敵なんてどこにも味方しかいない気が……お前らか」
そう言って、テソーラとユフスの方を指差す。
3人はそれぞれ緊張な面持ち、テソーラとユフスは目の前の男の存在感に圧倒されていて動けていない様子で実力差は明らかだ。さっきメグさんと迷宮の中なのに楽しそうに話しているところも余裕の現れなのか。
「転移魔法…」
男は転移魔法でここに瞬間移動したとしか考えられないのだが、その魔法を使うのにそうとな魔力を使っているはずだ、いくら強くても転移魔法を使った後の戦い、大丈夫なのかな。
そんな俺の心配を気にさせないほどに男は話す。
「君もこの人もメグを守ってくれたんだよね」
「え、はい」
「そうか…よく頑張って耐えてくれた。2人の気持ちは俺が引き継ぐ、こいつらを殺せば良い?それとも捕縛?」
この人には後始末までを考える余裕もあった。たったその一言でテソーラが一気に襲いかかってくる。
やばい、全く構えもしていない無防備だ、いくら余裕があると言っても今のテソーラを止めるのは簡単じゃない。
「ミスフィクア!」
「!!!」
俺は強引に魔法を使ってしまった。急に使ったせいでルドに強烈な刺激を受けてしまった。
その必要は無かった。攻めて来るのを分かっていたかの様に、軽々と受け止める。
「おい…もしかしてお前メルトか?大将がこんな所に来てくれてラッキーだぜここでお前を殺せば全てが終わるからなあ!!」
「???誰だお前俺はお前に名前を教えた事なんて無かったはずだが、後1つ言っておく、俺がお前達に負けるなんて万に一つも無えよ」
「何!?ぐおおお!」
テソーラが怒りで超特急で近づくが触れる事が出来ずに俺含めここにいる全ての人が何をされたか分からないまま凄い勢いで吹っ飛ばされ、ユフスの元に逆戻りする。
「1人で戦うのはやめてあいつは革命軍総大将のメルトなんだから…1人で勝てる相手じゃないわ落ち着いて」
「すまなかった、次は失敗しねえ」
「革命軍総大将を知っていると、、お前ら魔王軍の奴らか、それなら悪いな後ろにいる君!この2人は今ここで殺させてもらう」
「やっぱ本物だあ、じゃあやっぱここで死んでもらおう
召喚魔法、
大将さんよ魔王様の力を持ったこの俺に勝てるならやってみろよ!!」
何?あいつ召喚魔法を使えたのか、でも魔王の力と言っていたから隠していたのかバレるのを恐れて。
俺もまだ少しは動ける加勢しないと───
「レイ、それ以上…動か……いで、そんな事した…もう僕がいなくなってしまう───」
(ご、ごめんあの人がやられたらもう勝ち目が無いと思って、)
忘れていた。さっきヨミルさんに剣に炎を纏い攻撃をした時も、全ての魔術を放った衝撃も全てルドが背負ってくれていたんだ。
自分は何ともないからって無闇に使い過ぎてしまった。それのせいでルドの寿命を縮めてしまっているのにも関わらず、、自分の楽しさと快楽の為に人を大切な人を傷つけていた。
「本当に僕がいる間は魔術は使わないで話をしたい。
この戦い……全てが終わった後に」
(ごめん、本当にごめん)
「いいんだよ僕はレイ、君が来る前に一度死んでいるから、今はこの内乱の行く末を大人しく見守ろう。」
「魔剣か大した能力も無いのに武器に頼るのは逆効果だそんな知識ではこの俺に攻撃が届く訳が無いな」
「へっ余裕あんのは今のうちだ!この一振りを防がねえと後ろの2人がどうなるか分かんだろ?」
「勿論知ってる、だから攻撃を消せば良いだけの話だ」
消す?そんな事が本当に可能なのか、そんなの魔術の本で見た事無いぞ、超級魔術はそんなチートみたいな技ばかりなのか、はったりか?
テソーラが溜めて振り下ろした剣から衝撃波みたいなのが今まで見た魔剣の衝撃波とは比べ物にならない密度と有効射程だ。
しかしその攻撃を男は宣言通りに消失させた。
さっきまであった圧までもを一瞬で消し去ってしまった。
「一度なら防げてもそう何度も上手くいくと思うなよ!
行くぞユフス絶対に奴を殺すまでは引かねえぞ」
「分かってるわ、逃げたら私達に帰る場所なんてないもの」
2人からより一層の魔力を感じるさっきよりも数段もだがそれよりも男のオーラがそれを掻き消す程、周りとは一線を画していた。
「悪いな、俺は「対魔」には強いんだお前ら程度の魔力総量じゃ何度やっても同じ事だ。遊んでやってもいいが時間が惜しい、「
その瞬間何が起きたかは全く分からなかったが、テソーラとユフスの2人から魔力が消える。
刹那、2人の首を刎ねる。
「ふぅ…危なかった。
大丈夫かメグと、君」
「あ、大丈夫です」
メグも首を縦に振る。元気になって何よりだった。
帰ろう。依頼を攻略する余裕も気力も無く、3人でとぼとぼと歩いて地上に向かう。
空が見え、地上に着いて、ようやく1人が口を開いた。
「君、名前は何て言うんだ?」
「レイと言います。」
「レイ、もしかしてレイルド君?」
何で知ってるんだ、この名前を知っている人を見るのはいつぶりだろう、俺は咄嗟に否定をするが余計怪しくなっていた。
「その反応、分かりやすい。レイって呼んで欲しいみたいだね。ならそう呼ぶよ、俺はメルトまた近いうちに会う事になるからその時はよろしく……あ、あとこれ魔石の依頼だろ?2人の女の方が持ってた今は魔力を感じないと思うが一日もすりゃ魔石として使える。そん時にギルドに渡すと良い。それじゃ」
俺はお礼も出来ずその場を去ってしまった。
ギルドにて、俺とメグの2人になってしまった。
空気感が悪い、他の人にも「仲間が死んじゃって可哀想に」と同情の目で見られているが、そんなんじゃない。
それよりもっと辛いものだったよ。
「これからなんだけど、2人で続ける?それとも解散にする?」
「わ、私はどっちでも構いません…」
それが一番困る。2人しかいないのに任せると言われたら俺が決める事になるじゃないか、そんなの俺に出来るわけが無いよ。
「解散しようか……メグさんは一度冒険者から距離を置いた方が良いと思うよ。」
「そうします。これで本当に解散なんですね。いつかは分かれが来るって分かっていてもやっぱり悲しいです。
私がこんなに臆病じゃ無ければ皆まだ生きていたのに」
「その話、もうやめてください…メグさんのせいじゃないですからこれ以上は話さないでください」
「な、な、何でですか、悲しくないんですか」
「悲しいに決まってるじゃないですか!
思い出させないでくださいよ俺はサラを…悪いなもう俺とメグさんはチームじゃないんだ当たってしまって申し訳なかった。」
俺は下を向いたままギルドを出た。
今日は良いところの宿に泊まり、悲しみを忘れようとする。ベットに横になり一息つこうとする暇もなく俺にさらなる悲劇が訪れる。
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