あらたなてきがあらわれた!


 「と言う事で皆大丈夫だな、標的は最深部と判断するとして、後は最深部に直行、道中の階層を気にしないそれで大丈夫だな」

 「問題ねえ、深い方が強えーのがいんだろ楽しそうじゃん」


 テソーラさんの最深部でドラゴンに出会った時の反応が少し見てみたくなった。

 ここまで強気でいられるのだろうか。気になる。



 「と言うか本当全然いない、魔物が」

 「やっぱりそうだよな、最深部に固まってるとかだと少し嫌なんだが…」

 「だ、大丈夫よ皆んな強いから」


 サラが不気味なこと言ってる。深くなるにつれておかしくなってしまいそうなのは分かるがそのタイミングでの発言は死亡フラグにしか聞こえないし怖い。


 




 「最深部、、敵は、いないな良かった。

  ここに拠点みたいに印を作って後は魔石を探すぞ」

 「なあ、もうこれ以上は下に行かねえしグループに分かれて行動しね?」

 「どうしてそんな危険な事をするんだ、皆んなで行った方が安全だし、バラけるのは見つけて追う時だけで良いだろ?」

 「まーいいや準備して行くぞ、早くしろメグお前だけここに残るか」

 「……!」

 

 メグの怯え、敵対視した表情にリーダーは過敏に反応した。


 「おい!お前、人のペースの邪魔をするなこれはリーダーである俺の命令だ」

 「へっ腰抜けリーダーが迷宮で殺されちまうぞそんな甘ちゃんだとよ、これは冷酷じゃねえ救いだ。

  足手纏いはここにいた方がいい、分かるだろリーダーさんよ」

 「……」


 それはそうだ、逆に言えばメグは良くここまで来たと言っても良い、それでもここで一人にするのも危険。かと言って連れて行って恐怖で動けなくなる方もまた危険。


 「メグ、どうするかは自分で決めて良い」

 「…ごめんなさい」

 「大丈夫だ。メグはテソーラ達が強引にチームに誘ったんだからこっちこそこう言うのが苦手って分かってて連れて来たのはすまなかった、、メグはいざとなった時には必ず力になってくれたから。

  もし良かったら俺と二人でゆっくり探すとするか?別行動で階段付近を」

 「頑張ります!」


 少し想定した事はやはり上手く行かない、苦労、困難があってこそ冒険ってやつなのかもしれない。

 結局、リーダーとメグさん二人でここ周辺、その他で奥側を探すと言う方針に決まった。


 「もし、やばくなったら大声で叫んでくれ、可能な限り助けに向かう」

 「大丈夫よ、私達で何とかする。あんたはメグの様子を見ておいて」






 


 二手に分かれ1時間が経ったと思われるが、一向に魔石は見つからない。

 魔物も2体しか出会えていない。流石に4人もいたら普通に勝てるし今回は回復を使うユフスの援護も大きかった。前のテソーラの無鉄砲な動きにも正当性を感じる程に息の合った動きだった。

 対して俺はそこまで目立って活躍をしていない。索敵自体もルドのおかげで良かったので、スリープ中の今はシンプルな1人の平凡なAランク冒険者だ。


 「かなり離れたわね、声も聞こえないかしら」

 「分かんねえな円みたいに進んでる可能性もある、おっと敵だぜユフス!いつも通りだ」

 「本当、私がいないと何も出来ないね」

 「私も援護するよ」


 完全に俺は蚊帳の外だった。近接のテソーラは魔物1体に対して互角そしてユフスの回復にサラの援護射撃俺の入る隙が見えない。

 でも俺も何もしない訳にはいかない!テソーラさんは最深部に来て頑張り過ぎだ。少しは交代して休んで貰わないと…

 

 「テソーラさん、俺が相手しますその間くらい休んでください」

 「はあ?俺が休むだと、お前程体力ザコじゃねえよ」

 「テソーラ!今はレイの指示を聞いて、あんたの力はこの後も必ず必要になるから大人しくしといて」

 「…それもそうだな、頼むぞレイ任せた」


 テソーラさんは戦闘に対しては他の人の話を聞かないタイプだと思ったのだが、案外あっさり言う事を聞いた。ユフスさんとの主従関係でもあったりするのか。



 (頼むルド起きてくれ戦闘中だ。起こして悪いな)

 「それ本当に悪いと思ってる?まあ僕も怒ってないから大丈夫だけど、ところで悪いんだけど今は援護できそうにない状態なんだ。援護が必要なのは今じゃないと思うんだ、だからここは1人で頑張って!」

 

 「くそっ、俺1人で強敵と戦うなんていつぶりだよ、しかもこいつ硬え」


 どうする考えろ近接はガードされると攻撃は通らなそうだ。奥から削り切る、それはダメだ魔力を消費しすぎる、ここのみんなは魔力はたいして多くない。 使うのはあまりにも勿体無い。


 「やるしかない!

  ユフスさん、回復は要らないです、魔術は出来れば攻撃魔法をしてもらえますか」

 「初級しか使えないけど大丈夫?」


 俺はその言葉にコクリと頷く。

 合図と同時に2人は火の魔術を使う。


 「「ファイアボール」」


 女性の綺麗な声が二つ重なって聞こえる。実に素晴らしい、、って何してる、せっかく防御が薄くなったと言うのにこんな事、

 俺は一撃で仕留める為心臓を剣で貫く。狙い通りに一撃で刺す事が出来た。俺の魔力はこの戦闘では使っていないのも大きい。


 「ナイス!そしたらそのまま前に進もう!」


 サラが指を刺してみんなを動かそうとするが、テソーラさんとユフスさんは動こうとしない。






 「え?どうしたの……!!」


 (レイ後ろ!!!)


 「サラ、ごめんなお前をこんな目に合わせるつもりはなかったのだが仕方ないこれは決定事項なんだここで眠っていてくれ永遠に」

 「レイもごめんね、短い間だったけど入ってきて正直鬱陶しかったけど、迷宮に連れて来てくれてありがとう。お陰で任務が達成されそうだよ──────────。」


 は?え?

 どうなったんだ目の前が見えなくなった。

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