決着


 俺とテソーラさんで何とか強敵を倒したが、かなりの時間をかけてしまい、どっちに行ったかも分からない程に離れてしまった。


 「どうするよ、いなくなっちまった」

 「しょうがないです。とにかく皆の行った方向に進んでいきましょう」

 「そーするしか無いしな、行くぞ」


 そうして、俺とテソーラさんは先を進む。リーダーの作戦の弱点はこれだ。討伐に時間をかけると結局分かれてしまう、迷宮の入り組み具合を甘く見ていた。

 おかしい、全く気配すらない。さらに敵を倒した痕跡すらも無い。

 全く出会わなかったのか、それとも全員やられてしまったのか。不安もあるがそれなら誰か逃げるはず、もしやそれすらもできない強い魔物だったのか?

 

 「……見つからないね気配が感じられないよ、血も無いからやられてる事はないと思うけど」

 (ああ、最深部はそんなすぐには着かないとは思うのだが、魔物と全く出会わないとなると分からない、イレギュラーな魔物に遭遇しているかもしれない。)


 「なあ迷宮にしちゃモンスター少な過ぎね?」

 「そうですね…何かがおかしい気もします」


 神経質になり過ぎているかもしれない。用心に越した事はないし、いない事はいい事じゃないか

 テソーラさんといるといつもの調子が狂ってしまう。


 「俺たちだけでもっと下に行くのはどうだ?

  あいつらも下にいるかもだろ?」

 「いや、指示ではこれ以上は行かないと言っていたはずです、、、しかし、ここにい続けるのも正しいか分からなくなってきてますし。取り敢えずここから印をつけて下に進みましょう」

 「それは良い案だぜ!よし、俺がここにデッカく傷を…」

 「それは大丈夫です」


 俺はそう言って、土魔術で目印として階段の上に旗みたいなのを刺しておいた。

 

 「っておい!これ、この水の足跡見てーなのあいつらの目印じゃねえか?」

 

 テソーラがそう言って俺は地面を確認する。

 間違いない、これは四人の目印だ。どうして最初に言ってくれなかったんだ?途中で気付いたとかなのか、それとも俺たちが気付かなかったのか。


 「これについていきましょう、目印が消えて分からなくなる前に急いで行きましょう」

 「分かってる!お前こそもっと早く走れ」


 くそ、悔しいが俺は走るのが苦手なんだ。

 ずっと走る特訓もしているはずなんだが、ある程度からパタリと足が止まってしまう。短、中距離なら問題ないのだが、足元の悪い地面の長距離は遅い。さらにテソーラは運動神経が抜群だ、ここを苦もなく走っている。

 

 「すいません先行っててもらえるでしょうか」

 

 俺はここでまさかの諦めるを選択。


 「何言ってんだバカ!お前がいなくなったら誰が怒られると思ってんだ、休みたいなら言えよな」


 自分でもバカだなと思う。何で言っておいてこんなとこで足を止める必要がある、ここで先に行かせたら俺は一人になってしまうじゃないか。

 死にたいのか、やっぱり俺はあそこで死んどくべき存在だったのか、転生するべきは俺を刺したあいつだったのか、いや俺はあの世界の中で選ばれた人間であいつとは違う世界を生きている、気にするな。

 助けてくれる仲間もいるじゃないのか?それを俺はありがたく受け取っておけ、また仲間を減らしたいのか。な訳がないだろう!!


 「大丈夫です走ります」

 「へっ魔術頼りのくせに、根性だけは認めてやる」

 「本職は剣士、前衛ですよ」

 


 俺は今にも足を止めたくなるのをグッと堪え一歩また一歩と走る、これは回復でどうにかなるやつじゃない。


 「火が見えた恐らくここにいる」


 火?もしかして戦闘でもしているのか、そしたら俺は動けないしやばいぞ。

 迷宮も深くは来たが最深部にはまだもう少しある。少しは休みたいな。


 「おっ気付いてくれたのか」


 良かった。4人を見つける事が出来たみたいだ。しかも嬉しい事に休憩をしている。

 火はキャンプファイアーの火だった。


 「おい、お前話が違うじゃねえか、分かれたとこから少し下までしか行かねえって言ったはずだろ!どうして、、今、ここにいるんだ」

 

 下に行く事を嬉しそうにしていたテソーラさんでも流石に怒り気味だった。


 「悪かったわねテソーラ、私達もこんなに浅い場所に魔石を持った魔物が現れる何て思っても無かったから、そしたらここまで来て疲れたから休んでたの、回復したら上に戻る予定だったわ」

 「あーあー言い訳はも良いから、で、獲ったのか?魔石」


 テソーラさんがこんな話はどうでも良いどうなったんだと言わんばかりに食いつく。

 しかし、4人の表情は浮かばない。逃げられてしまったので間違いないだろう。


 「逃げられた。ごめんね標的も小さくて当てにくいしすばしっこいの、近接も二人がいないから攻撃が全く当たらなくて」

 「ふん、そりゃしゃあねえな俺がいなかったんだからな」


 テソーラさんは必要とされているとの旨を話されたら急に強く見せる。

 なんか面白い人だな、大変そうだ。


 「恐らく標的は最深部に行ったと言うので間違いないだろう。その為にもう一度策を練ろうと思う。」


 急襲で襲われる危険もありながら、俺たち6人は最深部に向かう為今一度作戦を練る事にした。

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