無鉄砲さは死に繋がる
「着いた、がこれが迷宮?」
「ちっちゃいなぁ、想像したのと全然違うな」
テソーラは少しテンションが下がっているが、迷宮である事に違いはない。しかし、俺が行った迷宮に比べれば入口が小さいし、他に入口の様なところもない。となるとトラップの罠の可能性もあるし、ここが閉鎖されるとやばそうだが、穴の様な入り口だからその危険性は少なそうだ。
「俺から入る、皆んな俺に続いて入ってくれ」
皆んなが迷宮の中に入り、中を火で照らすと入口の見た目とは違い普通に横に繋がってる迷宮だった。見た感じだとトラップも無さそうだった、第一関門ば突破と言っても良いだろう。
中に入ったらさっきまでの余裕そうな表情では無く、全員が真剣な面持ちだ。
「取り敢えずここで俺が考えた指示を伝える。
簡単だ、全員で行動いつもとは違って噛み合わないこともあるだろう。だが、レイ以外が初めてでかなり危険な依頼、、そして…全員で生き残るその為にはこれが最善策だと思う。良いか皆んな!」
「もちろんだ!てかお前それ考えんのに1週間使ったんだろ?」
「ヨミルも不安なんだね、その分考えてくれたんだよね?ありがとうリーダー!」
「うるせえな、集中だ集中!
そら行くぞー」
リーダーは少し恥ずかしそうにしている。全員行動は一般的にはまあオーソドックスな形、だがこのチームではそうはいかない、6人もいるとなると6人全員を活かし切るのは難しいし、上手く噛み合わないとそこから崩れていく恐れが大いにある。
それでも、全員行動を選択したのにはまだ他に考えがあるはず、俺はそう思い無駄な事は話さず進んでいく。
「全然現れないな魔物はさっきから雑魚モンスターばっかじゃん、いつもの洞窟と変わんねーよつまんない」
「テソーラ、良い事じゃない楽に稼げるんだから」
「けっ ユフスもビビってんじゃねーかよ前から張り切ってたくせに」
拍子抜けなのは俺もそうだ、結構下の方には進んでいるはずだが、まだ洞窟にも出て来るレベルのモンスターしか見ていなく等級の高く、強い魔物は出てきていない。さらにトラップも無かったみたいだ。
それなら、いつも見たいに分かれて探すのもありかも知れないが、その指示を一切出さない。
「見つけた!強い敵だよ、後ろ!!」
(了解!)
やっぱり知能を持ってやがる、潜伏して近接の苦手な魔術師から間違いなく狙っている。
くそ、指示してたら誰か間に合わねえ俺が行くしか…
俺は後ろを向き前に跳ぶ、サラに襲いかかってきた魔物を俺が剣で受ける。
(な…重い!)
相手は拳で俺は剣なのに押されている、相当な力だ。まずいこのままでは押し切られ、
「やっと来たな魔物!!」
テソーラが嬉しそうにこっちに向かって走って来る。得物は双剣、万能だが、こいつは戦闘スタイルが豪快だ。
近づくや、すぐに俺を攻撃する拳を両方の剣を使い切り落とす。二つも剣があるのに使い方が何とも特殊。
「よし、ここはテソーラとレイに託した!俺達はここをゆっくり進むから、倒したら来てくれ」
「了解しました」
「任せろ!!」
ここでリーダーの策、全員で行動しその場その場で戦う人を選定していく、敵が多かったりした時は全員で戦えるし、少ない時は適材適所で相手を選択出来る。
探す効率はかなり落ちるが安全性は上がる、これがチームってやつなんだな。
「サクッと終わらせるぞレイ
俺について来い」
そう言って、明らか無策の様に走っていく。
俺もそれについては行くが、相手の把握も怠らない。
(恐らく、筋骨隆々なオークで攻撃パターンは初めてで情報も知らないが普通のオークで考えて問題無いだろう
基礎スペックが跳ね上がってるからなるべく攻撃は受けない様、魔術もやむを得んな
大丈夫だな?ルド)
「問題ないよ、戦う準備は出来てる
さあ戦闘開始だ」
オークの激しい一撃がテソーラの片方の剣を粉々にする。
念の為一本は予備を持ってきていたおかげで、問題はないが、次壊れた時は大幅な全力ダウンだ。
「行くぞ!」
「待って下さい!」
俺はまた無鉄砲で行こうとする、テソーラさんの服を掴み呼び止める。
「何だよ」
「良いですか、考えて下さい。今ここは確実に2体1ですこれ以上も以下もありません、なら数的有利を使うに越した事は無いです。俺が前線で魔術も使って注意を引くのでとどめの一撃はよろしくお願いします」
重要で危険なのは俺が引き受けて、美味しいところはしっかり年功序列に則り、テソーラさんに譲る。
単純で完璧で手っ取り早い方法。
しかし、納得いってない様子だ。
「俺がやる、じゃなきゃつまんねえだろーがお前は俺に合わせろ戦術はそれだけ」
くそ、言うことを聞いてからない。リーダーには結構話を聞くのに俺の話は聞かない、年齢か?年下だからなのか。
ならもう良い俺はこの人とは戦略とかは無理そうだ。各々が100%を出してぶつかり合うそうでなきゃ分かってもくれないだろうし、今回はそれで何とかなりそうな相手な気もする。
やってやるよ。
(俺らはやれる事をやる、テソーラさんは気にしないで指示を出してくれ)
「オーケー!でも自分を信じた方がいい反応も遅れるし、僕は重要なのだけを伝えるから、大方任せるよ」
「よっし、行くぜファイアボール」
正面はテソーラさんがいるから俺は横から援護をする。
言った通り俺は邪魔をする形で援護をするが、さっきの指示とは違い、俺もとどめの一撃もするつもり。それこそが二人の化学反応が起きて、何か起きるかもしれない。
「アクアジェット」
あ、やべ
連携が取れないから横に動いたテソーラさんが俺と魔物の間に入ってしまい、中級水魔術が味方のテソーラさんに当たり、敵目の前で隙ができてしまう。
「うお、」
何とか後ろ跳びでかろうじて躱す事に成功した。
「おい、協力はしなくていいが邪魔はするな、邪魔すんなら先に行ったろ」
「死にたいんですかあなたじゃ勝てないですよ俺が力を貸すって言ってるんです大人しく聞き入れて下さい」
俺は遂に静かにキレてしまった。我慢していたのに、てか俺は悪くねえよな?指示を聞かないでこっちに俺がいるのはさっきの攻撃で分かってたはずなのに気にせず射線を切るし、どう考えても悪いのあっちだよな?
しかし、テソーラは頷きもせずゆっくりと前に進んでいく俺の邪魔をするなと圧で伝えて来るかの様に、だが何かおかしい、さっきまでのテソーラのオーラが変わっている。
もしかして、まだ本気では無かったのか?
分からないでもここで1人置いてくと他の4人になんて言われるかなんて分かりきってる。怒られても良い助かるんだ。
(ルドすまんミスフィクアを詠唱で使う、良いか)
「詠唱なら大丈夫、だと思う」
確認をとり…
「汝の求める所に深淵の海よ、我の呼びかけに応え、水の力を解き放て。波立つとともに、願いを実現せん。ミスフィクア」
射線の邪魔にならない様にと地面からの攻撃の実現の為、詠唱をする。
テソーラが魔物につく寸前で俺の攻撃が魔物に当たる。
その隙に剣で一閃。 ダメージを置く事なく倒し切った。
てくてくとゆっくりテソーラがこっちに向かって来る。
「上級魔術、しかも地面から……やるなお前!」
「え?」
「いやー強がってたわ助かったぜ、俺も今ので頭が冷静になった。これからは意見は聞くとするぜ!すまんな俺の剣の実力がどこまで通用すんのか試して見たくなって、あいつ完全近接系だっただろ?」
はーっ
なんて自己中なやつだったんだよ
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