遂に始まる物語
当日、今回は誰一人として遅刻する者はいなかった。ワクワクする者、戦々恐々とするもの、静かに震えている者、激しく震えている者、最新集中している者全員が各々違う感情を持っている。
「よし、迷宮の依頼を取って来る。皆んな本当に大丈夫なんだな最終確認だ」
やはり不安なのかリーダーは最後の最後までリーダーとして皆んなに聞いている。やはり内心は行きたくないのだろう。まだ全員が20代前半、死ぬなら早すぎる。
俺だって死ぬならもっと冒険もして、沢山の人との出会いも別れも経験して、やり切ったってなってから死にたいよ。
「大丈夫だ!」とテソーラを始めサラ、ユフスも承諾する。メグは震えながらも首を縦に振る。覚悟を決めている様だった。成長している。
あとは俺だけだ。ちょっと間を置いて、よし!
「問題ありません、行けます!」
一歩前に出て、俺も他の人同様覚悟を決めた。もう後戻りは出来ない。クリアするしか無くなった。
「じゃあ依頼を取るぞ!」
リーダーがギルドに入って受付をしている間、他の人は迷宮について喋っている。
サラに「心配?」と何故か気に掛けられたが問題無い、俺はこんな所では死なないはず、何たって転生者だ。都合上こんなとこで終われる訳ないでしょ。
「一回行った事はあるけど何回行っても同じで怖いと思う、今もまだ行くのを止めると言ったら助かるって思ってるくらいだよ」
「その気持ちじゃ駄目ねあんたが一番頼りになるって皆んなも思ってるそんなんじゃ頼りにならないじゃない!ほら胸張って堂々としてないと他の人に見られる様な立場なんだから」
そうは言っても知らん人に見られるのがそんなに気になるのかな、別に俺がどのくらいの実力の持ち主なのかも知らないのに、「何だこいつ強いってのは嘘じゃねーか」とか言われてもね「君は僕の何を知っているんだい」と返したくなってしまいたくなる。
前のネットでのレスバって訳ではない、そんな事して煽っているとガチの喧嘩にも繋がりかねん。
俺は俺のままで行く。
「問題ないね、相手に舐められたら返り討ちにするのが気持ちいいんだから」
「ふふっやっぱレイ変わったよね昔なら「えっそうかな?」とか言って周りの目ばっか気にしてたのに今なんて「大丈夫だ、問題ない」ってね」
(おい、言われてるぞ情け無い)
「仕方ないよ、事実だから」
まあ、解釈一致だ。ルドが周りを気にするのなんて話し方から分かる。
「よし!それじゃ行くぞ、場所はここから外に出たとこすぐだ、依頼内容は魔石の採取で報酬は銀貨五枚初めてだと思うが討伐では無く、採取の依頼だサクッと終わせるぞ!」
「よっしゃあワクワクしてくるねえ」
テソーラは張り切っている様だ、ユフスもサラもニコニコして喋っている。
ちょっと待てよ、魔石の採取…前回と同じだ。サクッと終わる訳がない恐らくここに食料を持って来てる人は、、リーダーだけか、それだけじゃ間違いなく足りない。
「あの待ってください、今回の依頼…魔石の採取は日数が掛かる事が多いです。
俺が前行った時も同じ依頼内容で数日も見つからないほど探すのが大変な魔物です、食料を持ってないなら、今持って下さい。」
「…経験した事があるレイの意見だ。何でも良い持って来るんだ。俺とレイはここで待ってる」
そう言って各々持ってる金で買えるだけ食料を買う。
みんなの合わせてめっちゃ節約でもすれば1週間なら何とかなりそうなくらいには集まった。
しかし多いと問題がある。
「でも沢山あるのは良い事なんだけど誰が持つ?
重くて戦闘が逆に危ないと思うんだけど」
そう、ユフスが言う様に重量の問題だ。前はそんなの気にして無かった俺達は食料0で行ったからその問題は無かったのだが今回にたっては大問題となっている。
しかし、選択は一つしかない。
「私達、後衛が持とうよ、ユフス、メグ前衛の人が持つのは激しい動きが鈍くなっちゃうしね。メグ?大丈夫?持てる?」
「も、持てます、持ちます!」
「よっしゃあそれじゃいざ迷宮へレッツゴーだ!」
「相変わらずキモいよテソーラ楽しいのは分かるけど、遠足じゃない、心まで浮かれちゃ死ぬわよ」
「ああ勿論分かってる、死なねえ程度に遊んだるよ」
リーダーはやけに静かだった、まだ不安が拭い切れていないのか、それともまだ何か至らない点でもあったのか。
メグもいつも通りと言ったら申し訳ないけど、いつも通りだ。誰とも話してないが、前と違って下は向いていなかった
俺もそろそろ腹を括れ、やるって決めたんだろ?なら全力で足掻いて生き残ってやる。その為には多少の無理はするかもしれない、それでも諦めるのだけはするな。
我々は迷宮に到着した。
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