冒険者に次は無い
迷宮本番まであと一日になった。
リーダーも1週間策を練ってやっとどう動くかが大体決める事ができて勝算も見えて来た。それでもイレギュラーの魔物が出た時はもう気合いでやるしか無い。
「レイちょっといいか、手合わせして貰いたいんだが」
「俺は構いませんが大丈夫ですか明日が当日ですよ無駄な消耗を減らすんじゃ無いんですか?」
「いやこのままだと体が鈍って仕方ないんだ
アップ程度の感覚でいいから少しだけお願いだ」
「全然大丈夫です お願いします」
リーダーの家の庭に行く。入り口のドアと反対方向で見た事ない場所だったが前の世界ならどんくらい家賃が高いのかって考えてしまう。
「軽めでいいと言ったが俺は本気で行くぞ、お前なら余裕だろ?」
「い、いやそんな事は絶対ないですよリーダーも強いので気を抜いたら簡単にやられますよ」
正直何とかなるだろと思ってます。
ですか一応、ルドとは連携取らせていただきます。
(起きろルド、戦闘だ)
「オーケー援護するよ」
そんなこんなで練習が始まる。
リーダーの武器は大斧一振りの攻撃力と範囲が他とは段違いだ。その分前隙と後隙は多くなるが、そこは何年も使っているだけの事はある。流石と言った所だ。
問題なのは魔術がどの程度使えるのかだ、本気で来ると言ってるくらいだ出し惜しみをする様な人でもない。必ずどこかで使って来る。
試合は終始俺が優勢で進む。
「くそ…やっぱりやるなだかこれはどうだ」
うお、まじで俺を殺す気で来ている、まずい少し防戦になって来ているこのままだと押し切られる。
俺もちょいと本気出すしかないな。
「アイスヴェール」
俺の周りを囲う様に守りを固める。がこれは失敗だったリーダーの力を完全に見誤っていた。
まさかの一振りで俺の防御魔法を粉砕。
「落ち着いて上に飛ぶんだエアウィンドで上に行って風で上空を維持、」
(無理だそんなの)
「やってみな 出来ないって決まった訳じゃない頑張るんでしょ死ぬ気で」
(やってやるよ努力して来た事、全部!!)
俺はしゃがんで攻撃を避け火魔法で頭上の氷を溶かしてエアウィンドで上空に飛ぶ。
ここまでは良いが次は何するんだ風で止まるのは出来るがブーストは違う魔法でまだ俺には使いこなせないぞ、
「ミスフィクアだよ今広範囲で有効な技はそれしかないよ」
(駄目に決まってるそれ使ったら明日お前は大丈夫なのか今は本番じゃない)
ミスフィクアは強力な術だ水魔法ならトップクラスに等級の高い、だがここは人様の家の庭、人の庭を水浸しにするとかあり得ないぞ。
「ロックブラスト」
そこで俺は大人しく弱めの魔法をぶつける。
取り敢えずはこれで牽制をして、イーブンに持って行ってあとは自力で勝ちをもぎ取ってやる。
「甘いぜ、オラァ!」
俺のロックブラストは一振りでリーダーに届く前に粉々になってしまった。
まずい、牽制できてないぞ、相手を甘く見ていた様だ、軽くで勝てる相手ではやっぱり無かった。
リーダーは余裕を持って全身する。
俺はそこで負けを確信、焦ってしまったまだ俺は着地が出来てない事を、
「おいおい空に飛ぶなら着地までくらい考えてやれよな心配になるぜ」
「すいません、焦ってしまって」
俺にとどめを刺すのでは無く助けてくれた。当然なのだろうが助かった。間に合わないかも知れなかったのだ。
「手加減してくれたんだろう?さっきの土魔法を受けて分かったぞ!これは本気じゃないってな!」
そう言って余裕そうに高笑いをする。
忘れていたが、この人と俺は今同じAランク冒険者だ。実力もそう大差はない。迷宮を経験しているかだけだ。実際俺も1人でやってる時はほぼ安全な依頼しかやってこなかったし、実力と不相応な所もあるんだろうな。
「そこまで気付かれていたとは、惨敗ですね」
「ハハハ!それでもここまでの接戦!若いのに流石だな」
そりゃどーも。
フォローをしているつもりなのだろうが言うて3つしか違わない学校に入ってないかも知れないけど、その分俺は師匠に稽古してもらってる。
そう変わりはないはずだ。
「リーダーの本気って何だったんですか全く気付かなかったんですが」
「それは、この斧だ。
この斧には魔力が込められている、所謂魔剣ってやつ、斧だから魔斧か?俺は魔術を使わない代わりに全ての魔力はこの斧に込めている。攻撃範囲が少し伸びたり、そこに初級までなら属性魔術も出せるのだが、相手に察知されやすいからな、使わない様にしてるんだ」
「つまり召喚魔術が使えると言う事ですか?」
まさかの召喚魔術師だったのか?それならコツの一つくらい教えて欲しい。
師匠も召喚魔術を使えるのだが、特に練習とかする事なく使えていたみたいでそこは才能の差だった。もしかしたら努力家でよく考えるリーダーならノウハウが分かるのかもしれない。
「いや召喚術師では無いな、俺は火の中級だけしか使えないな。
この斧は優秀で魔剣を作れる鍛冶屋の人に作ってもらった特注品だ。一つしかない。これはチーム組んだからは愛用しててなずっと使っても欠けることも無い最高の武器なんだ!秘密だぜこれはレイにしか言ってない事だ。」
「そうだったんですね、勉強になりました。ありがとうございます、あと明日、頑張りましょう」
「勿論だ」
リーダーの強さがよく分かった一日だった。
さっき攻撃範囲を伸ばせると言ってた。
もしかしたら師匠との特訓の時あの木刀は師匠が生成した物で魔力が込められていた物だったのか?
そしたら最初の方避けたと思った攻撃が当たったのも納得がいく。シュナさんが言ってた、「こんな奴が師匠で大丈夫なの」って言ったのも少しは分かった気がする。
手紙の一年位ももしかしたら師匠が何もしなかったらだろう。それを含めても良い経験をした。
明日は久しぶりの迷宮だ、楽しみつつもシュナさんや師匠のような人がいる訳だもない。
俺は自分を鼓舞した。
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