一般人と冒険者
「そろそろ俺らもAの依頼を受けてもいい頃じゃ無いか?」
「いやまだ早いな、お前とメグはまだBランク、俺もサラもユフスもAに上がったばっかだし、ここにいる全員がレイにランクを上げさせてもらっただけだろう
もう少し実力をつけてからやるべきだとリーダーの俺が言っている!」
えー、チームを組んで約8ヶ月が経った今、初めてチーム内で喧嘩が勃発しています。
実況、解説のレイです。
みなさんお付き合いよろしくお願いします。
まず状況を8ヶ月前あたりから遡らせて貰いますが、6人揃って依頼をするのは大体週に1回、多い時は2回する時もあったが、基本は0か1が多かった。
俺が入ってから前よりは良いペースで昇級もできていたが、当初の安全そうな依頼をメインにしていたのでここまでの難しいのは危険だと判断するのも当然の事だ。
移動の依頼や薬草の採取から洞窟の食べれるモンスターの肉の徴収など幅広く依頼をこなしていた。
しかしそのせいでチーム内でランクにも若干の差も生まれている。俺は皆んなが休んでる時も1人で依頼をこなしているおかげで誰よりも速いペースでAランク冒険者になる事が出来、かなり生活にも余裕ができるようになった。
テソーラとメグは基本的にソロで依頼をする事は無く、ペースが遅い。
「他はどう思うんだ、俺らなら迷宮でも反対の街の護衛でも余裕だろ?なあレイ」
え、俺に質問するか?この中で一番一緒にいる期間が短いのにな、、、
俺なら迷宮にも前に一度師匠とシュナさんと行ったことがある。結構苦戦もしたしそん時は、シュナさんって言う圧倒的強者がいたからなんとかなったものの俺と師匠だけで行けるって思っていた頃もあったな。
まあ絶対無理だっただろう。今回迷宮に行くとなったら流石にヤバそう。俺は反対しておくか
「Aランク依頼はまだやめておきましょう。今無茶する必要はないんじゃないです?
俺の一回だけ迷宮に行った事があるんですけど、死にかけてるのでただではいかないと思います。」
「お前も慎重派かよ、戦闘は好戦的なのによ、ユフスは良いよな?」
「私はテソーラに賛成するわ
少し行ってみたい気もするし」
ユフスは行くつもりらしい。
元々洞窟とか迷宮とかに行きたいと言うなんとも冒険者らしい人だった。
そりゃ勇者とか冒険者達が向かうのは大体が迷宮の最深部とか洞窟の最奥部、魔王討伐!みたいなのがやっぱこの世界の創作物でもテンプレの様でユフスはそんな冒険者に憧れがあるらしい。
かく言う俺もその1人であったのだが、現状では到底迷宮を攻略出来るほどの力があるのかと言われたら首を横に振らざるを得ない。
「私もリーダーには悪いけど行ってみたい!私達がどのくらいAランクに通用するのかも試したい!」
「お、おい分かってんのか…もしやられたら帰って来れなくなるんだぞ?それでも良いのか?」
「分かってる
入ったら終わるまでは帰れない事なんて、でもレイは一回依頼で帰って来てるんだし、落ち着けばなんとかなるだろ」
「何とかなるって……お前そんな気持ちが落とし穴なんだよ、いつかは行くって言ってるじゃんかよ!それでもみんなはすぐに行きたいのか」
「いつか行くなら私は今じゃ無くても良いかな、経験してるレイが辞めた方が良いって言ってるし、でもいつかは絶対に行くからね」
サラはリーダーの熱弁に折れて納得してくれたみたいだ。俺もこの判断は賢明だと思う、やるならせめて反対都市の護衛をするのが安全な気がするが、反対勢力が来る可能性がある、それだと迷宮よりも危険になるから結論やめたほうがいい。
俺の勘もそう言ってる。
「……」
「……」
「………」
沈黙が続く、テソーラ達は譲る気が無さそう、リーダーも頑なに反対を貫いている。俺が話を切り出すか…
「レイは迷宮行けると思う?」
突然ルドから質問が来た。最近は反応も良かったから休憩してるのかも思ったら今日も元気に起きている。
(俺はさっき言った通り、厳しいと思う。
前衛の2人とサラの近接は前より格段に速くて強くなってるけど、やっぱ魔術が俺以外通用しないと思うんだよな、前の俺でもやったって感じだったし、メグさんの実力はまだ分からないけど、2人は正直無理だと思う。)
「だよね、前はシュナさんのおかげだったからね」
それはよく分かっている。
あん時はCに最速で上がってやっぱり調子に乗っていた。逆に今俺がランク一番上の立場になって見ると無謀としか思えない、100人が見て99人ないし100人が無謀だって考えるだろう。
「………仕方ない、、今回だけだぞ!これ以降は全員がAランクになってからだ。
依頼は1週間後それまで各々必ず休憩する事、レイもこの1週間は依頼を絶対に入れるな、うちに来い
メグは…問題無いな」
「大丈夫だと思います。」
メグさんも初めて会った時に比べれば随分大人になっている。暗所は克服したし怯えることは多いけど、自衛はする様になって、最近では周りの回復もやれる様になってる。
その動きを見る限り、メグさんはかなりの実力者な気がするんだよなあ。
「それじゃあ解散だ!」
俺はサラに「また来週」とだけ言ってリーダーの家に行くことになる。
ヨミル家にて、
「なあレイ、お前が前に迷宮行った時はどうだった?」
恐らくリーダーは俺に情報をもらい行動を練る為に1週間と言う長めの期間をとったのだろう。
俺もこんな所では死にたく無い、全力で協力させてもらう。
「迷宮の魔物はかなり強いです。
前に出会った爪が鋭いのいたじゃないですか、あれより数倍強くて複数体いたら連携も取ってきます。入ってすぐに強い魔物が出るので深さは関係ないと思いますね。
あと高確率でイレギュラーな魔物が出ます。」
「それはやはり、ドラゴンか」
「はい、俺が行った時は
最悪だとトラップが張り巡らされてる迷宮もあるみたいです。」
「魔術と近接はどっちの方が良いんだ?」
「それは
俺はこのままでは打つ手が少ないと言う事を隠さずに伝える。それはさっきの選択は間違いだったと言う答え合わせをするかの様に、、それでもリーダーの表情が悪くなることは無い、どうすればベストが尽くせるのか、、いやどうすれば攻略出来るのかを俺の経験を参考に考えている。
大雑把なとこはあるが本来は慎重な人だ。1週間あれば何か策の一つでも見つけてくるのだろう。
「分かった、ありがとうなレイは隣の部屋が空いてる、そこで寝てくれ」
「ありがとうございます。
1週間後が怖いですね」
「…そうだな」
家にいる時のリーダーはリーダーと言うよりはヨミルと言う1人の一般人みたいだった。
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