お金がもらえるなんてありがたき幸せ


 「す、すいません私のせいでこんな事させてしまって私がしっかりしていればあなたも」

 

 うーん、メグさんは年上のはずなんだが、いまいち反応がよろしくない丁寧な話し方で来られるのは逆に困る。俺はどうやって返せばいいんだろう。

 カッコつけてたら男女間の問題になってチームが解散の危機になるかもしれない!駄目だそれだけはしてはいけない。


 まあ、俺がモテる訳ないか。


 「全然大丈夫ですよ

  新参者なんで休憩をいただいただけです。俺も疲れていたので、気にしないでください」

 「………」


 なんなのだこの子は本当に冒険者をするべき人なのかと疑ってしまうほど人との対話が苦手みたいだ。

 チームってよりかは1人でやる方が、、いや洞窟でここまでだとチームじゃないとダメか。

 今一度聞いてみよう


 「どうして冒険者を始めようと思ったんです?」

 「大好きな人が冒険者だったからです」

 「その人はどんな人なんでしょうか」


 何してんだ俺!

 第三者が他の人の恋愛事情に入り込むなんて前の世界でなんか禁忌だろうが、話す話題が無いからって返答が来た事をいいことに勢いよく話してしまう。

 そしたら思いのほか普通に喋っている、嬉しそうだ。


 「その人はこんな私でも優しく接してくれて強くてみんなに慕われてて、少し怖いところもあるけどそんな所も全部カッコいい人…」


 はっとなったのだろうか急いで喋るのをやめた恥ずかしくなってしまったのだろう。

 自分の話になると話してくれるのか使えるかわからないけど一応覚えておこう。

 結構時間が経つ。そろそろなんらかのアクションが無いとなれば流石に動かないと行けないが……



 


 一方その頃


 「大丈夫だよな」

 「ええ2人は問題無いわ、動きは遅いけどやる事はやるし」

 「今回はイレギュラーがあるからな仕事が出来ると言ってもここまで出会わないと心配になってしまうな」


 2人はかなり探しているがこのルートだけやけに入り組んでいて迷っているのかもわからない。


 「おーい大丈夫か?どこにいるんだー反応してくれ!」


 この声には聞こえなかったのか静寂に包まれたまま時が少しずつ進んでいく。

 それから数分と進んでいると大きな音が聞こえて来た。

 

 「あっちだ!早く向かうぞ」

 「分かったよ」


 

 


 「そろそろ助けに来る、大丈夫か?しっかりするんだ」

 「問題ない、ちゃんとやってる」


 2人は全然生きていた。

 そして、、ターゲットのモンスターが複数体もいた。イレギュラーはいなかったが、


 「もう大丈夫だこれで4対4だいつも通りにやるぞ」

 「よっしゃ2人じゃ危なかったがこれなら余裕だぜ」

 「何?私じゃ頼らないって言うの?」


無視


 4人は戦闘態勢に入り、男2人はそれぞれ得物を持ち突進する。


 「うぉりゃあああ」


 リーダーの得物は大斧だ、かなり重そうな武器ではあるがそれを気にさせないほどの動きで翻弄する。

 テソーラはどちらかと言えば受けを取るタイプで攻撃を真正面から受けて、ユフスが回復で援護している。サラは今回も何もしていない。

 このチームでは最後の砦のような役割を任されているかの様に今か今かと様子を伺う。


 「よし!最後の一体、全員突撃だああ!」


 リーダーの合図で防御態勢のテソーラも回復しかしないユフスも立ち尽くしているサラも一斉に動き出す。

 モンスターのレベルは高く無い。

 あっさり最後の一体を倒すことが出来た。


 「すまんかったな、少し苦戦しちまった」

 「いや問題ない!メグ達を待たせてる心配させてるだろうからすぐに戻るぞ」

 「分かったわ戻りましょ」


 


現在俺視点


 (遅いなそろそろ行った方がいいか、それにちょいと気まずいメグさんはあのトーク以降は目立って話をしていないし)

 「駄目だよ絶対にここで待機、信じて待つんだ」


 前では喋るのなんてやってらんないと思って生きていたけどこんな状況でスマホもないとなると誰かと喋らないと流石に暇すぎる。

 お?影が見えて来た。


 「待たせたな!!何もなかった、みたいだな」

 「終わったんですか?イレギュラーは出なかったんですよね?」

 「ああ気配すら無かった、帰ろう。」


 良かった、最初が肝心だったみんな笑顔だ俺もなんとか受け入れてくれたようだ。


 




 「お疲れ様でした。

  依頼の報酬ですこちらをどうぞ」


 「ほれレイ、お前にやるよ」


 全ての金をリーダーが俺に渡してくれた。


 「良いんですか、分かるのではなくて…俺何も出来てないんですが」

 「気にすんなよっ!最初だけだチームメイトとしてこれくらい受け取ってくれよ」

 「私達は親のとこで暮らしてるから、稼いで来いとは言われるけど、あんたほど困ってないから大丈夫」

 「う、受け取ってください」

 「私は助かってるからね、何もしてないって言うんじゃないよ」

 「で、でも本当に良いんですか」


 みんなが良いと言ってくれてても流石に少しは分けないと申し訳無い気持ちでこの金が使いづらくなってしまう。それなら少しでも貰ってくれたほうが…


 「みんなが良いって言ってんだ、受け取らないほうが変だぞ?ほらテソーラが言ってる通りこの一回だけだ報酬も少ないし誰も気になんてしてないぞ!」


 「ありがとうござ…」


 「それじゃまた明日朝ここで集合なサラ、レイ遅刻すんなよー」


 俺に小袋を渡してすぐにみんなが俺から逃げるように分散して各自の家に帰って行く。やっぱり申し訳ないが、この金はしっかり使わせてもらおうと思う。


 

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