戦いは嫌いだが
「知ってる?ここ元々はEランクの依頼だったんだって
なんか依頼以外の強敵がいるとかなんとかで最近一つのチームがやられちゃって危険度が上がったらしい
標的自体はそこまで強く無いE相応なんだけど、大丈夫私達なら心配無いよ」
死亡フラグですか?そう思ってしまうくらいにはそんな言葉を発している。
あたりも洞窟で雰囲気すらも出ていてなんかゾッとしてくる、集中せねばならんな。前回の迷宮に比べれば何の難しさすら感じないもんだ。
それにしても俺の通る場所は全然モンスターが現れない。
「そろそろ来るよ気配を感じる」
「お?そうか お前索敵は凄いよな
本当に最弱冒険者だったのか?」
「そりゃもちろん弱かったよ、レイが僕の体に入ってからいろんなことが出来るようになってるんだ。索敵能力もその内の一つって事。」
そりゃ便利だ。
俺の届かない範囲でも、ルドが起きてくれている限りは他の冒険者よりも格段に視野が広くなるし動きもよりクリアになって難しい動きの再現性も上がるだろう。
こう言う時にこんな形の転生のありがたみをしみじみと感じている。
「ちなみにレイが言葉を発さなくても僕に伝える意思さえあったら言葉が届くようになってるよ。」
そ、そんな事まで出来るようになっているのか、AIロボットが内蔵されてるみたいだな。
と……と言うか、
(どうしてそれを教えてくれなかったんだ?)
俺はルドと会話をする為いちいち人のいない場所を探してそこで話すように心がけてた。その能力が前から備わっていたとしたら教えてくれても良かったのに、本当に分からん奴だ。
「それはレイが気づいてくれなかったんだもん
僕は言葉に反応してたよ あと…面白そうだったからかな」
「おいおい頼むから隠し事はよしてくれないかいざってなった時にいろんな手段が合った方が便利だし」
「それは……」
「何だ?問題でもあんのか?」
どうしてそこで「了解」と言えないんだ?
そしてまだ隠し事がありそうだし、普通に考えればこんな有利に働く事が分かっていてやらないと言うのはどう言う事なんだろうか。
もしかしたらルド側では何かあるのかもしれないな。
「まあ…無理はするなよ出来る範囲でやってくれたらいいからな」
「了解だよ」
「急にいなくなったと思ったらどうしたのよ壁なんかと喋っちゃって何か変だよ、大丈夫?体調悪いの?」
「問題ないよ」
はあ………ルドが言葉を発さなくても伝わるのを教えてくれないからこんなことが起こってしまったじゃ無いか。全く恥ずかしいよ。本当。
おっとそれよりルドが教えてくれた敵が見えた。そこまでのモンスターだ。
俺1人で何とかなりそうだが念の為、サラに伝えねば。
「それより敵が見えた前方30に2体そこまで強いモンスターでは無いけど初陣だから、気を引き締めて」
「了解!
援護は任せて自由にやって頼むよ」
無論俺は自由にやらせてもらう、暗闇でもし気づいてなかったら危ないから伝えたが、普通にやれば1人でも十分勝てる相手だ。
俺は鞘から剣をゆっくりと抜き、攻撃体制に入る。
魔力は多く無いから魔術はここでは温存しておきたい。もしかしたらさっき言ってた強いモンスターが出てくるかもしれない。
「行きますよ。背中は任せました、あと魔力の使いすぎだけは気をつけて」
「心配しないで私はレイなら余裕だと思ってるから何もするつもりもないよ」
俺はその言葉にコクリと頷いて相手の攻撃を躱しながら一歩ずつ近づいていく。やっぱり前の迷宮にいた最初の連携をとっていた魔物とは違い動きに統率が取れていない隙が見える。
(信頼されちゃってるね前の僕なら下がっててって言われてたのにやっぱレイは凄いや)
(そんな事はねえよ、お前がいてくれなかったら何も分からないままだったし今でも頼りっぱなしだ。
んな訳で頼むぜ相棒よ)
(相棒じゃなくてルドで呼んでほしいな)
「へいへい分かったよ!!(行くぞルド!)」
まずは手前のやつと見せかけて奥のモンスターからだ。妖精みたいな見た目だが、優しくなんて無い。初めは暗闇に透過して視認しずらいし少しは地の利を生かして戦ってやがる。
「よっしゃああ!」
俺は師匠から教わった事を完全に忘れてカッコをつける様な豪快真っ二つに切り落とす。
そのまま振り返って次…っともう目の前まで来ていたのか流石に動きは悪くねえな一旦距離取って、防御の構えを見せて、相手を威嚇している。
モンスターは俺に集中し過ぎている。単細胞だ仕方ない人間様程の知能までは持っていないか、
「ファイアボール」
意識の無い方向からの一撃、流石に避ける事は出来ずに無惨にも焼かれる。
「ありがとう
魔力を温存も考えてさらに見せ場もくれて、やっぱり余裕かな」
「フラグ、気をつけて」
「関係ないよそんなの」
まあこの程度が続くのであれば俺とサラの班は問題なさそう。
他のチームはどの程度の実力なのかは知らんが、声も聞こえないし、心配する事なさそうだ。
「他の人はどんな感じなんだ?」
でも気になってしまう。4人はどんな人なのかが気になるのは人間の性(探究心)ってやつ。
「みんなそれぞれ自分を分かってる何をするべきなのか
私だけどっちも中途半端なのはね」
「そうか、やっぱリーダーが一番優秀なの?」
「そうね一番頼りになるね、前に依頼で死にかけた時もヨミルだけが冷静でね助かったよ
魔術だとメグちゃんがダントツかな?優秀生って訳じゃないんだけど私よりずっと魔術の知識が豊富なんだ。見たらわかるとは思うんだけど人見知りで、暗所も閉所も恐怖症なんだよね、、」
そんなに凄いのに勿体無いな、サラより優秀ともなると俺と互角もしくはそれより上かもしれん。そんな人が未だDランクとはいくら魔術や武道に才能があっても本番に力を発揮できないと駄目なんだって改めて分かった。
でも、依頼が不適なら民間の自警団にでも入ったり、貴族の護衛で雇ってもらった方がいいと思うんだけどな。
学校で優秀生じゃないと声がかからないのか。
そのまま雑談の余裕を持ちながら目の前に出てくるモンスターを軽々しく倒して進んでいく。
すると、一組の姿が見えて来た。
1人は斧を抱えていて、もう1人は体が震えているのが遠くからでも見て取れる。間違いない、リーダーとメグネムさんの所だ。2人とも実力は申し訳ない人達だ。そう問題はないだろう。
「おう!2人とも無事だったないたか目当てのモンスターは」
「残念こっちじゃなかったみたい」
「そうかこっちもハズレだったようだ
恐らくテソーラ達が今こっちで戦ってるのだろう加勢しにいくぞ!」
サラとリーダーは状況を確認してすぐさま次の行動に移そうとしているが、俺はメグネムさんと何とか話をしたく周りで必死になって声をかけてみるがモンスターがいない安全地帯にやっと来たこともあってか逆に震えが止まらなくなっている。
「大丈夫ですよ。ここはモンスターもいないですし」
「で、でも行くんですよね?あっちに」
これはマジで重症かもしれんな。
「そうなんですけど……すいませんリーダー、メグさんが閉所恐怖症で足が動かないそうなのでここで俺も待っててもいいでしょうか」
「…メグが問題ないならそれで良い、大丈夫か?」
「だ、大丈夫」
その言葉を聞いたリーダーは俺に肩を優しく叩いて「頼んだ」とだけ言ってサラと2人でテソーラとユフスの来る方向に戻っていった。
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