圧倒的な強さ


 「良い?火竜イフリートは今は大人しいけど、近づいて来た相手には攻撃をしてくる。常に空を飛び回ってるから剣は通用しにくい弓か魔法で迎え撃つ。又は攻撃をする時降下する事がある、その時に剣で斬る。

 その二つが基本的な倒し方。二人は各々自分の出来る100%を出して、私が協力してあげる」


 「魔法か、レイは火以外も使えるんだよな」

 「ええ 風、土、水なら」

 「レイは魔法を使って戦った方が良いわね

  ガイアは…」

 「自由にやらせて貰う」

 「そうね それがあんたにとって一番良いわ」


 「よっしゃいざ大物討伐だ」


 各々が自分の動きをすると言う何とも人数の利を活かさない戦術で挑む。少しの不安はありつつも何故か何とかなるだろうと言う謎の自信も湧いていてる。


 「召喚魔法 短剣ダガーナイフ


 先制で師匠が、短剣を五本作りだして二本をシュナさんに渡す。

 残りの三本は自分で持っている。すぐに投げるわけでは無く、その剣で戦いに挑む様だ。流石に無謀に見えるが、師匠なら何かしらの策を考えているのだろう。


 「ギィィィァァ!!!」


 言っていた通り、火竜イフリートは空を飛び続けている。

 

 ここまでとなると少し俺は、何も出来なくなる。強い魔法はルドに良くないから出来るだけ抑えたいが初級か中級だと、無駄撃ちになってしまう。

 俺は何も出来ず、どうすれば良いか考えているだけになっている。


 「僕は大丈夫気にしないで」

 「いや、俺は二人を信じて自分のできる事をやる」

 「逃げるの?」

 「逃げて無いだろ戦うって」

 「違うよ 僕の事を気にしないで良いって言ってるんだよ躊躇わないで」

 「……すまねえ 分かった」


 ルドを口実にして逃げようとしていたが、ルドに防がれた。でも、その言葉で逆に俺は吹っ切れた。

 俺は二人を邪魔しない程度にやろう。

 シュナさんは師匠の動きを見て隙を補完している。おかげで現状は誰も傷を負っていない。


 「二人、逃げて!来るよ」


 竜の身体に炎がまとわり、解放して、広範囲の炎が襲ってくる。

 まずい、逃げ遅れた。

 ここは土魔術で何とか凌ぎ切るしか無いか……

 

 「駄目!魔術で防がないで」


 どうしてだ?

 もう俺が全力で逃げても、間に合うか分からないのに確実にある程度は防げそうな防御をした方が良いと思うのだが、人の事を聞いてちゃ駄目だ。自分で考えろ。


 「ロックドーム」

 「あ!」


 俺はルドに遠慮せず全力で魔術を使って自分の身を守る。攻撃はその後からだ。今は取り敢えず安全の確保を…


 俺は気づいたら首を掴まれていた。

 やられた?いや上空にはドラゴンがいる奴に掴まれたわけじゃ無い防御したはずだ、破られたのか?


 「何で魔法を使ったの

  逃げてって言ったよね?」

 「逃げきれないと思って…」

 「間に合うと思って言ってるの

  私が助けてなかったら死んでたわよ、

  いい?イフリートの攻撃は防御魔法じゃ通用しないと思って…絶対に逃げる!それだけは徹底して」

 「すいません…」

 

 俺が謝ると肩を思いっきり叩いて、また走り出した。

 「反省は終わってからで良いから

  今は目の前の事に集中して私の事は聞いて欲しい

  レイの力は必要だからね!分かったら行くよ」



 「必要とされてる」


 俺は今必要とされていた。

 できる事を考えろ。周りを見て判断しろ


 師匠は魔剣を使って攻撃をしようとしているが、短剣であまり攻撃が通用していない様。

 シュナさんの攻撃は師匠に渡された魔剣で炎が出て攻守共に安定している。

 俺が今必要なのは援護だ。二人ともに攻撃に集中している俺は二人ほど経験があるわけでは無い、なら連携で何とかする!俺には魔術がある。


 「師匠、俺が飛ばしますそしたら剣で斬ってください」

 「よっしゃ 任せろ」


 落ち着け、ミスは許されない。このミスで俺ではなく師匠が死んでしまう。

 そんな命を預ける様な事をノータイムで師匠は俺に命を託してくれた。それ程信頼してくれていると言う事だ!

 応えたい!!!


 「エアウィンド」


 中級の風魔術で師匠をイフリートのとこまで飛ばす。

 成功した。後は師匠に任せる…いやそれだけじゃ駄目だ自分も戦わないと


 「ルドもういっちょだ」

 「大丈夫気にしないでいい」


 「エアウィンド」


 魔法陣で勢いよく飛び上がる。

 近くに来ると、暑く感じていて少し集中力がからそうだ。


 「師匠!俺が水魔法で落としますその時に全力で斬り落として下さい!!!」

 「良いじゃねーかお前を信じてやろう師匠だからな!」


 よし!

 師匠の事はもう何も心配はいらない自分の事に集中するんだ。恐るな何とかなる。

 

 「ミスフィクア」


 届いてくれ…俺の一番得意な水魔法の魔術で火竜イフリートに放つ。

 俺は攻撃に集中し過ぎたせいで、背中から地面に落ちそうになる。


 (後はお願いしました、、)


 俺はもう力を貸す事は出来ない、取り敢えず自分の身を守ろう。風を使って落下の衝撃を少しだけで良いから防ぐ!

 後は何とかなるだろ

 

 「良くやったわ

  後は私とガイアに任せて。」


 俺はシュナさんにキャッチされて何とか無傷で済んだ。


 「行くぜえぇ!!」


 師匠は空に飛んですごく元気がいい、シュナさんの声もちゃんと聞くほどの余裕もある。

 着地だけは気をつけるのを忘れずに、落ちていく火竜イフリートに残りの魔剣を突き刺す。


 突き刺した剣は、雷の魔力が込められている、羽付近にちゃんと刺す事が出来て火竜イフリートは片翼のコントロールが効かなくなり、急降下する。


 「煉獄の檻バーニングケージ

 

 シュナさんが止めで地面に落ちた火竜イフリートを確実に仕留めた。最後の方、俺は何も出来なかったけど何とかなった、少しは役にも立てたと思う。


 「ありがとう!よくやったぜ」

 「こちらこそ助かりました」


 よし、火竜イフリートの戦利品を取ろう。

 これは迷宮の深くでしかでなさそうだから、結構な金にもなりそうな気がする!

 俺はせっせと採集に勤しんでいるが…


 「ちょっと!それ、依頼のやつじゃないでしょ持ち過ぎない方が良いわ」


 それもそうでした。すいません。

 またこんな魔物が出て来たら重くてたまったもんじゃ無い。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る